Twitterは先日、同社初となるサブスクリプションサービスである、Twitterブルー(Twitter Blue)の提供を開始した。その狙いは、ヘビーユーザーの利用時間を増加させることにあるようだ。
Twitterは先日、同社初となるサブスクリプションサービスである、Twitterブルー(Twitter Blue)の提供を開始した。その狙いは、ヘビーユーザーの利用時間を増加させることにあるようだ。
Twitterブルーの米国における提供が開始したのは11月9日(米国時間)。なお、カナダとオーストラリアでは、約5カ月前にすでにローンチされていた。月額料金は2.99ドル(約341円)で、年額支払いのオプションはない(日本は未対応)。
押さえるべきポイント
- Twitterは米国でのサービス開始にあたり、Twitterブルーにいくつかの機能を追加している。なかでも注目すべきは、Twitterが5月に買収したスクロール(Scroll)の主要機能。これはたとえば、ザ・アトランティック(The Atlantic)やワシントン・ポスト(The Washington Post)など、300以上のサイトの記事を広告なしで読むことができるというものだ。また、Twitterブルーのユーザーは、スクロールが買収してTwitterが閉鎖したナゼル(Nuzzel)の機能にもアクセスできるようになる。ナゼルは、Twitter上のネットワーク内でもっとも共有されている記事のリストと、それらのユーザーが記事について投稿したツイートを表示することができる。
- Twitterブルーのユーザーは、Twitterにおいて検討段階の新機能を、テストする機会を得られる。現時点では、より長尺な動画のアップロード (最長10分) 、ダイレクトメッセージ内の会話のピン留めといった機能が、これに含まれる。
- Twitterは、Twitterブルーがどれだけの人を集めているかについて口を閉ざしている。同社はオーストラリアとカナダで得られた反応に「非常に興奮している」が、サブスクリプション登録者数は公表していない。
ヘビーユーザーによる、ヘビーユーザーのための製品
Twitterが、夏にオーストラリアとカナダで発表したTwitter ブルーの最初のバージョンは、体験よりも、さまざまなカラースキーム、ツイートの保存や整理を可能にするブックマーク機能、スレッドを読みやすく変換するリーダーモードといった、機能面に焦点を当てたプロダクトだった。
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Twitterのプロダクト部門シニアディレクター、サラ・ベイクプール氏は「我々は、アクティブなユーザーを意識してプロダクトを提供している」と述べる。
多くのメディアのサブスクリプションサービスとは異なり、Twitterブルーに登録しても広告表示はなくならない。同社は、広告の排除には関心がないと繰り返した。
争点はARPU
筆者を含む、Twitter中毒のユーザーたちを、長期にわたってプラットフォームに留めておくことは、時間とともにユーザー当たりの売上、つまりARPU(Average Revenue Per User)の増加に貢献するかもしれない。もちろん、その程度はサブスクライバーによって異なるだろうが。
Twitterは、サブスクライブ料金の一部を、スクロールに参加するパブリッシャーと共有しなければならないが、パブリッシャーたちにとって参加における重要な理由のひとつは、スクロールがユーザーひとりごとにパブリッシャーに提供する収益は、ユーザーがサイトを一回訪問することによる広告収入よりも多い、という約束にある。今日の発表に先立ち、スクロールのファウンダーで、現在はTwitterの製品部門シニアディレクターのトニー・ヘイリー氏は記者団に対し、Twitterブルーは、サイト訪問者あたりの広告経由よりも、50%高い収益を上げることを期待していると語った。
しかしスクロールは、より小さな収益基盤からこれを実現しなければならない。同サービスが2020年にローンチされたときの月額課金は、5ドル(571円)だった。これはTwitterブルーよりも60%近く高い。
Twitterブルーは、ユーザー1人当たりの収益を増やすため、Twitterが取り組んできた多くのプロジェクトの一環だ。アナリストたちが注目している数値のひとつに、マネタイズ可能なDAUがあるが、この数字は前四半期にわずかに増加し、前期比2%増、前年比13%増の2億1100万人だった。Twitterはユーザー当たりの平均収益を報告していないが、ある独立系アナリストはTwitterの2020年のARPUを約17ドル(約1941円)、Facebookの約1/3と推定している。
なお、Twitterの株価は年初来で6%上昇し、月曜日の時点で54ドル(約6164円)となっている。直近まではほぼ2桁の伸びを示していたが、直近では多くのアナリストが予想していた収益予測を下回った。
[原文:The Rundown: Twitter bets on long-form content in its first subscription play with Twitter Blue]
MAX WILLENS(翻訳:塚本 紺、編集:村上莞)