テンセントは海外市場に本格的に目を向ける中、中国市場への広告を日本企業に対して提案している。コーポレートバイスプレジデントのスティーブン・チャン氏は「テンセントのエコシステムにより中国のインターネット利用者のほとんどに影響力を及ぼせる」と語り、日本の広告主、広告代理店に中国市場向けの広告を紹介した。
テンセントは海外市場に本格的に目を向けるなか、中国市場への広告を日本企業に対して提案している。コーポレートバイスプレジデントのスティーブン・チャン氏は「テンセントのエコシステムにより中国のインターネット利用者のほとんどに影響力を及ぼせる」と語り、日本の広告主、広告代理店に中国市場向けの広告を紹介した。
チャン氏は9月20〜21日に開催されたアドテック東京で「我々のプラットフォームはWeChat(微信)でもなく、QQでもなく、『テンセントエコシステム』と呼ばれるべきものだ」と語った。テンセントはソーシャル、メッセージングアプリ、ゲーム、コンテンツ配信、決済、金融など幅広いビジネスを展開。一方で、音楽ストリーミングアプリを4つ、VR(仮想現実)ビジネスを3つ、映像制作会社2つを同時に経営するなど、社内で競争を繰り広げる企業文化でも知られる。
他にもUber(ウーバー)に競り勝ったライドシェアDidi Chuxing(滴滴出行)、ECサービスのJD.comにも出資しており、最近は海外企業への出資、M&Aも目立っている。
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チャン氏は広告ホールディングス世界3位ピュブリシス系エージェンシー出身。この巨大なプラットフォームからもたらされるデモグラフィック(属性)データと行動データに、ECから得られた購買データを足すことで、素晴らしいデータ源になると説明した。「中国のネット利用者の90%がモバイルを利用しており、モバイルユーザーの利用時間55%がテンセントのエコシステム内で消費されている」と語った。クロスデバイスの行動をユニークIDにより、深く理解できると説明した。
チャン氏はデジタル広告の買い付けについて、プロプライエタリ(専売的)な広告プラットフォームを整備していると語った。テンセントのプラットフォーム上には、DSP、アドエクスチェンジ、SSP、DMPがひと揃いになっている。この「すべて1カ所で完結する仕組み」は、Google、Facebookに共通する。
テンセントバイスプレジデントのスティーブン・チャン氏
広大なエコシステムは、ひとつの趣味関心に対し、ソーシャルのインフィード広告、EC、動画ストリーミングなど、さまざまな方法でアプローチできるとも、チャン氏は説明した。
テンセント・シニアダイレクター、ベニー・ホー氏はDIGIDAY[日本版]のインタビューに対し、テンセントの広告プラットフォームにより、中国人観光客に日本企業が広告を打てるよう支援したいと語っていた。同時にテンセントのプラットフォームは巨大なため、今年から明確になった海外戦略に際しては、ひとつひとつ輸出すると語っていた。
テンセントの事業規模はFacebookに肉薄している。第2四半期決算では収益、純利益がFacebookに接近し、時価総額は9月20日11時時点で1.97兆香港ドル(25兆9000億円)と、アリババと並んでアジア最大のネット企業のレベルで推移している。9月5日には一時的に、チャイナモバイル(香港)を抜き、世界で10番目に大きな企業になっていた。
Written by 吉田拓史