人気ゲーマーを奪い合う、動画プラットファームたちの戦い:Twitch、Facebook、YouTube、Mixer

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ディズニー(Disney)やNetflix(ネットフリックス)といった企業たちがストリーミング業界の争いを行っている一方で、オンライン動画プラットフォームはゲーミング業界のタレントをめぐる争いが起きている。

今年8月以来、Facebook、YouTube、そしてマイクロソフト(Microsoft)のミキサー(Mixer)は人気のゲーミング・ストリーマーたちをほかのプラットフォームからヘッドハンティングしている。タイラー“ニンジャ”ブレヴィンズ氏やマイケル“シュラウド”グレゼシーク氏がTwitch(ツイッチ)からプラットフォームを移ったのが最近の例だ。ライバルであるプラットフォームに移り、そこだけで限定的にゲームプレイのストリーミング配信をしてもらう報酬としてお金を受け取っている。こういった動きはパワーバランスにおける変化を示している。それはプラットフォーム間のパワーバランスではない。ストリーマーたちとプラットフォームの間でのパワーバランスだ。

新しいパワーバランス

ストリーマーたちのライブ配信動画で流れる広告によって生まれた収益からお金を得るためのプラットフォームとして、Twitchは長年、トップストリーマーたちと独占契約を結び囲い込みに成功してきた。しかし、ここ2年ほど、ブレヴィンズ氏やガイ”ドクター・ディスリスペクト”ビーフム四世といったストリーマーたちがメインストリームにおける有名人となった。雑誌の表紙を飾ったり、ストリーミング上の彼らのキャラクターを活かし、テレビ番組との契約を結びはじめたのだ。こうして有名になった結果、トップストリーマーたちは自分たちのフォロワーを生み出したTwitchの枠を越えて、ほかのプラットフォームでのライブ視聴オーディエンスを開発しようと取り組むようになった。

チューブラー・ラボ(Tubular Labs)によると2019年前半のオンデマンド式ゲーミング動画のアップロードの87%はYouTubeがシェアを占めている。しかしライブ配信の動画となるとTwitchが先頭に立つ形だ。ゲーミング、eスポーツ分析企業のニューズー(Newzoo)によると、2019年第3四半期では、クリエイターによるYouTubeでのライブ配信は1110万時間だったが、Twitchでは8730万時間となっているという。

「こういったクリエイターたちはほかのクリエイターたちをプラットフォームに引き寄せる。彼らは新しいオーディエンスをプラットフォームに引き寄せる」と、ブレヴィンズ氏も所属するゲーマー中心のタレント事務所ローデッド(Loaded)の最高戦略責任者であり共同ファウンダーのナイルズ・ヒーロン氏は言う。

まるでスポーツの契約関係

ライブ配信のオーディエンス数では、Twitchが圧倒的な差をつけて最大のプラットフォームとして依然君臨している。ライブストリーミング技術のプロバイダであるストリームエレメンツ(StreamElements)によると、2019年第3四半期におけるTwitch、Facebook、YouTube、ミキサーにおいて人々がゲーミング動画のストリーミングに費やした30億時間という時間のうち76%はTwitchが占めている。しかし、Twitchのライバル候補たちはトップストリーマーをTwitchから奪うことでオーディエンスたちも奪うチャンスと捉えているようだ。

ゲーミング向けのオーディエンスを成長させることは、プラットフォームにとっては広告ビジネスを成長させることの助けとなるかもしれない。特に若いオーディエンスを求めている会社にとってはそうだろう。メディア企業ホイッスル(Whistle)による研究によると、Z世代の男性のうち77%はビデオゲームのプレイ動画を定期的に見るという。ゲーミングに特化したマーケティングエージェンシーであるトリプルクリックス(Tripleclix)のファウンダーでありマネージングパートナーのクリス・アーブ氏は「ゲーマーたちと繋がる最善の方法は、コンテンツを通じてだ」と語る。トリプルクリックスはタコベル(Taco Bell)、ケロッグズ(Kelloggs)、そしてホリスター(Hollister)に起用されてきた。

ブレヴィンズ氏がTwitchからミキサーに8月に「移籍」したことで、まるでスポーツのメジャーリーグでのフリーエージェンシー期間かのような、ストリーマーとプラットフォームのあいだでの独占契約が次々に生まれはじめた。UTAのeスポーツ部門責任者であるデイモン・ラウ氏は「今年は確実に(独占契約関連の)会話がヒートアップしている」と語った。ティモシー”ティムザタットマン”ベーター氏のように、Twitchとの契約を更新することにしたストリーマーたちもいる一方で、ほかの多くはライバルプラットフォームたちがオファーしてくる契約内容に魅了された。

ライブ配信のみが契約対象

「十分なフォロワーを抱えるTwitchストリーマーには友達がたくさんいるが、誰かの契約が更新時期になれば、5社くらいの企業からのオファーと比べて検討していることを知っている」と、ジェレミー”ディズガイズド・トースト”ワン氏は言う。

ワン氏はUTAに所属する人気のTwitch上のストリーマーのひとりだ。彼自身も、先月、Facebookで独占的にライブ配信をするという契約を結んだ。プラットフォームを切り替えることで、オーディエンスの一部を失うだろうことは、彼も認めた。しかし、ソーシャルネットワーク上でオーディエンスを成長させられるチャンスを見出した形だ。特に海外でのオーディエンス拡大を念頭に置いている。それが彼にとっての移籍のモチベーションだった。

ワン氏の契約も含め、多くの契約ではライブ配信のみが独占の対象となっている点は、特筆すべきだろう。ストリーマーたちはオンデマンドの動画をほかのプラットフォームに投稿しても良いことになっている。

「(ライブストリーミングは)ストリーマーたちにとって、多くある収益源のひとつだ。自分がライブストリーミングを行うプラットフォーム以外での場所でのチャンスが増えるにつれて、「場所を移すことで摩擦は生まれるだろうけど、自分のビジネスはそれでも安全だ」と思えるようになる。リスクが分散された形だ」と、ヒーロン氏は述べた。

Tim Peterson(原文 / 訳:塚本 紺)