プライム・ネトフリとは競わない、3番手狙う動画サービス:「スターズプレイ」のいまどきな戦略

アメリカのケーブルテレビ局スターズ(Starz)は11月第5週、ストリーミングアプリの「スターズプレイ(StarzPlay)」を英国、ブラジル、ドイツ、フランス、メキシコでローンチした。さらに同社は2020年には合計20カ国での展開を予定している。

スターズが参入したストリーミング分野では多数の大手グローバル企業や地元メディア企業がしのぎを削っており、厳しい競争が繰り広げられている。そんななか、スターズの親会社ライオンズゲート(Lionsgate)が有するスターズプレイはNetflix(ネットフリックス)と争うのではなく、Netflixの「仲間」となることを目指しているという。会員費用は毎月5ドル(約540円)で、「バットマン」の前日譚となる「ペニーワース(Pennyworth)」や犯罪ドキュメンタリーの「ザ・アクト(The Act)」、セス・ローゲン氏とジョセフ・ゴードン・レビット氏によるコメディ「50/50」といったオリジナル番組も提供される。

これに伴い、スターズネットワークのコンテンツは自動的に独占配信となる。またスターズプレイ・インターナショナル(StarzPlay International)は新番組やライオンズゲートのコンテンツ獲得も目指しているという。スターズプレイはこれまでAmazon Prime(プライム)やApple TVといったプラットフォームから世界中に配信を行ってきた。

スターズの国際デジタルネットワーク担当エグゼクティブバイスプレジデントを務めるスパーナ・カル氏は「NetflixやAmazonといった大手と張り合うつもりはない」と語る。「目指すのはこうした大手のプラスアルファとなるサービスだ。価格もライバルとはならない程度に抑えている」。

狙うのは「補完的な立ち位置」

カル氏によれば、スターズプレイ・インターナショナルは5年以内での1500万から2500万人程度の会員獲得を目指しているという。
メディア解析企業アンペア・アナリシス(Ampere Analysis)によれば、欧州では消費者1人あたり平均で2.5個のサブスク動画サービスを契約している。スターズプレイが狙っているのはNetflixやAmazonといった超大手と、運営およびコンテンツにかかる費用が少ないニッチな専門分野の中間層だ。この中間層には、ほかにも楽天TVやITV、同様にNetflixの補完的な立ち位置を狙うBBCのブリットボックス(BritBox)などがサービスを展開している。

カル氏はすでにアプリのマーケティングを開始しており、数週間以内にさらに積極的な活動を行っていくという。たとえば英国では「ペニーワース」の屋外広告や、Amazonプライムで配送されるダンボール内に広告を入れるといった宣伝を行っている。米国におけるパートナー企業探しも重要となる。価格を抑えているため、パッケージにも組み込みやすいとカル氏は語る。実際、スペインではボーダフォン(Vodafone)がスターズプレイとAmazonプライムやムービスターシリーズ(Movistar Series)のパッケージ商品を提供している。カル氏は次の四半期で世界的な提携を発表すると述べている。

スターズプレイ・インターナショナルの配信およびマーケティング費用は2019年9月までの3カ月で640万ドル(約7億円)だった。前年同期は80万ドル(約8700万円)で、アプリのグローバル展開にともなって大幅増となっている。ライオンズゲートによる最新業績発表によれば、第2四半期におけるスターズのOTTサービス登録者数は世界で560万人となっている。スターズのサブスクサービス全般の登録者数は世界で2700万人となっている。そのうち2470万人が国内の登録者だ。

米国以外でも知名度向上を

カル氏はスターズプレイのブランドとしての特徴は「セクシー」で「高品質」、「最先端」であり、男女問わず楽しめるサービスを目指していると語る。

カル氏は登録者数以外にも、スターズが米国ほど知られていない地域における知名度向上も目標としているという。

米ソニー・ピクチャーズ エンタテインメントに勤め、16年間にわたり複数のグローバルネットワークサービスを立ち上げた同氏は次のように語った。「新番組を展開し、世界的にブランドを1から作り上げるというのは大きな挑戦だ」。

Lara O’Reilly(原文 / 訳:SI Japan)