FUTURE OF WORK

「多職」を好む、Z世代とミレニアル世代の従業員たち:「肩書きがひとつの時代は過ぎ去った」

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パンデミック以前、我々は束縛されていた。

ソフトウェアエンジニアとして働くシカゴ在住のキャシディ・ウィリアムズ氏を例に取ろう。ウィリアムズ氏は、アドバイザーや投資家、メンター、ライター、講演者、ポッドキャストの司会でもある。

「仕事が生活のかなり多くの部分を占めているので、さまざまな職種をこなした方が、おもしろくて刺激がある。人々は今、かつてないほど、協力したり、創作したり、ひと括りにされないようなことをしたりできる。肩書きがひとつの時代は過ぎ去った」と、ウィリアムズ氏はいう。

一方、ロンドン在住のリチャード・ファーン氏は、非営利団体の運営や投資の管理を行うかたわら、ミュージカルを制作中だ。「毎日、ただ同じ事をするという考えがずっと好きではなかった。情熱を抱いている関心事が複数あり、それらが自然と多様な収入源になった。現代の仕事への考え方と柔軟な技術のおかげで、私の世代は、以前なら不可能だった方法で多くのことを掛け持ちできる」と、ファーン氏は語る。

専門職の労働人口、それも特に25~40歳のミレニアル世代と24歳までのZ世代は、フルタイムの仕事やひとりの上司といった概念をますます拒絶し、一度に複数の仕事を掛け持つ「ポリワーク(Polywork)」、つまり「多職」を好むようになりつつある。

「生涯にひとつの仕事」は、もうない

この開花しつつある労働力について、その名もポリワーク(Polywork)と名付けられた新しいソーシャルネットネットワークが実施した調査によると、調査対象である21~40歳の労働者1000人のうち55%が、刺激的な仕事は金より重要だと回答している。ひとつの仕事を一生続けると想像できるという回答は35%にとどまり、64%近くは、すでに複数の仕事をしているか、将来そうしたいと望んでいると回答した。パンデミックでこの傾向が加速したと信じている調査対象者は、70%を超えた。

パンデミック中に仕事に対する満足度の低下、従業員たちが過小評価されていると感じていること、上司とのコミュニケーションやつながりが不足していることなど、数多く報告されているが、働き方としてのポリワークの台頭はこの状況と符合している。小規模企業を支援する企業スカイノバ(Skynova)による最近の調査では、仕事の質に直結する目標を与えられていると回答した従業員は53%に限られたのに対して、業績基準を超える従業員に報奨を与えていた雇用主は45%だった。

ポリワークのサイトでは、ユーザーが、個人のウェブページの無料作成や、個人または職業として手がけているものの共有、ほかの会員への協力要請を行える。支援者には、クラブハウス(Clubhouse)やエアテーブル(Airtable)、ブレックス(Brex)の初期の投資家であるレイ・トンシング氏や、YouTubeの共同創設者スティーブ・チェン氏、ツイッチ(Twitch)の共同創設者ケビン・リン氏、ペイパル(PayPal)の共同創設者マックス・レブチン氏、VSCOの共同創設者ジョエル・フローリー氏、ビーハンス(Behance)の創設者スコット・ベルスキー氏、ワークライフ・ベンチャーズ(Worklife Ventures)の創設者ブリアンヌ・キンメル氏など、シリコンバレーの著名人が含まれている。

「コミュニティのデータから、生涯にひとつの仕事といったようなことは今後はもうなくなるとわかる。過去10年間に与えられてきたひとつの仕事の肩書きを拒み、現在行っているさまざまなことすべてを表現して、自分の思うがままに同時に複数の形で働く方が好まれているのが見て取れる」と、英国のベルファスト出身で、Googleおよび M&Cサーチ・ロンドン(M&C Saatchi London)の元デザイナーであり、ポリワークの創設者であるピーター・ジョンストン氏は指摘する。

「自分を好きなように定義できる」

SNSのポリワークは、Z世代とミレニアル世代をターゲットにしているが、あらゆるライフステージやキャリアの人々に門戸を開いていると、ジョンストン氏は強調した。現在、会費は無料だが、同チームは、ユーザーがさらに共有できるように、プレミアムバージョンの開発に取り組んでいる。

ジョンストン氏は、パンデミック中に上司から優秀な人材へと権限が大幅にシフトしたと指摘する。「起業家への史上最大のシフトを目の当たりにしている。いま、世界で何が起きているのか考えてほしい。国全体が非常に張りつめている状況を誰もがくぐり抜けた。やりたいことをやる気にさせるのに、これ以上のきっかけはあり得ないのではないか。フルタイムのライターになったり、事業を始めたりできるのだから」。

ジョンストン氏の意見では、多面的な職業人生を送りたいというそうした欲求は、雇用主に理解され、支持されなければならないという。「企業が優秀な人材の話に耳を傾けなければ、そうした企業は時代遅れになり始めるだろう」。

ソフトウェア開発プラットフォームのGitHubで、サンフランシスコを拠点に調査および将来のプロジェクトを担当しているディレクター、イダン・ガジット氏は、次のように語った。「履歴書を数多く見ていると、コードの作成と書かれているばかりで表面的だ。コードを作成するだけでなく、プロとして成長し、結果に対して責任を持てるような人材や機会をどこで見つければいいのか? プロとしての成長とはそういうものだ」。

ガジット氏のようなミレニアル世代は、今の自分が本来の自分だとは考えていないことが多く、あらゆる世代の多くのプロフェッショナルと同様に、類型化されていると感じやすい。ポリワークは、それを変えようと目指している。「人々は、多種多様なことを行い、そうしたことから価値を引き出していることを理解してもらえる場がほしいと言っている。今は、自分を好きなように定義できる」とガジット氏は語った。

[原文:The Job Juggle: Gen Z and millennial employees embrace the concept of ‘Polywork’

TONY CASE(翻訳:矢倉美登里/ガリレオ、編集:小玉明依)