今、人工知能があつい。MDC、ヒュージ(Huge)、グループM(GroupM)、チームワン(TeamOne)といった大手エージェンシーがボットサービスを加速させている一方、IBMやGoogle、FacebookらがAIの限界を広げようとしている。複数企業の調査に基づいたAIの世界的な現状を5つのグラフで紹介する。
いま、人工知能がアツい。MDC、ヒュージ(Huge)、グループM(GroupM)、チームワン(TeamOne)といった大手エージェンシーがボットサービスを加速させている一方、IBMやGoogle、FacebookらがAIの限界を広げようとしのぎを削っている。
特定業務を遂行可能なハードウェアやソフトウェアシステムといったスマート機器のグローバル市場規模は2016年、74億ドル(約8500億円)だった。しかしBCCリサーチによると今後は年間15%の成長率を重ね、2021年には150億ドル(約1兆7000億円)程度に拡大すると試算されている。
フォレスター・リサーチ(Forrester)は、今年は2500億ドル(約29兆円)だったインサイトによるビジネス規模は2020年には約1兆2000億ドル(約140兆円)になると予測しており、CBインサイト(CB Insights)の調査でもAIへの投資が拡大していることがわかる。
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「AIが成長しているのは、リアルで昔ながらのビジネスの習慣が現代のテクノロジーやプロセスでも解決できないからだ」と話したのはAI企業アドゴリズム(Adgorithms)のCMO、エイミー・インロー氏。「たとえば、マーケティングの問題点として膨大なデータを処理する能力、そしてそれに続く分析や決断を行うマーケターチームに頼ることなく、リアルタイムで対応する能力が欠けていることが挙げられる」。
しかし、過剰な宣伝とAIの実装にはギャップがある。ウェーバー・シャンウィック(Weber Shandwick)とKRCリサーチ(KRC Research)の共同調査によると、消費者担当やマーケティング担当のエグゼクティブも、サイバー攻撃やリストラ、また労働力の転換といった懸念を抱えているという。
複数企業の調査に基づいたAIの世界的な現状を5つのグラフで紹介する。
AI向けのVC投資が拡大中
AI関連の取引件数は2015年、397件と最高記録に達した。ベンチャーキャピタルデータベースを扱うCBインサイト(CB Insights)によると、2016年6月15日、AIを主力とする企業200社以上が15億ドル(約1700億円)を超える資金を調達したという。
2016年第一四半期で、投資額は過去最高に達した。株式投資ラウンドではゴールドマンサックス(Goldman Sachs)やIBMワトソン(IBM Watson)といった投資家による出資が145件程度実施されている。
顧客体験が大きな焦点
AIはロボット工学、知識工学、画像解析、自然言語処理を含む広義語だ。しかし、ビジネスについていうならば、多くの企業がAIを使ってカスタマーエクスペリエンス(顧客体験)向上を望んでいる。
フォレスターが598の企業と技術専門家に聞いたところ、回答者の57%がAIによってカスタマーサポートが改善する、また44%がAIによって既存の製品やサービスを改善する能力が得られると考えているという。それに対して、18%はAIを新たな収入源として捉えている。
AIへの関心と実装のギャップ
前述のフォレスターによる報告書によれば、調査対象となった391の企業と技術専門家の58%はAIの研究段階にあり、AIのシステムを開発したのは12%に過ぎなかった。
2016年11月にテクノロジー企業のデマンドベース(Demandbase)が、500名のマーケティングマネジャーを対象に行ったオンライン調査でも、「AIがマーケティングに特に有用であるか」という点について回答者の78%が「非常に」もしくは「ある程度確信している」と回答したが、現在実際にAIを使っていると答えたのはわずか10%であった。
消費者理解は進んでいない
ブランドとマーケターには遅れを取り戻す時間がある。まだ需要があまりないからだ。ウェーバー・シャンウィックとKRCリサーチが共同でアメリカ、カナダ、イギリス、中国、ブラジルの成人消費者2100名を対象にオンライン調査を行ったところ、「AIについてよく知っている」と回答したのはわずか18%で、「少し知っている」が48%、34%は「AIについて何も知らない」と答えている。
同調査でAIをよく知っていると回答した者のうち、21%がAIブランドの筆頭としてIBMを想起。それに、Google(17%)、Apple(11%)、マイクロソフト(11%)が追随する。
AIによって労働力が変化する
AIは先進技術であり、運用するには新たなタレントをもった人材が必要となる。さらに近い将来において、仕事量の軽減につながるはずだ。前述のウェーバー・シャンウィックとKRCリサーチによる報告書では、アメリカ、イギリス、中国におけるCMOの150名に対しても調査が行われており、その大半が「AIによって仕事が減る」(45%)、また「新たな人材が必要となる」(40%)と回答していることから、従業員の「労働力が変化する」と考えている。まったく変化がないと予想しているのは、少数派(11%)だった。
また、失業問題以外にも、消費者はサイバー攻撃やAI技術の犯罪使用についても懸念していると、同報告書は伝えている。
YuyuChen(原文/翻訳:Conyac)
Image from Thinkstock / Getty Images