TikTok上の広告によってクライアントが得る価値はどのように定量化するべきか。それを広告エージェンシーたちに教育することを目的とした計測方法・認定プログラムのようなものをTikTokは開催し、エージェンシーたちにひっそりと参加させている。
TikTok上の広告によってクライアントが得る価値はどのように定量化するべきか。それを広告エージェンシーたちに教育することを目的とした計測方法・認定プログラムのようなものをTikTokは開催し、エージェンシーたちにひっそりと参加させている。ホライズン・メディア(Horizon Media)、グループエム(GroupM)、ヴェイナーメディア(VaynerMedia)のヴェイナーX(VaynerX)が最初の参加企業であることを同社が12月13日に認めた。TikTokの関係者によると、希望するブランドにはトレーニング参加への機会が開かれているという。
同プラットフォームは幅広いユーザー基盤を持つものの、広告主のなかにはそのターゲティング能力とコンバージョン率を懸念する企業も存在する。今回のトレーニングは、広告主におけるTikTokの重要性を強化するための手段といえる。
このプログラムをTikTokは、TikTokメジャーメントアカデミー(TikTok Measurement Academy)と呼んでいる。12月13日に公開されたリンクトイン(LinkedIn)上の投稿では、TikTok広告の「真のビジネス価値」を計測するための「最新測定ソリューションのベストな実践・展開」に、広告代理店やブランドにが専念するための手段だとアピールした。
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まだ「初期段階」のプログラム
TikTokの担当者は、このプログラムは「初期段階」であり、参加無料ですべての代理店やブランドに開放されていると説明。まだブランドからの参加はないという。
ホライズン・メディア(Horizon Media)は、約80人の従業員をTikTokメジャーメントアカデミーに参加させると発表した。メディア有効性・ブランド有効性測定、そしてオンラインやオフラインの販売寄与測定や増分測定まで、どの測定ソリューションが顧客のTikTok戦略に適しているかを理解するために設計されている、というのがホライズン・メディアの捉え方だ。
「TikTokの数字は増え続けている。それはユーザー数だけでなく、投稿される動画コンテンツの範囲という意味でも増えている」とホライズン・メディアのアドバンスビデオとエージェントパートナーシップ部門シニアバイスプレジデントのアレックス・ストーン氏は語る。「ブランドがキャンペーンで(TikTokの)コンテンツを利用する目的は、特定のイベントや人気取りに注力する目的から、消費者と関わるためのより戦略的な目的へと変わった」。
TikTokが大衆に人気の理由は、決まりやルールの少ない自由奔放なコンテンツにあるかもしれないが、インフルエンサーマーケティングの台頭も人気の高まりの一因かもしれない。エージェンシーたちはこの点を学ぼうとしている。「ブランドに影響を与えるインフルエンサーの能力が成長し続けるなかで、TikTokはプラットフォームとしての重要度を増しており、ほかのメディアチャンネルと同様に、TikTok全体で何を測定できるのか、どのように指標を改善させるのか、をしっかり理解する必要がある」とストーン氏は語る。
勢いを急速に増すTikTok
マーケティング担当者のあいだで、バイトダンス(Bytedance)が所有するTikTokに対する熱は高まり続けている。ハブスポット(HubSpot)とトークウォーカー(TalkWalker)が最近発表した最新のソーシャルメディアトレンド報告によると、TikTokは2021年、Facebookに続いて2番目に、世界で30億ダウンロードを達成したアプリとなったという。また同レポートによると、マーケターの3人に2人が2022年に同プラットフォームへの投資を増やす計画だという。
TikTokのプログラムは、GoogleやFacebookが2010年初頭にメディアエージェンシーたちに提供していたトレーニングや認定プログラムと似ている。当時はまだこれらのオプションがクライアント獲得にどのようにつながるか不明確であったものの、勢いを急速に増していた。
MICHAEL BÜRGI(翻訳:塚本 紺、編集:長田真)
Illustration by IVY LIU