Twitterはトレンドとなっている出来事に関するツイートや写真やビデオなどをキュレートする「モーメント」機能で大きな賭けに出た。しかし、広告出稿には100万ドル(約1億2千万円)が必要になる。
関係者によると、インスタグラムは、親会社のFacebookのテクノロジーを利用したフルサービスを望めば、最低10万ドル(約1200万円)かかる。Snapchatの「スポンサードレンズ」も50万ドル(約6000万円)だ。
Twitterの「プロモーテッドモーメント」は、高額の出費を必要とする新しい広告フォーマットの典型といえる。だが、広告主は先駆者としての注目を浴びようと、出費したがることが多い。
Twitterは、話題の出来事に関するツイートをキュレーションする機能「モーメント」で、大きな賭けに出た。
Twitterのブログは「モーメント」機能について、こう説明している。「モバイル上の稲妻アイコンをタップすると、今注目すべき話題がリスト形式で表示されます。新しい注目すべき話題が出てくると、リストも新しくなるように、1日のうちに何度も更新していきます。また『エンターテイメント』や『スポーツ』など、スワイプをすることで過去数日間の話題を振り返ることもできます」。
しかし、そこへ広告を出稿するには100万ドル(約1億2000万円)が必要になるという。価格が高すぎるとして二の足を踏む広告主もいるようだ。「モーメント」機能は米、英での展開で、日本のユーザーはまだ使うことはできない。
Advertisement
New! Find the best of Twitter in an instant with Moments: https://t.co/QAKGUSVBbT pic.twitter.com/KAjfkysVKC
— Twitter (@twitter) 2015, 10月 6
Twitterの「モーメント」機能のサンプル
「モーメント」は、ユーザーが撮影した話題のイベントやスポットの投稿をキュレーションする機能。Snapchat(スナップチャット)における「ライブ」機能のTwitter版だ。つまり、ライブアップデートや相互的なやりとりが可能な場でもある。
ここに差し込む広告が「プロモーテッドモーメント」だ。以下は「モーメント」内に挿入された、映画『ロッキー』シリーズの新作『クリード チャンプを継ぐ男(Creed)』の「プロモーテッドモーメント」である。
すでにスターバックスは実施
アーリーアダプターになったのは、スターバックスやアウトドア衣料大手レイ(REI)や通信大手ベライゾン(Verizon)などのブランド企業。いずれもTweetが待望のアップデートをしてくれたと賞賛した。
「提示価格は100万ドル。『プロモーテッドモーメント』とともに『プロモトレンド』などをパッケージ購入することが義務づけられている」と、あるエンターテインメント大手の広告主は話した。「値下げしてほしいので、出稿は見送っている状況だ」。
「プロモトレンド」の広告料だけでも1日20万ドル(約2400万円)を要する。これに対し、Snapchatの「スポンサードレンズ(Sponsored Lenses)」も50万ドル(約6000万円)以上になるという。
スヌーピー提供の、Snapchat「スポンサードレンズ」
増える新広告メニュー
関係者によると、インスタグラムは、親会社のFacebookのテクノロジーを利用したフルサービスを望めば、最低10万ドル(約1200万円)は必要だ。
Twitterの「プロモーテッドモーメント」やSnapchatの「スポンサードレンズ」などは、高額の出費を必要とする新しい広告フォーマットの典型だろう。先駆者としての注目を浴びようと、出費したがる広告主もいる。
関係者によると、Twitterは「プロモーテッドモーメント」に対して、今後インタースティシャルビデオ(画面全体を覆う動画)や購入ボタンなど、新しい広告メニューを追加する予定だ。
広告業界のTwitterファン
Twitterを巡る状況にはネガティブな材料もあるが、広告代理店が集うマディソン・アベニューには、いまな好意的な企業も存在する。
「『プロモーテッドモーメント』は、私にとって手がける価値がある広告商品」と、あるクリエイティブエージェンシーの役員は言う。「私はTwitterのファンだ。オーディエンスを構築すれば、多大なオーガニックリーチを与えてくれるから」。
その役員は続ける。「ネイティブな形での、『モーメント』における広告展開を望んでいる。スポンサーは、おおげさにユーザー体験に割り込む広告などではない、自然かつオーガニックな形の広告配信を、『モーメント』で実現したがっている」。
コミュニケーションでの即応性は、Twitterの長所であり、Facebookやインスタグラム、PinterestやSnapchatなどのライバルに対して優位だ。同社は2015年、巨大メディアプラットフォームとしての道筋を探そうと、CEOをディック・コストロ氏から共同創業者のジャック・ドーシー氏に交代させた。2016年の事業展開に注目したい。
Garett Sloane(原文 / 訳:南如水)※[日本版]編集部で加筆・編集した。
Image by Rosaura Ochoa