シーイン(Shein)の歴史は10年近くになるが、私たちはいま、このブランドについてようやく詳しくわかりはじめてきたところだ。
eコマースプラットフォームである同社は、この2年間に世界を席巻した。2021年には米国でもっともダウンロードされたiPhoneショッピングアプリとなり、多くの人々を驚愕させた。今日では、App Storeのトップアプリの第3位となっている。
しかし、このような名声とともに、多くの疑問も呈された。たとえば、同社は主にファストファッションアパレルの販売業者として知られている。その商品は安価で、何千もの商品を販売している。これは多くの人々にとっては、無駄が多く、可能な限り安い労働力に依存しているモデルに見える。しかし、何年ものあいだ、沈黙を守ってきたかに見えたシーインはいま、口を開き、同社がどのように機能しているかを説明しようとしている。
「我々は、自社のモデルをオンデマンド生産と呼びたいと思っている」と話すのは、シーインのグローバル戦略および総務責任者を務めるピーター・パーノットデイ氏だ。「その仕組みは、まず売れる可能性がある商品を特定し、少量生産パートナーの1社と協力して、その衣服を10着から100着だけ小規模に生産して、販売に移す」という。その衣服が共感を集めたら、次に、大量生産できるパートナーを探す。「これにより、当社は収益性の高い運用を実現している。また同時に、過剰在庫による無駄を劇的に減らすことができている」。
パーノットデイ氏は、米モダンリテールのポッドキャストに参加し、同社の総合的な方向性、米国とブラジルなどの国々における戦略的な成長、そして、長年プレス発表を控えてきたにもかかわらず、なぜ今になってこれほど大規模なマーケティング活動を行うようになったのかについて語った。同氏は2021年にシーインの顧問弁護士として職務を開始し、昨年に入り、現在のようなより表舞台に立つ役割を担っている。
この1年間、シーインは自社のストーリーを自らの言葉で伝えるため、マーケティング活動を大々的に進めてきた。これには全米各地でのポップアップストアや、インフルエンサーとの協業も含まれている。最近、あるインフルエンサーによるプロモーションで、TikTokのパーソナリティーを中国の工場に派遣し、そこで体験したことをソーシャルメディアに投稿してもらった。ところが、インフルエンサーが資金を受けたプレス旅行をジャーナリズム的な取り組みのように描いたことに対してさまざまな批判を巻き起こすことになった。
しかしパーノットデイ氏は、この行為は全体的に誤解されたと感じている。「あのインフルエンサーは、自身が見たものを正直に語ったと思う。そして、彼らがこの件についてソーシャルメディア上で攻撃されたのは残念なことだった。彼らが旅行で目にしたものを正直に報告したことについて、責任を負うことは何もないと思う」と、同氏は述べた。
このような反発があるにもかかわらず、シーインは人気のあるeコマースプラットフォームであり、日ごとに成長しているようだ。この成長を維持するための大きな取り組みのひとつが、サードパーティーのマーケットプレイスだ。同社は、このプラットフォームで商品を販売してくれるローカルブランドを見つけようとしている。このマーケットプレイスは現在、米国とブラジルの両方で運営されている。
パーノットデイ氏の言葉を借りれば、この取り組みはシーインのローカライゼーション重視の一環だ。「この戦略の最後のピースとなるのは、シーインの衣料品の小規模または大規模に生産するサプライヤーと、当社とともにこうしたローカルな地域の顧客層にリーチすることに関心を持つサードパーティーの販売業社の両方を見つけることだ」と、同氏は述べている。
シーインが求めているのは、同社のコミットメントを共有し、サプライヤーの行動規範を遵守し、必要な規模での生産を行えるブランドだとパーノットデイ氏は語る。「当社は、グローバルなブランドをサポートし、グローバルなマーケットプレイスに関与できるだけの能力と経験がある契約製造業者や小売業者と協力したいと考えている」とも述べている。
同社が望むのは、成長を続けるだけでなく、顧客に直接語りかけられるようになることだ。そして、特に、インフルエンサーの旅行に対する反応を考えると、それを実現するには、将来的にいくつかの障害を乗り越える必要があるかもしれないということを、パーノットデイ氏は理解している。
「どのようなブランドでも、もっとも重要なことは透明性を持つことだと思う。そして、シーインもまた、それを行おうとしていると、私は考える。もちろん、オーディエンスの共感を呼び、繋がり合えるような大成功の瞬間もあれば、それがうまく機能しないときもあるだろう」と、同氏は述べている。
対談からいくつかの要点を以下に示す。これらは明瞭化のため多少の編集を加えたものだ。
こちらは、小売業界の最前線を伝えるメディア「モダンリテール[日本版]」の記事です
※モダンリテール[日本版]は、DIGIDAY[日本版]内のバーティカルサイトです
シーイン(Shein)の歴史は10年近くになるが、私たちはいま、このブランドについてようやく詳しくわかりはじめてきたところだ。
eコマースプラットフォームである同社は、この2年間に世界を席巻した。2021年には米国でもっともダウンロードされたiPhoneショッピングアプリとなり、多くの人々を驚愕させた。今日では、App Storeのトップアプリの第3位となっている。
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しかし、このような名声とともに、多くの疑問も呈された。たとえば、同社は主にファストファッションアパレルの販売業者として知られている。その商品は安価で、何千もの商品を販売している。これは多くの人々にとっては、無駄が多く、可能な限り安い労働力に依存しているモデルに見える。しかし、何年ものあいだ、沈黙を守ってきたかに見えたシーインはいま、口を開き、同社がどのように機能しているかを説明しようとしている。
「我々は、自社のモデルをオンデマンド生産と呼びたいと思っている」と話すのは、シーインのグローバル戦略および総務責任者を務めるピーター・パーノットデイ氏だ。「その仕組みは、まず売れる可能性がある商品を特定し、少量生産パートナーの1社と協力して、その衣服を10着から100着だけ小規模に生産して、販売に移す」という。その衣服が共感を集めたら、次に、大量生産できるパートナーを探す。「これにより、当社は収益性の高い運用を実現している。また同時に、過剰在庫による無駄を劇的に減らすことができている」。
パーノットデイ氏は、米モダンリテールのポッドキャストに参加し、同社の総合的な方向性、米国とブラジルなどの国々における戦略的な成長、そして、長年プレス発表を控えてきたにもかかわらず、なぜ今になってこれほど大規模なマーケティング活動を行うようになったのかについて語った。同氏は2021年にシーインの顧問弁護士として職務を開始し、昨年に入り、現在のようなより表舞台に立つ役割を担っている。
この1年間、シーインは自社のストーリーを自らの言葉で伝えるため、マーケティング活動を大々的に進めてきた。これには全米各地でのポップアップストアや、インフルエンサーとの協業も含まれている。最近、あるインフルエンサーによるプロモーションで、TikTokのパーソナリティーを中国の工場に派遣し、そこで体験したことをソーシャルメディアに投稿してもらった。ところが、インフルエンサーが資金を受けたプレス旅行をジャーナリズム的な取り組みのように描いたことに対してさまざまな批判を巻き起こすことになった。
しかしパーノットデイ氏は、この行為は全体的に誤解されたと感じている。「あのインフルエンサーは、自身が見たものを正直に語ったと思う。そして、彼らがこの件についてソーシャルメディア上で攻撃されたのは残念なことだった。彼らが旅行で目にしたものを正直に報告したことについて、責任を負うことは何もないと思う」と、同氏は述べた。
このような反発があるにもかかわらず、シーインは人気のあるeコマースプラットフォームであり、日ごとに成長しているようだ。この成長を維持するための大きな取り組みのひとつが、サードパーティーのマーケットプレイスだ。同社は、このプラットフォームで商品を販売してくれるローカルブランドを見つけようとしている。このマーケットプレイスは現在、米国とブラジルの両方で運営されている。
パーノットデイ氏の言葉を借りれば、この取り組みはシーインのローカライゼーション重視の一環だ。「この戦略の最後のピースとなるのは、シーインの衣料品の小規模または大規模に生産するサプライヤーと、当社とともにこうしたローカルな地域の顧客層にリーチすることに関心を持つサードパーティーの販売業社の両方を見つけることだ」と、同氏は述べている。
シーインが求めているのは、同社のコミットメントを共有し、サプライヤーの行動規範を遵守し、必要な規模での生産を行えるブランドだとパーノットデイ氏は語る。「当社は、グローバルなブランドをサポートし、グローバルなマーケットプレイスに関与できるだけの能力と経験がある契約製造業者や小売業者と協力したいと考えている」とも述べている。
同社が望むのは、成長を続けるだけでなく、顧客に直接語りかけられるようになることだ。そして、特に、インフルエンサーの旅行に対する反応を考えると、それを実現するには、将来的にいくつかの障害を乗り越える必要があるかもしれないということを、パーノットデイ氏は理解している。
「どのようなブランドでも、もっとも重要なことは透明性を持つことだと思う。そして、シーインもまた、それを行おうとしていると、私は考える。もちろん、オーディエンスの共感を呼び、繋がり合えるような大成功の瞬間もあれば、それがうまく機能しないときもあるだろう」と、同氏は述べている。
対談からいくつかの要点を以下に示す。これらは明瞭化のため多少の編集を加えたものだ。
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シーインの「ローカライゼーション」への新たな注力について
「2023年と2024年にかけて、当社の中核的な戦略は、まさにローカライゼーションにあると思う。そして、マーケットプレイスはこの戦略的目標の延長線上にある。当社にとってのローカライズとは次のようなものだ。当社は、さまざまな方法で顧客により近い存在になり、我々の中核地域により近い存在になりたいと考えている。つまり、最初の方法はエンゲージメントだ。ポップアップ店舗、より地域に密着したオーダーメイドのマーケティング、そして、より地域に密着したオーダーメイドのコレクションをその地域で販売するといったことだ。それには、インフラスの整備も重要だ。つまり、倉庫や配送施設の構築と拡張だ。どちらもすでに米国に存在し、カナダではトロント都市圏の外に新しい施設を建設したばかりだ。ポーランドにも建設しており、現在当社が大規模な営業を行っているブラジルでの拡大も計画している。これは、インフラ整備に関する計画の一部だ。そして、最後に行うのは、シーインの衣料品の小規模または大規模に生産するサプライヤーと、当社とともにこうしたローカルな地域の顧客層にリーチすることに関心を持つサードパーティーの販売業社の両方を見つけることだ」。
シーインが現在、集中的なマーケティングキャンペーンを行っている理由
「その原動力は、当社が顧客と関わり合いたいと思っていたことだ。我々は、アンケートを通じて顧客に耳を傾け、ソーシャルメディアを通じて顧客と交流し、直接的なエンゲージメントの形として立ち上げたポップアップ店舗でも関わりを持つ。我々が耳にすることのひとつは、シーインというブランドは謎めいている、どのように運営されているのがわからないということだ。そのため、我々のビジネスはほかと何が違うのか、低価格を実現するために衣料品の生産プロセスのある側面にどのような革命を起こしたのか、しかも財務的な観点からも、おそらくは環境的な観点からもサステナブルな方法を実現したということを説明するため、マルチチャネルの取り組みを開始した。この最後の部分である環境については、まだ行うべきことがあるのはたしかだ。しかし、当社のブランドの運営については、顧客も、ほかの利害関係者も、多くの誤解をしていると私は思っている。そして我々は現在、それを積極的に訂正しようとしている」。
インフルエンサーの旅行に関するパーノットデイ氏の認識
「どのようなブランドでも、もっとも重要なことは透明性を持つことだと思う。そして、シーインもまた、それを行おうとしていると、私は考える。つまり、自社の考えを表明し、事業がどのように運営されているかを共有し、可能な限りオープンかつ正直であることだ。もちろん、オーディエンスの共感を呼び、繋がり合えるような大成功の瞬間もあれば、それがうまく機能しないときもあるだろう。しかし、リーダーシップチームとして当社の構想を俯瞰した場合、その中心にある目的は透明性だ。つまり、我々が何のために、誰のために事業を行っているのかを共有することだ。また、インフルエンサーの旅行について言えば、それを伝えるための取り組みだったと思う。あのインフルエンサーは、自身が見たものを正直に語ったと思う。そして、彼らがこの件についてソーシャルメディア上で攻撃されたのは残念なことだった。彼らが旅行で目にしたものを正直に報告したことについて、責任を負うことは何もないと思う」。
Cale Guthrie Weissman(翻訳:ジェスコーポレーション、編集:戸田美子)