Z世代にフォーカスしたスキンケアブランド、バブル(Bubble)が、TikTokで人気を博している。
バブルのフォロワー数は、この5カ月間で50万人から110万人へと倍以上に増えた。同社はほぼ毎日動画を投稿しており、動画の中には数十万回、数百万回も再生されているものもある。
バブルは、2020年末の立ち上げ以来、さまざまなチャネルで事業を拡大してきた。最近では、アルタビューティー(Ulta Beauty)とのパートナーシップを拡大したことも手伝って、保湿クリームやマスクなどの商品は米国では約9000店舗で販売されている。これには、コンビニエンスストア(CVS)やウォルマート(Walmart)も含まれる。バブルのオンライン売上は前年比で1000%増加し、店舗内での売上は800%も急増した。しかし、同社は需要が急増していることから短期間で在庫切れになるため、売上がさらに伸びた可能性もあると、CEOのシャイ・アイゼンマン氏は米モダンリテールに語った。
こちらは、小売業界の最前線を伝えるメディア「モダンリテール[日本版]」の記事です
※モダンリテール[日本版]は、DIGIDAY[日本版]内のバーティカルサイトです
Z世代にフォーカスしたスキンケアブランド、バブル(Bubble)が、TikTokで人気を博している。
バブルのフォロワー数は、この5カ月間で50万人から110万人へと倍以上に増えた。同社はほぼ毎日動画を投稿しており、動画の中には数十万回、数百万回も再生されているものもある。
Advertisement
バブルは、2020年末の立ち上げ以来、さまざまなチャネルで事業を拡大してきた。最近では、アルタビューティー(Ulta Beauty)とのパートナーシップを拡大したことも手伝って、保湿クリームやマスクなどの商品は米国では約9000店舗で販売されている。これには、コンビニエンスストア(CVS)やウォルマート(Walmart)も含まれる。バブルのオンライン売上は前年比で1000%増加し、店舗内での売上は800%も急増した。しかし、同社は需要が急増していることから短期間で在庫切れになるため、売上がさらに伸びた可能性もあると、CEOのシャイ・アイゼンマン氏は米モダンリテールに語った。
TikTokで急成長した理由
アイゼンマン氏によると、TikTokでのバブルのリーチは100%オーガニックによるものだ。「これは当社が非常に誇りとする点だ」と同氏は述べる。同社のTikTok動画には教育的なもの(同社のブランドが無香料である理由など)もあれば、ソーシャルメディアのトレンドに合わせたもの(商品を階段の上から転がして壊れるかどうかを試したものなど)もある。最新の動画のひとつは、新しい保湿クリーム「クラウドサーフ(Cloud Surf)」の宣伝で、わずか2時間のうちに22万回ほど再生された。7月21日の時点では再生回数が69万6000回に達している。
バブルはほかのプラットフォームも活用しているが、フォロワー数はTikTokより少ない。たとえば、クラウドサーフの動画は7月21日の時点で、YouTubeショート(YouTube Shorts)では7300回しか再生されておらず、インスタグラムでの「いいね!」は1万1000にすぎない。
アイゼンマン氏は、TikTokでの同社ブランドの急成長は、顧客との関係のおかげだとしている。バブルはTikTokの動画に投稿されたほとんどのコメントに返信し、7000人のファンからなるアンバサダープログラムを作り、投稿にユーザー生成コンテンツ(UGC)を取り入れている。最新のTikTok動画のひとつは、TikTokのフォロワー数が100万人を達成したことについてファンに感謝するものだが、この動画には、顧客がこのブランドの好きな点を話す動画が含まれている。ファンの多くは、自分たちが買った商品を紹介する動画や、アイテムの上手な使い方のヒントを、ハッシュタグ「#bubble」をつけて投稿している。
顧客との関係づくりに活用
バブルはUGCから商品を思いつくこともある。最近の例では、同社にとって新しいカテゴリーでもあるぬいぐるみが挙げられる。アイゼンマン氏は、買った商品を紹介しているファンの動画を見ていて、TikTokerの多くは後ろにぬいぐるみの動物を並べていることに気づいたと米モダンリテールに語った。この気づきと、バブルのもっとも人気がある商品のひとつが保湿クリームだという事実から、同氏とそのチームはバブルの保湿クリーム「スラムダンク(Slam Dunk)」のぬいぐるみ版を作りだした。このぬいぐるみのティーザー動画は57万7000回再生され、「発売されたら即買い決定」「スクイッシュマロ(squishmellow)のバブル版!?」といったコメントが寄せられた。
バブルは通常、TikTok動画の投稿後に売上が急増する。1月には、あるTikTokユーザーの動画がバイラル化したことで、ウォルマート店舗での売上が倍増した。しかし、バブルのTikTokプロフィールのリンクからでも商品を購入することはできるが、アイゼンマン氏は、TikTokのことを主に販売チャネルとは考えていないと語る。
「我々にとって、『TikTokが販売チャネルだ』と宣言するのは非常に難しい。正直なところ、売上のほとんどは、店舗内や、小売、ウォルマート、CVS、アルタで発生するからだ。しかし、TikTokがその成長を大きく促進していることは間違いない」と同氏は述べている。
その代わりに、ブランドへの認知を広め、顧客とつながり、バブルの価値について説明するためにTikTokを使いたいと同氏は語る。「我々は常に会話するかのように、オーディエンスに合わせ、コンテンツを投稿し、話しかける。これは、当社の成長にとっても、我々のコミュニティにとっても、ユニークなことだと思う。我々のオーディエンスは自分たちの声を聞いてもらうのが大好きだから」。
ブランドの意思決定に欠かせないアンバサダーたち
バブルのアンバサダープログラムは、この取り組みの鍵になるものだ。同社はチャットアプリのジェネバ(Geneva)に、バブルの熱心なファンからフィードバックを集めるためのチャットチャネルを設置した。「熱心なファンには、立ち上げようとしているものや、行おうとしていることすべてに関わってもらっている。これらのファンには発売よりはるか前に商品の画像を送り、名前やパッケージの決定を手伝ってもらっている。熱心なファンは、アイデア出しや意思決定プロセスに欠かせない存在になっている」と、アイゼンマン氏は述べている。
バブルのアンバサダープログラムは大人気で、ウェイティングリストには4万1000人もの人々が名を連ねている。「できる限り多くの人々を受け付けたい」とアイゼンマン氏は述べているが、多くの応募者は18歳未満なので、親からの承諾を得る必要がある。「そのため、リストの人々を処理するのに非常に時間がかかる」と同氏は述べる。
バブルのブランドアンバサダーになれるのは14歳からで、インスタグラムや、TikTok、ピンタレスト(Pinterest)、YouTubeのどれかに最低ひとつの有効かつアクティブなソーシャルメディアアカウントがあり、有効な個人用メールアドレスを提出する必要がある(18歳未満なら、親または保護者のメールアドレスも必要だ)。
コミュニティ構築のためのツール
総合コンサルタント会社リングコミュニケーションズ(Ring Communications)の創設者で、サフォーク大学の助教授を務めるキンバリー・リング・アレン氏は、バブルのコミュニティベースの戦略を「賢明だ」と評価する。
TikTokが最初に出たとき、各ブランドはできるだけ多くのコンテンツを作りだそうとした。「誰もが、すべての時間を動画づくりに費やしていた」とアレン氏は米モダンリテールに語った。「ただ矢継ぎ早に動画を作って、ときには見てもらえたが、見てもらえないこともあった。その理由は、戦略がなかったからだ」。
現在、各社はTikTokのようなチャネルをコミュニティ構築のツールと考える傾向が強くなったとアレン氏は述べる。コンテンツを投稿するだけでは十分ではなく、消費者との関係を作り上げることが大事だ。今日の消費者は、「広告に非常に敏感だから」だという。「今の消費者は、広告を見た瞬間にスルーするすべきだと判断する」と同氏は述べた。
顧客をプロシューマーに変える
ブランドは常に、新規と既存のTikTok戦略を定式化しようとするが、これらの戦略はそれぞれ有効性に差がある。食品提供アプリのトゥーグッドトゥーゴー(Too Good To Go)は独自のコンテンツを投稿しているが、3ドル99セント(約559円)でどれだけの食品を買えるかを見せる消費者によるバイラル動画から多くの恩恵を受けている。ペプシ(Pepsi)やピザハット(Pizza Hut)などのブランドは、バイラル化を期待して独自のTikTokサウンドを作成し、部分的な成功を収めた。
最終的に、TikTokを使ってファンからのフィードバックを集めたり、顧客と交流したりする企業が、そこから利点を得ることになるとアレン氏は述べる。「顧客をプロシューマーに変えることができる。たとえば、あなたのフィードバックが大切だとか、あなたに新商品をテストしてもらいたいと顧客に伝える。それによって消費者は大切にされていると感じる。そして、彼らはブランドに関心を持ち続けるのだ」。
[原文:‘They love being heard’: How Bubble built an avid fan base via TikTok and brand ambassadors]
Julia Waldow(翻訳:ジェスコーポレーション、編集:戸田美子)
Image via Bubble