Hulu とYouTube 、米「動画広告」販売イベントで圧勝:テレビ業界と競える2社

デジタル・コンテンツ・ニューフロント(Digital Content NewFronts)は、毎年恒例のアップフロント交渉(テレビ広告枠の先行販売交渉)のための駆け引きの場だ。そうだとしたならば、エージェンシーのエグゼクティブらによると、今回もそのメインイベントにおいて、広告主のテレビおよび動画予算をめぐってテレビネットワークと競うことを期待される企業は、Hulu(フールー)とYouTubeの2社だけだという。

「電通イージス・ネットワーク(Dentsu Aegis Network)のクライアントのいずれかが、HuluやYouTube以外のデジタルパートナーのためにテレビ業界のやり方でアップフロント交渉に取り掛かる必要があるとは思えない」と、アンプリファイ(Amplifi)のデジタル投資エグゼクティブ・バイスプレジデント、ディーバ・ブロンソン氏は述べた。

ニューフロントのほかのプレゼンターは、広告主がアップフロントサイクル以外で投資することについて激しい議論を交わす一方で、アップフロントの購買検討の対象となる製品のセットにとどまるべきであるとの理由については、まだ十分に議論し尽くされていない。

「このデジタルスペースのこの時間枠を確保すれば大きな利益が約束されるから、投資しないか? などと言える時代ではない。需要が供給をはるかに上回るその需給市場で実際に商売ができる企業はほとんどないし、従来型のリニア・アップフロントはまさにその状態だ。ちゃんと足場を築いているのは、たった2〜3のパートナーだけだ」と、マインドシェア(Mindshare)で米国のデジタル投資を牽引する、クリスティン・ピーターソン氏はいう。

HuluとYouTubeは踏みとどまっているだけでなく、今年の彼らのプレゼンテーションで広告バイヤーのあいだで自らの地位を向上させた。これは、テレビネットワークが彼らの売り込みでデジタル面を強化しているなか、とりわけ重要になってくる可能性がある。

HuluとYouTubeの動き

ひとつのブランドの同じ広告を人々が目にする頻度に新しい制限を設けるという、Huluの約束は、「OTTの大きな問題のひとつ」に対処していると、ウエーブメーカー(Wavemaker)のエクスペリエンス、コンテンツそしてパートナーシップの責任者、ノア・マリン氏は述べる。さらに、NetflixやHBOといった無広告サービスにより、広告サポートコンテンツへの注目が吸い取られてしまっているこの時代に、動画にハマっているオーディエンスを対象にしたHuluの新しい広告商品は、そのストリーミングサービスのオーディエンスに関する理解度と、オーディエンスがもっと広告を受容できるようにする、または少なくとも我慢してもらうようにする方法を発信している、と彼は述べる。

「広告主にとっておそらくもっとも差し迫っている話題のひとつなのに、多くのプレゼンテーションでうやむやにされてしまった話題は、無広告サブスクリプションコンテンツへの移行だ。ほとんどのパブリッシャーがその動きを認識しているが、消費者をそちらへ移行させない効果を真に発揮するソリューションの提示はほとんどなかった」と、デジタス(Digitas)のメディアバイスプレジデント兼グループディレクター、ジェニー・シャウアー氏はいう。

YouTubeが独自の番組をYouTubeプレミアムペイウォールで紹介するという動きにより、論争に悩まされるYouTubeというプラットフォームに、よりブランドセーフなインベントリを与え、広告主にオファーできる可能性がある。ただし、YouTubeは広告サポートコンテンツにおけるオーディエンスの目をそれらの番組に向けさせる必要がある。エージェンシーのエグゼクティブらによると、YouTubeオリジナルへのシフトによってインベントリが大幅に開拓されるかどうかにかかわらず、同プラットフォームには非常に多くのコンテンツとそれを視聴する人々がいる。ブランドセーフティの問題はあるにせよ、Google Preferred(グーグル・プリファード)内で十分なインベントリを提供ですることが可能であり、アップフロントサイクルの期間でそのインベントリを確保することを広告主に促すという希少性で、広告主たちの供給要請を満足させているという。

ほかのニューフロントにおけるプレゼンターが今年のイベントのあとに、アップフロントコミットメントを確保できそうにないからといって、彼らがプレゼンテーションをしても広告費を呼び込むことができないというわけではない。「考えられる限り、ひどいヘマをしているところは見あたらない。それは良いことだ」と、マリン氏は語った。

競合他社にもチャンス

Twitterは、HuluやYouTubeのレベルまで飛躍していないかもしれないが、同社は広告主のあいだで有利なポジションを維持。「それは、Twitterをこれからも信用できると思わせてくれた」と、ブロンソン氏は述べた。同氏は、オーディエンスの多様化に向け、ユニビジョン(Univision)と結んだTwitterのスペイン語コンテンツ契約の将来性に非常に期待しているとも言及した。

マリン氏によると、Twitterの最新の収益報告(それによると同社は収益およびデイリーアクティブユーザーを拡大している)は、すでにニューフロントを目指す勢いをもたらし、Twitterのニューフロントでのプレゼンテーションよりもはるかに強いインパクトを与えている可能性があるという。「Twitterがプラットフォームから収益を上げているのであれば、そこに予算を投入する理由がまだわかっていなくても、他の広告主たちもそうするだろう。まだTwitterに接触していないのであれば、それが話し合いのとっかかりになる」と、彼は述べた。

コンデナスト(Condé Nast)、メレディス(Meredith)、スタジオ71(Studio71)、ベライゾン・メディア(Verizon Media)などの、ニューフロントでプレゼンをしたほかの企業は、自社の独自のプログラミングスレートについて話をすることに関心を示すエージェンシーエグゼクティブたちを見つけている。なぜなら広告主たちは、細分化された市場で質の高いエンターテインメントを通じて、オーディエンスにリーチする機会を模索し続けているからだ。

音声コンテンツも注目を集める

そして、表向きは動画中心のイベントであるのにもかかわらず、ニューフロントのすべてのプレゼンターが、ポッドキャストのような音声コンテンツさえも彼らのプレゼンのトーク内容に取り入れているらしく、エージェンシーのエグゼクティブたちの注目を集めていた。

「我々がデジタル動画に、なにを投資しているかという話し合いにそれが大きく影響するだろうか? いや、影響しない。しかし、彼らの全体的なミックスの中で音声がどのようにより深い役割を果たすことができるかをクライアントに考えさせる良い材料だと思う」と、ピーターソン氏は述べた。

Tim Peterson(原文/ 訳:Conyac)