リサーチ企業アダリティクス(Adalytics)は、大きな論争の火種となる報告書を6月第5週に発表した。これはGoogleが動画共有サイトYouTubeの有料広告主を欺いていると示唆するもので、同社への圧力が増すのは必至と思われる。
Googleは調査結果に異議を唱えているが、これでオンライン広告業界最大手への風当たりはさらに強まるだろう。同社は現在、年間2250億ドル(約31兆5000億円)に上る一大事業の崩壊を目論む当局による複数攻勢や、パブリッシャー勢による同様の挑戦に晒されている。
同報告書によれば、Googleにはスキップ可能なインストリーム広告トゥルービュー(TrueView)を悪用してきた疑いがあり、YouTubeの広告主は長年、数十億ドル(数千億円)を広告ミスプレースメントに浪費させられ、大切なクリエイティブを問題の多いサードパーティプロパティに回されてきた可能性があるという。
Googleは何をした?
「トゥルービューはGoogleが有する、選択ベースのCPV広告フォーマットであり、Web上はもちろん、YouTubeや何百万というアプリで広く使用されている」と同報告書は記している。
そして何十億ドルという大金が「独立系Webサイトおよびモバイルアプリ上で流れる、小規模の目立たないアウトストリームのオートプレイ、またはインターステイシャル(隙間的)な動画広告ユニットに費やされてきた」と、アダリティクスは断言している。
また、ある大手インフラブランドの場合、トゥルービュー広告費のわずか16%しかYouTubeに反映されておらず、残りは何万というサードパーティプロパティからなるGoogle動画パートナー(Google Video Partners、以下GVP)のネットワーク上で分配されているようだ。
「これは極めて重大な点なのだが、トゥルービューインストリーム広告はスキップが可能で、視聴者主導でなければならないと、YouTubeおよびGoogle自身はその方針に明記している」とアダリティクスの報告書は続ける。しかし、「一部の広告キャンペーンでは、トゥルービューインストリーム広告費の42~75%がGoogleの基準に満たないGVPサイトおよびアプリに回されていた」という。
それに留まらず、「Googleはブランド勢のトゥルービュー広告を不正コンテンツが含まれるサードパーティWebサイトや、誤報で悪名高いWebサイト、さらには自身のアプリストアPlayへの受け入れを拒んだ、あるいはリストから途中で外したアプリにも載せている」とも糾弾している。
Google側の言い分は
対するGoogleはプレス向けの声明において、「販売する動画広告の大半はYouTubeで流れている」と断言し、「自身の広告がサードパーティプロパティで流れた場合、メディアバイヤーはそれにすぐ気づけるはずであり、そうしたインベントリへの出稿を止めることもできる」と反論した。
その一方で、同報告書と同日、6月27日にアップされたブログ投稿において、Googleのグローバルビデオソリューション部門ディレクターであるマーヴィン・レナウド氏は、アダリティクスの申し立てに異議を唱え、広告主のオプションに関する「事実関係を整理したい」と記した。
レナウド氏はさらに、GVPネットワークにおける広告インベントリは90%以上が視聴可能であり、広告主は「各々の目的に適うと判断すれば、より多くのオーディエンスにリーチするべく、自身の広告をGVPにも出稿できる」と主張した。
それに加え、同氏はダブルベリファイ(DoubleVerify)、インテグラル・アド・サイエンス(Integral Ad Science)、オラクル(Oracle)のモート(Moat)といったサードパーティ認証企業とGoogleとの関係性を強調した。
リサーチ企業アダリティクス(Adalytics)は、大きな論争の火種となる報告書を6月第5週に発表した。これはGoogleが動画共有サイトYouTubeの有料広告主を欺いていると示唆するもので、同社への圧力が増すのは必至と思われる。
Googleは調査結果に異議を唱えているが、これでオンライン広告業界最大手への風当たりはさらに強まるだろう。同社は現在、年間2250億ドル(約31兆5000億円)に上る一大事業の崩壊を目論む当局による複数攻勢や、パブリッシャー勢による同様の挑戦に晒されている。
同報告書によれば、Googleにはスキップ可能なインストリーム広告トゥルービュー(TrueView)を悪用してきた疑いがあり、YouTubeの広告主は長年、数十億ドル(数千億円)を広告ミスプレースメントに浪費させられ、大切なクリエイティブを問題の多いサードパーティプロパティに回されてきた可能性があるという。
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Googleは何をした?
「トゥルービューはGoogleが有する、選択ベースのCPV広告フォーマットであり、Web上はもちろん、YouTubeや何百万というアプリで広く使用されている」と同報告書は記している。
そして何十億ドルという大金が「独立系Webサイトおよびモバイルアプリ上で流れる、小規模の目立たないアウトストリームのオートプレイ、またはインターステイシャル(隙間的)な動画広告ユニットに費やされてきた」と、アダリティクスは断言している。
また、ある大手インフラブランドの場合、トゥルービュー広告費のわずか16%しかYouTubeに反映されておらず、残りは何万というサードパーティプロパティからなるGoogle動画パートナー(Google Video Partners、以下GVP)のネットワーク上で分配されているようだ。
「これは極めて重大な点なのだが、トゥルービューインストリーム広告はスキップが可能で、視聴者主導でなければならないと、YouTubeおよびGoogle自身はその方針に明記している」とアダリティクスの報告書は続ける。しかし、「一部の広告キャンペーンでは、トゥルービューインストリーム広告費の42~75%がGoogleの基準に満たないGVPサイトおよびアプリに回されていた」という。
それに留まらず、「Googleはブランド勢のトゥルービュー広告を不正コンテンツが含まれるサードパーティWebサイトや、誤報で悪名高いWebサイト、さらには自身のアプリストアPlayへの受け入れを拒んだ、あるいはリストから途中で外したアプリにも載せている」とも糾弾している。
Google側の言い分は
対するGoogleはプレス向けの声明において、「販売する動画広告の大半はYouTubeで流れている」と断言し、「自身の広告がサードパーティプロパティで流れた場合、メディアバイヤーはそれにすぐ気づけるはずであり、そうしたインベントリへの出稿を止めることもできる」と反論した。
その一方で、同報告書と同日、6月27日にアップされたブログ投稿において、Googleのグローバルビデオソリューション部門ディレクターであるマーヴィン・レナウド氏は、アダリティクスの申し立てに異議を唱え、広告主のオプションに関する「事実関係を整理したい」と記した。
レナウド氏はさらに、GVPネットワークにおける広告インベントリは90%以上が視聴可能であり、広告主は「各々の目的に適うと判断すれば、より多くのオーディエンスにリーチするべく、自身の広告をGVPにも出稿できる」と主張した。
それに加え、同氏はダブルベリファイ(DoubleVerify)、インテグラル・アド・サイエンス(Integral Ad Science)、オラクル(Oracle)のモート(Moat)といったサードパーティ認証企業とGoogleとの関係性を強調した。
これまでも問題は解決しないまま
アダリティクスの報告書の指摘点について、米DIGIDAYの取材に応じた複数のメディアバイヤーたちはそれぞれ、動画広告界の複雑性について不満を漏らすとともに、同業界の惰性的現状にも言及し、「このまま変わらないのではないか」との懸念を口にする者もいた。
「動画インベントリに対する需要はまさに天井知らずだ」と、アダリティクスの今回の調査に詳しいある情報筋は話す。「だからこそ、プラットフォーム勢はお咎めを受けずに自由にやれている」。
その情報筋(広告業界の大手エージェンシーネットワークに勤務しているが、雇用主のPRポリシーにより匿名を希望)はさらに、「変化を進める動機はないに等しい」とも指摘する。「これを止めても、誰の給料も上がらないからだ」。
また、同じく匿名を希望した別の大手エージェンシーネットワーク勤務の情報筋は、このような報告書が定期的に出てくる点に言及する。「こうした事実はくり返し明るみに出てきており、そのたびに人々は嘆くが、結局皆すぐに忘れてしまう」。
真実であれば影響は計り知れない
マーケティングおよびメディアコンサルタント企業のイービクイティ(Ebiquity)でチーフプライバシーオフィサーを務めるルーベン・シュラーズ氏は、DIGIDAY宛ての声明文のなかで、同報告書の指摘は「悪事を明らかに示す証拠にほかならず、自身の顧客は広告費の40~50%をYouTubeに投じており、その額を考えれば、今回の指摘の深刻性は自明だ」と述べた。
「私はこれを、よくても広告プロダクトの構造的虚偽表示、最悪の場合は広告主を欺く明らかな詐欺行為だと見ている」と同氏は付け加え、「もしもこれが真実なら、業界に巨大な反響が生じるだろう。Googleの資質に対する評価および信用性に甚大な悪影響が及ぶはずだ」と言い添える。
アダリティクスの報告書はまた、オンライン広告費がインターネットのどの部分に回されるのかの追跡が極めて難しいという、広告主が直面する大きな問題を強調しており、その点は全米広告主協会(Association of National Advertisers)が6月第4週に発表した別の報告書でも指摘されている。
規制当局の動きは続く
とはいえ、米DIGIDAYの取材に応じた情報筋らは、複数の米政府機関やEUの同様組織などの規制当局によるGoogleへの法的挑戦を指摘し、それらによって同プラットフォームにおける広告プレースメントの性質を巡る実態が、さらに明るみに出る可能性があると予測する。
「もしもGoogleが解体されるようなことになれば、支出の自制を考えるクライアントも出てくるだろう」と、前述のエージェンシー勤務の情報筋は話す。「だがいまのところ、Googleは文字どおり巨大であり、だからこそ『そちらが嫌なら、止めてもらって一向に構わない』という強気に出られるわけた。彼らにしてみれば、それで何の問題もない」。
米DIGIDAY宛ての声明文のなかで、アダリティクスのクリストフ・フラナゼック氏は調査の独立性を強調しており、「Googleのライバルプラットフォームやアドテクベンダーが陰で糸を引く中傷キャンペーンの道具ではない」と付け加える。
「誓って断言する。我々の調査は誰からも、どのプラットフォームからも資金提供を受けていない。いかなるアドテクベンダーからの資金も、いかなる類の収益も受け付けない。それがアダリティクスの主義だ」。
[原文:Transparency woes mount, just as Google’s antitrust pressures start to intensify]
Ronan Shields(翻訳:SI Japan、編集:島田涼平)