「オーディエンスに関して、Twitchは驚異の優位性がある」 : Twitch 最高売上責任者に聞く

Amazon傘下のTwitch(ツイッチ)がブランドやエージェンシーからより多くの広告費を引き出すため、セールスチームを強化している。

この任務を請け負うのが、2018年12月に最高売上責任者として加わったウォーカー・ジェイコブス氏だ。メディア企業ファンダム(Fandom)やクリアチャンネル・アウトドア(Clear Channel Outdoor)、ターナー・ブロードキャスティング・システム(Turner Broadcasting System)で働いた経歴を持つジェイコブス氏は、世界中のブランドやエージェンシーを口説き落とすセールスチームの一員だ。Twitchの本社はサンフランシスコだが、ジェイコブス氏はニューヨークのオフィスに拠点を置き、アジアやヨーロッパを含む全世界の販売拡大を監督している。

ブルームバーグ(Bloomberg)は2018年8月、TwitchのCEOエメット・シアー氏は、2018年の広告売上目標を10億ドル(約1100億円)に設定したと報じている。ブルームバーグによれば、当時の実績の2倍を超える金額だという。Twitchは広告収入の金額に関するコメントを拒否している。ジェイコブス氏によれば、フランスのパリやシンガポールでセールスリーダーを雇うなど、現在、セールスチームの国際的な拡大に投資しているところだという。

米DIGIDAYでは、ジェイコブス氏にインタビューを実施し、広告の売り込み、ブランドセーフティへの投資、現在の課題について話を聞いた。読みやすさを考慮し、内容には若干の編集を加えている。

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――Twitchの広告の現状は?

私はすべてがオーディエンスからはじまると考えている。ミレニアル世代とZ世代は、Twitchに楽しみを見いだしている。オーディエンスに関しては、私たちは驚くほどの優位性を持っている。オーディエンスに関する優位性、動画をライブストリーミングしているという事実を見る限り、メインストリームの消費者向けの広告カテゴリーに巨大なチャンスがあると思う。実際、チームは18カ月前からそこに注力している。

――どのようなブランドがTwitchに投資しているのか?

私たちはこの数年、驚異的な成功を収めている。特に、ゲームパブリッシャーと関連カテゴリーが事業の成長を後押ししてくれており、私たちの大きな力になっている。もっとも急速に成長しているのはアパレル、家電、小売り、クイックサービス・レストラン、消費財、自動車といったメインストリームの消費者向けカテゴリーだ。現在、チームが注力しているのは、どのように動画でリードするか、より大規模で持続的なパートナーシップを広く構築するため、どのように動画を利用するかだ。

――Twitchの顧客がもっとも関心を持っている広告製品は?

マーケターとの仕事で最も大きな割合を占めるのは動画広告。スキップできない30秒の動画広告だ。エンゲージメントが高く(オーディエンスにリーチでき)、しかも、私たちの広告は密度が低い。これを組み合わせることで従来型のテレビ広告を補完し、18~34歳にリーチするのにうってつけだ。

――テレビのバイヤーが慣れ親しんでいる30秒の動画広告が代表的な製品とは興味深い

業界のうわさとして、実証済みの手段を用いて若いオーディエンスにリーチするのは、ますます費用が高く、効率が悪くなっていると、我々は聞いている。我々にはその問題の解決策が提供できる。なぜなら、我々のオーディエンスは大幅に増加しており、我々の製品は完全に補完的だからだ。Twitchではいつも、100万人がコンテンツをライブストリーミングしている。1週間のすべての時間、1日のすべての瞬間だ。1日当たりのアクティブビューワーは1500万を超えており、オーディエンスベースのターゲティングもコンテンツベースのターゲティングもできる。

――マーケターはTwitch、そして、ライブストリーミング全般の問題点として、ブランドセーフティを挙げている。それは誤解だと思うか?

まず言いたいのは、ブランドセーフティは最優先課題だということだ。我々はとても重視しており、とても真剣に受け止めている。そして、組織として正面から取り組んでおり、今後も投資を続けるつもりだ。具体的には、サービス利用規約から対策をはじめている。Twitchでのアフィリエイトまたはパートナーとしてライブストリーミングするには、行動規範を含むサービス利用規約に同意しなければならない。行動規範には、憎悪に満ちたふるまいや言動を慎むなど、ブランドに安全な環境をつくるために期待されることが網羅されている。

――規約はどのように施行されているのか?

サービス利用規約の一部は、私たちの権利に関するものだ。ライブストリーマーが規約に違反した場合、私たちにはTwitchの利用を禁止または停止する権利があり、私たちはその権利を行使している。(オーディエンスが)報告することも可能だ。大規模で活発なモデレーターのコミュニティが問題を探して報告してくれている。さらに、人工知能(AI)を使った強力な自動モデレートソリューションもあり、チャットやキーワードの監視を行っている。

――マーケターがTwitchでブランドセーフティ基準をパーソナライズすることは可能か?

ストリーマーはコミュニティに課す基準の厳しさを自分で選択できる。すべてのゲーム、すべてのストリーマーがすべてのマーケターに適しているわけではない。我々のオーディエンスには、プロが制作したコンテンツがかなり含まれる。たとえば、ブランドセーフで、つくり込まれたコンテンツであるプロのeスポーツは、中国を除く市場シェアが85%に達している。ゲーム以外の上質なコンテンツも強化しており、ポケモンやNFL、NBA Gリーグ(NBA G League)などのプロスポーツとライセンス契約を結んでいる。ドクター・フー(Doctor Who)、パワーレンジャー(Power Rangers)、ミスター・ロジャーズ・ネイバーフッド(Mr. Rogers Neighborhood)、ボブ・ロスの絵画教室など、エンターテインメントコンテンツもある。つまり、ブランドには選択肢があるということだ。

――Amazonがあなたの役割に及ぼす影響は?

それぞれがセールスチームを持っており、目標も異なる。事実、Amazonという組織内での管轄も異なる。ただし、Amazonの広告幹部は広告市場やメディアにとても詳しいため、私たちは定期的に彼らと接触し、助言や協力を求めている。目的はベストプラクティスを共有し、ともに成長し、コミュニケーションを維持することだ。厳密に言えば、市場開拓戦略は異なるが、私たちは同じ家族の一員だ。

――Twitchにマーケターを呼び込むうえで、もっとも大きな障害は?

潜在顧客やパートナーと話してみると、Twitchに対する関心の高さがわかる。現時点での最大の障害は、サービスエリアの拡大、十分な話し合いを持つこと、エンゲージメントを高めること、Twitchと関わるべきすべての人、ブランドにその機会をもたらすことだ。だからこそ、我々は優れた人材を採用し、セールスチームの活動範囲を拡大することに多大な時間を費やしている。

――規模の拡大が障害ということだが、セルフサービスの広告プラットフォームをどう考えるか? そのような製品をリリースする予定は?

現在のところ、セルフサービスソリューションのリリース予定はない。

Kerry Flynn(原文 / 訳:ガリレオ)