ラグジュアリーブランドを扱う中古品販売プラットフォームのザ・リアルリアル(The RealReal)は1月26日、ブルックリンのコブル・ヒル地区に2500平方フィート(約232平方メートル)の実店舗をオープンした。この店舗形式は、同社が「コアストア(core store)」と呼んでいるものだ。
ラグジュアリーブランドを扱う中古品販売プラットフォームのザ・リアルリアル(The RealReal)は1月26日、ブルックリンのコブル・ヒル地区に2500平方フィート(約232平方メートル)の実店舗をオープンした。この店舗形式は、同社が「コアストア(core store)」と呼んでいるもので、規模が小さくひとつのカテゴリーにフォーカスしていることを意味する。それに比べ、彼らが抱える5つの旗艦店は規模が大きく、幅広い商品を扱っている。
小売担当バイスプレジデントであるコートニー・ホーキンス氏によると、同社は現在、12の実店舗を有し、今年はさらに8店舗がオープンする予定だ。実店舗を保有するという点で、同社はほかの再販プラットフォームとは一線を画しているという。
コブル・ヒル店はビンテージ商品に特化しており、そこには高級ジュエリーや時計などのカテゴリーも含まれる。これは、11月にオープンした、紳士服と男性用バッグに焦点を当てるパロアルト店に続く、同社の2番目のコアストアとなった。ホーキンス氏によると、各コアストアの中心テーマとロケーションは、小売チーム、マーチャンダイジングチーム、およびデータチームによって決定されるという。彼らは、ひとつの特定のカテゴリーに興味を持っている顧客が多い地域を見つけ出す。同氏によると、ザ・リアルリアルにおいてビンテージ商品はブルックリン全域の顧客に人気のカテゴリーだという。
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「我々は、店舗がそれぞれの地域社会に溶け込んでいるように感じてほしいと思っている」と、ホーキンス氏は述べる。「我々はそれを商品と店舗の両方を通じて実現する。今回の新しい店には、地元ブルックリンのアーティストによる見事なタイルの作品など、いくつかのオリジナルのアート作品がある。たとえば、マンハッタンのソーホー地区にある店舗は、目玉となる商品と店舗デザインの両方の面で、よりクラシックで伝統的な雰囲気を持っているが、コブル・ヒル店はそれよりも少しトレンディで個性がある」。
コアストアが秘めた魅力
店舗で提供されるサービスも、魅力を加えている。この新店舗では、ハンドバッグ、宝石、時計の品物評価を無料で受けることができる、ふたつの高級委託販売オフィス(LCO)が設置されている。実店舗とLCOを活用するザ・リアルリアルのスタイルは、昨年から人気が高まっている。同社によると、LCOや小売店舗経由で入ってきた委託販売商品は、昨年11月に前年同月比で51%増加したという。新店舗では、2人の顧客が同時に品物評価を得られるように、ふたつのLCOを設置した。
また、専門カテゴリーを持ったコアストアは旗艦店よりも多くの商品を供給できることが証明されている。パロアルト店では、オープンから最初の10日間の委託商品出荷品数は、マディソンアベニュー旗艦店の最初の10日間の出荷品数を上回った。ホーキンス氏は店舗の実売率の詳細については明らかにしなかったが、店舗は毎日新製品を受け取っており、数週間のうちに店舗の全在庫が入れ替わることもあると述べた。
業界全体での再販への関心の高まりとパロアルト店の成功は、同社の店舗での小売に焦点を当てた取り組みが軌道に乗っていることを示唆している、と同社は述べている。
「人々がほとんど家に閉じこもっていた年に、高価なバッグの需要が急増したことは、直感に反するように思える」と、同社マーチャンダイジング担当シニアディレクターのサーシャ・スコーダ氏は述べた。「しかし、買い物客はもっとも基本的な外出においてスタイルを加えるために、高級バッグに目を向け、それが価値を押し上げた」。
ファッション再販の隆盛
2020年の4月から8月にかけて、投資家はさまざまなファッション再販企業に1億3000万ドル(約137億円)以上の資金をつぎ込んだ。ホーキンス氏によると、再販市場の競争が激化するにつれ、同社が持つ小売実店舗は「競争上の優位性」になっているという。彼らにとっての直近の競合他社たちは、比較的小さな規模の実店舗しか持っていないからだ。
競合のファッションファイル(Fashionphile)には4つの店舗があり、リバッグ(Rebag)には9つ、ヴェスティアラ・コレクティブ(Vestiaire Collective)は2019年にロンドンで最初の店舗をオープンしたばかりだ。ザ・リアルリアルは現在12店舗を抱えており、さらに8店舗が追加される予定だ。
ホーキンス氏によると、対面での品物評価や店舗外での受け渡しといった実店舗の機能が既存顧客に付加価値を提供するだけでなく、新規顧客に同社を紹介する手段としても役立つことを期待しているという。彼女によると、同社のチームは店舗のある市場向けに顧客プロフィールを作成し、それぞれに独自のデジタル(ソーシャル広告や検索広告を通じて)および屋外マーケティング戦略を開発したという。
回復を牽引する実店舗
彼らの戦略はうまくいっているようだ。昨年11月の同社の新規購入者数は前年比24%増だった。昨年11月がデータ入手可能な最新の月となっているが、この月の流通取引総額は前年同月比3%減だった。しかし昨年4月の前年同月比33%減からは大幅に改善している。4月以来、実店舗での小売が同社の回復の大部分を牽引してきた。
「実店舗を拡大することで、市場シェアを獲得したいと考えている」とホーキンス氏。「パンデミック中であっても、店舗の業績が好調であるということは、1年を通して店舗を出し続ける自信につながる。この方法で我々は突出することができる」。
[原文:‘Our competitive advantage’: The RealReal expands its physical footprint with new Brooklyn store]
DANNY PARISI(翻訳:塚本 紺、編集:長田真)
Photo credit: Joyce Lee