Facebookは11月9日、短編動画を制作・視聴するための新しいアプリ「Lasso(ラッソ)」を静かにリリースした。Lassoのリリースは、動画制作者の好奇心をそそってきたが、当初の関心は薄れている。Vineの共同創設者ドム・ホフマン氏が、新しいループ動画アプリのプロジェクト名「Byte」を吐露したからだ。
動画制作者は、競合製品のクローンを開発するFacebookの最新の取り組みよりも、「Vine(ヴァイン)」の生みの親が近くリリースするモバイル動画アプリ「Byte(バイト)」に、いっそうの関心を抱いている。
Facebookは11月9日、短編動画を制作・視聴するための新しいアプリ「Lasso(ラッソ)」を静かにリリースした。「TikTok(ティックトック)」やVineと同じく、Lassoの動画はループし、ハッシュタグで分類される。米調査会社センサータワー(Sensor Tower)のデータによると、Lassoがリリースされる背景で、TikTokは米国で急上昇し続け、9月にダウンロード件数でFacebookやインスタグラム(Instagram)、Snapchat(スナップチャット)、YouTubeを上回っている。Facebookにとって、これはスマートフォン所有者の注意を引くうえで直接的な脅威になる。
Lassoのリリースは、動画制作者の好奇心をそそってきたが、当初の関心はやや薄れている。数年前から短編コンテンツに取り組んでいるある動画制作者は、ダウンロード時にLassoを「VineやMusical.ly(ミュージカリー)、インスタグラムのエクスプロア(Explore)ページの逆行バージョン」だと述べた(仕事でLassoに取り組む必要な場合に備えて、動画制作者からは匿名扱いを求められた)。「目新しいものは何もなかった。すでに全盛期を過ぎて衝撃値を失っている動画の再現バージョンにすぎない。正直言って、妥当であろうと必死に努力しているような感じだった」。
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ほかの制作者も、Lassoに対して同じように鈍い反応を示した。だが、Vineの創設者が近くリリースするモバイル動画アプリ、Byteの話題になると、彼らの口調は変わった。
「一番興奮する動画アプリ」
Lassoがリリースされた前日の11月8日、Vineの共同創設者であるドム・ホフマン氏は、新しいループ動画アプリのプロジェクト名「Byte」についてツイートし、2019年春にリリースする予定だと述べた。ハイテク製品の情報サイト、プロダクトハント(Product Hunt)の世論調査では、「もっとも興奮する短編動画アプリは何か?」という質問に対して、TikTok、Lasso、Giphy(ジフィー)と比べて、Byteは1749票のうち47%を獲得した。
デジタルマーケター兼コンテンツ制作者のグレゴリー・リトリー氏は、週末にLassoについて会話のなかで、Byteを発見した。ノスタルジーもあって、ホフマン氏の新しいアプリに興奮したという。
「多くの自然な愛と賞賛に恵まれたプラットフォーム(Vine)が閉鎖してから、ずいぶん日が経った。つかの間のものなので、ソーシャルメディアのノスタルジーには必ずしも触れるわけではないが、Byteには、Vineの愛と機能に向けた高まりがある」と、リトリー氏はいう。
「動画における次なる目玉は、現在知られているもののようではないだろう。Byteは、いま存在するソーシャル動画アプリとは大きく異なると信じている」と、匿名の制作者は語る。
Lassoの製作者の意見
さしあたって、制作者にはLassoがある。アプリ分析サービスを提供する企業、アップトピア(Apptopia)によると、リリースされて以来、Lassoは5000回ダウンロードされているという。Facebookは、少人数の制作者(その多くはTikTokで人気がある)にLassoを利用するよう誘いかけたが、金を払って制作者にアプリを利用してもらっているわけではないと、同社の広報担当者は述べている。
Lassoが競合アプリと差別化できるひとつの方法は、音声同期に焦点を当てないことだ。中国のテック企業バイトダンス(Bytedance)のアプリであるTikTokは、8月2日に音声同期アプリのMusical.lyと統合された。Lassoにはそうしたジャンルがあり、TikTokは最近、それより多くのものを提供しているが、Facebookは、音楽に向けてストーリーを語ることを重視しているようだと、リトリー氏は指摘する。Lassoは、Facebookが大手レーベルと結んでいるライセンス契約を通じて、音楽ライブラリを利用できる。TikTokも楽曲のライブラリがあるが、制作者がいうには、いまのところ、Facebookの体験のほうがシームレスに思えるという。
Lassoの「スター級制作者」のひとり、ニッキー・バーバー氏はLassoに32本の動画を投稿しており、そのほとんどは、オンラインデートや学校、パン焼きのようなテーマのコメディの寸劇だ。「@attemptingla」というハンドルネームで、インスタグラムで活発に活動している。
「これまでのところ、このアプリを断然気に入っている。次のビッグなソーシャルメディアプラットフォームになると確信している」とバーバー氏はメールに書いている。Lassoに満足している理由を尋ねられると、「現時点でそれ以上のコメントはない。今後のインタビューや情報については、Facebookの広報に連絡すればいい」とバーバー氏は回答した。
地味なローンチだった
Lassoの一部の「スター級制作者」は、このアプリが派手な宣伝とともにリリースされなかったので、口を閉ざしているのかもしれない。IGTVと違って報道発表や派手なイベントはなかった。Facebookがアプリを育てようと努めるなかで、テストして学んでいくことを約束してひっそりとリリースしただけだ。
リトリー氏は9日にLassoに加入した。最初の投稿についてまだ検討中だという。
「前向きな態度で入っていこうとしている。最終的には、これらのプラットフォームは、ストーリーを語る独特な興味深い方法を提供しつつある。ビジネス面に目を向けると、さらに暗くなるが、ユーザーの観点に立てば、やりとりできる方法の種類が増えるのはいいことだ」と、リトリー氏は語った。
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Kerry Flynn(原文 / 訳:ガリレオ)