アプリ開発者は、新規ユーザーの獲得とユーザーの引き留めのため、あらゆる手立てを模索している。そんななか、とあるデベロッパーがGoogleの驚くべきマーケティングを発見した。
2015年9月、Googleは、自社のプレイストアやYouTube、検索結果などでアンドロイドアプリ広告のリーチが可能となるユニバーサルアプリキャンペーンをローンチした。同社は、いままでこのサービスについての情報をいっさい共有していなかった。
車の牽引サービスアプリの開発業者、ホンク(Honk)社によれば、Googleのアプリ広告はFacebookの広告掲載費用の3分の1から4分の1のコストで運用できると主張している。
アプリ開発者は、新規ユーザーの獲得と既存ユーザーの慰留のため、あらゆる手立てを模索している。そんななか、とあるデベロッパーがGoogleの驚くべきマーケティング活用法を発見したという。
Googleは2015年9月、自社のプレイストアやYouTube、検索結果などで、アンドロイドアプリ広告のリーチが可能となる「ユニバーサルアプリキャンペーン」をローンチした。同社は、いままでこのサービスについての情報を一切露出していなかった。
自動車の牽引サービスアプリを開発したホンク(Honk)社は、そのGoogleのキャンペーンを利用すれば、Facebookの広告掲載費用の3分の1から4分の1のコストで済むと主張する。
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費用の50%をGoogleに
「アプリのプロモーションとして、Facebookにだけ莫大な広告費を捻出するのをやめた」と語るのは、ホンクのマーケティング本部長ジェイコブ・ホニグ氏。「いまでは、その費用の50%をGoogleの『ユニバーサルアプリキャンペーン(GUAC)』へつぎ込んでいる」。
GoogleやFacebook、Twitterなどにとって、アプリ広告はモバイル収入源のカギとなる。だからこそ、自社広告エコシステムのすべてにインストールボタンを設置しているのだ。
アプリインストール広告は、アメリカのモバイル広告出稿額の10%を占めており、2015年は30億ドル(約3691億円)になるだろうとeMarketerでは予測している。しかも鈍る兆候がまったくないという。したがって、アプリ広告には大きな旨味が出やすいが、一方で、悲惨な結果になる場合もある。
CPMが120円〜360円
2015年11月の第3週、無料音楽ストリーミングサービス「Spotify」のライバルだった「Rdio」が破産申請した。最大の債権者はFacebookで、5億ドル(およそ600億円)もの広告料金の支払いが滞っていたという。このケースは、モバイルプラットフォーム経由で新規アプリユーザーの集客のため、アプリ広告へ依存したことが、破産の引き金となった。
またこの事例から、アプリ開発者たちは、広告支出先にとても敏感にならざるをえないことがうかがえる。先述のホンク社の場合、マーケティング支出の半分をGoogleへ移して以来、CPMが1ドル(約120円)〜3ドル(約360円)だったのに対し、Facebookの場合は、9ドル(約1100円)〜12ドル(約1480円)だったとしている。
同氏によると、Facebookへ出稿したホンク社のアプリインストール広告には、1回のインストール(1コンバージョン)当たり、15ドル(約1850円)以上かかる場合もあったという。この額は、Facebook上でのアプリインストール広告が「飽和状態」にあることの表れだと、指摘している。「まったく不愉快だ」とホニグ氏はぼやく。
この問題についてFacebookはコメントを拒否している。
ほかに類を見ないほど効果的
ホンク社によるGoogleの「ユニバーサルキャンペーン」利用は、開始して間もないが、現時点でユーザー数を2倍にできた。すでに1400万ドル(17億2400万円)の収益を生みだすことに成功しているという。これにより、同社には少しばかりの裁量の余地が生まれた。
なお、ホニグ氏は同社のマーケティング予算とアプリのアクティブ数については語ろうとしなかった。だが、Googleのプレイストアによれば、ダウンロード数は5万回に達している。
Googleのスポークスマン、ジョー・オズボーン氏は「ユニバーサルアプリキャンペーン」を開始したきっかけは、社内の開発者に複雑なオンラインマーケティングに精通している者がほとんどいなかったためだと話す。
「この取り組みは複雑で、まだ不安定であるのは致し方ない」とオズボーン氏。「しかし、『ユニバーサルアプリキャンペーン』は、弊社のすべてのサービス上で即座に、そしてほかに類を見ないほど効果的なアプリ広告運用を提供する」と自信をのぞかせた。
他社が気づく前に……
ホンク社は、Googleが提供するすべてのオンラインマーケティングを活用している。YouTubeでは自動車関連のビデオ広告を打ち、車のトラブルに関する広告を検索結果上にも出稿。そして、今回のようなアプリ広告キャンペーンにも積極的に参加している。
「Googleなしで、我々、ホンク社の成長はなかったと思っている」とホニグ氏。Googleのアプリ広告で得たデータについて語るのは、彼らにとって好ましいことではないという。なぜなら、多くのアプリ開発のマーケターが同キャンペーンに殺到するかもしれないからだ。
「注目を浴びることで競争は激化していくだろう。コンバージョン率が公になってしまうと、他企業のマーケターは飛びつくはずだ」と同氏。「他社が気づく前に、先手を打ち続けねばならない」と言葉を結んだ。
Garett Sloane(原文/訳:南如水)
Image from Jason Howie