Googleは6月、カンヌライオンズに合わせて、ブランドがYouTube向けにAR広告を制作できるようになったと発表した。Googleのローンチパートナーはマックコスメティックス(MAC Cosmetics)で、YouTubeユーザーは、制作者のメイクアップチュートリアルを見ながらリップをバーチャルで試せた。
広告主に対するYouTubeの最新の一押しは、拡張現実(AR)広告だ。
Googleは6月、カンヌライオンズの時期に合わせて、ブランドがYouTube向けにAR広告を制作できるようになったと発表した。Googleのローンチパートナーはマックコスメティックス(MAC Cosmetics)で、YouTubeユーザーは、制作者のメイクアップチュートリアルを見ながらリップをバーチャルで試せた。このサービスは、YouTubeのインフルエンサーマーケティングプラットフォーム「フェイムビット(FameBit)」を通じて、2019年夏にブランドに提供される。
YouTubeがARに道を開くようになったのは、ブランドのあいだでARへの関心が高まっているからだと、エージェンシーの幹部は指摘する。AR体験はかつて、ハリウッドのスタジオのあいだでもっとも人気があり、Snapchat(スナップチャット)のようなニッチなプラットフォームに限定されていた。だが、いまはFacebookやインスタグラム(Instagram)による投資とともにウェブベースのARが台頭し、より多くの分野の広告主に試されている。
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ARが持っている可能性
グリンプス・グループ(Glimpse Group)のAR専門の子会社であるQリアル(QReal)の共同創業者アルパー・グラー氏は最近、AR業界での成長に合わせて社名を変更した。カバク(Kabaq)は、Snapchatでの「ベアバーガー(Bareburger)」のような、3DおよびARフード分野での取り組みで知られていたが、現在は、ファッション、消費財(CPG)、自動車分野のブランドと協働している。
「長年にわたり、完全に本物に見えて、プラットフォームに依存せずAR向けに最適化された料理を提示するために、モデリングプロセスを改善した。同じプロセスが多種多様なブランドや商品でもうまくいくとわかった」と、グラー氏は語る。
ARは美容業界にふさわしいと、グラー氏はいう。体験が、消費者の自撮り好きや、Snapchatやインスタグラムで以前提供されていたARレンズ好きに合っているのだ。それに、顔認識技術は、脚や腕など人体のほかの一部の画像認識と比べて強力だ。グラー氏は、何年か経ってそれが向上し、アクセサリーや服のバーチャル試着が増えると予想している。
ヴェイナーメディア(VaynerMedia)のバイスプレジデントで、ヴェイナースマート(VaynerSmart)の責任者であるパトリック・ギブンズ氏によると、ヴェイナーメディアは、美容、ファッション、消費財分野のクライアントがARへの関心を高めているのを目にしてきた。これらの分野は、顧客にある程度の実用性を提供する手段としてARに目を向けているが、顧客の前でこれらの体験を大規模化するのは困難だと、ギブンズ氏はいう。YouTubeはそうした規模の問題に役立つ。
「ブランドは、良い買い物や製品利用体験をサポートし、最終的に関係を築きたいと思っている。ARはそうするのに格好の手段となることが多い。マックコスメティックスとのコラボが示しているように、YouTubeは、単なるエンターテインメントを越えて、ユーザーにもう少し価値を提供するかもしれない利用事例に寄りはじめている」と、ギブンズ氏は語る。
YouTubeでの実施の意味
Qリアルにとって、SnapchatはこれまでAR配信の主要なプラットフォームだった。だが、同社はAppleやGoogleを通じてウェブベースのARにより取り組んできた。グラー氏によると、同社は、今夏により多くのブランドにも受け入れられたら、インスタグラムとの協働も増やす計画だという。
いまは、月間アクティブユーザー数が20億人であるYouTubeによって、ARのみでのリーチの可能性が高まっている。YouTubeのフェイムビットを通じて、広告主はブランドの関心事やブランドリフト、ビュースルーコンバージョンのほか、Google検索への影響を追跡できる。
Kerry Flynn(原文 / 訳:ガリレオ)