アップネクサス(AppNexus)、ルビコン・プロジェクト(Rubicon Project)、インデックス・ エクスチェンジ(Index Exchange)は、プログラマティックの予算の不透明な取引方法を敬遠し、バイヤーがそうしたオークションの謎を解くのを手助けできるベンダーとして、立場を強化しつつある。【※本記事は、一般読者の方にもnoteにて個別販売中(480円)です!】
アップネクサス(AppNexus)、ルビコン・プロジェクト(Rubicon Project)、インデックス・エクスチェンジ(Index Exchange)は、プログラマティックの予算の不透明な取引方法を敬遠し、バイヤーがそうしたオークションの謎を解くのを手助けできるベンダーとして、立場を強化しつつある。
だが、現状は、1年前に行われた一部のサプライサイドプラットフォーム(以下、SSP)の宣伝とはほど遠い。宣伝では、ビッドキャッシングをめぐる騒動によって証明されたように、プログラマティックの問題への取り組みについては、デマンドサイドプラットフォーム(以下、DSP)が上回ってきたように思われた。そのため、すでに飽和状態でコモディティ化しているマーケットプレイスにSSPがもたらす価値を疑問視する観測筋もいた。
比較的大手のベンダーは2019年に、そうした疑問に答えようとするだろう。
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アップネクサス
アップネクサスは2018年後半に、アドテクを利用してパブリッシャーのインベントリー(在庫)を購入する際に、テック手数料にどれだけの金額が費やされるか、アドバイヤーが確認できるようにすると述べた。だが、それでアドテク手数料が十分に明らかになるわけではない。米国では、バイヤーは取引の82%で手数料を確認するが、世界的には、開示された手数料の58%しか見ることができない。
広告予算に起きていることの全容が、このことから明らかになるわけではないが、パブリッシャーのインベントリーにいたる最短でもっとも安上がりなルートを広告主が切り開くには十分な可能性もある。たとえば、隠れた料金を課していないSSPにだけ広告主が接続できれば、適正な価格で適切な入札を勝ち取るチャンスが増える。
そういった水準の洞察を提供するのは、簡単なプロセスではない。アップネクサスの場合は、バイヤーが求めるほど大きな洞察を提供するのに十分なセラーと契約交渉するのに、1年掛かった。
だが、テック手数料の透明性よりも提供すべきものがあるようだ。広告主は、プログラマティックバイイング、それも特にパブリッシャーとエクスチェンジ間の動きについて、もっと学べる機会に傾斜しつつあると語るのは、アップネクサスを所有するザンドラ(Xandr)で製品担当シニアバイスプレジデントを務めるライアン・クリステンセン氏だ。それがマーケターとの実りある会話に直接つながってきたと同氏は述べる。そうした話し合いでは、オークションの動態やパブリッシャーとエクスチェンジの統合といった話題に焦点が当てられる傾向があると説明した。
「テック手数料の透明性は、広告主がパートナーを評価して、使えるメディア予算を最大限に利用するのを手助けする重要なステップだ。パブリッシャーとのテック手数料の透明性に関する合意と同様に、我々は、サプライパスに対するマーケターの可視性を推進して、業界の標準になってきた」と、クリステンセン氏はいう。
ルビコン・プロジェクト
ルビコン・プロジェクトも似たような見方をしている。
SSPのルビコン・プロジェクトは、オークションに関わる各ベンダーに流れる金額を確認するために、広告主がプログラマティックサプライチェーンを通じて予算を追跡するのを手助けしようとしている。標準として提供するのではなく、求めている広告主にサービスを提供している。だが、洞察に対して、広告主は金を払う必要はない。テック手数料の公開に同意するオプションをルビコン・プロジェクトがパブリッシャーに与えた11月に、サービスがはじまった。現在は次の段階への取り組みが進められており、いずれは、認可を受けたバイヤーに対して、手数料に関するそうしたデータを「安全かつ効率的に」送信すると、同社の広報担当者は述べている。
アップネクサスの取り組みほど壮大ではないが、ルビコン・プロジェクトのサービスは、数は少ないが信頼性の高い企業を中心にまとまっている市場で、アドテクベンダーがいかにして差別化しようと努力を続けていくかを垣間見せている。
アップネクサスと同様に、ルビコン・プロジェクトはファーストプライスオークションを運営し、SSPに対する昨年の反発に先だって、もっと透明性の高い形でインプレッションを売る、別の方法を開発してきた。低い手数料率と少ない落札による売り上げの損失を埋め合わせる方法を考え出さなければならないルビコン・プロジェクトのようなベンダーにとっての最終段階は、あらゆる点でウォールドガーデンと同じくらい効率よく、説明がつく形で、オープンウェブで入札を行うことだ。
「昨年から引き続き今年も、透明性を差別化要因や料金請求の対象にするのではなく、掛け金代わりにするのが狙いだ。たしかに、手数料率を透明化するために、広告主に料金を請求するのは、直観に反している。何があっても、この動きに促されて業界の他社があとに続いてほしい」と、ルビコン・プロジェクトの広報担当者は語る。
インデックス・エクスチェンジ
インデックス・エクスチェンジは、エクスチェンジを通じたすべての広告支出に適用される標準的な固定料金に同意し、パブリッシャーはインプレッション単位のコストの金額を意識している。SSPは常に、パブリッシャーと合意した交渉前の料金を除外した正味入札額を提示するので、いつも落札額をそのまま受け取ると、アドテクベンダーのインデックス・エクスチェンジは声明で述べている。
セルサイドでは進歩してきたが、バイヤーはSSPの取り組みが十分だとは思っていない。DSPやエージェンシー、さらにはBTグループのような一部の広告主も、自社の目的のためにオークションを操るのを止める気のないそうしたベンダーをブロックすると脅している。
「サプライサイドで起きていることについて洞察を得るのは、私やチームにとってまだ遠い未来だ。そういったベンダーと会って居心地よく感じるくらい、サプライチェーンのその部分の仕組みについて十分な知識がある者を採用するのは、これまで困難だった。いまも誰かを雇っているが、そういう可視性を得るのには、ある程度時間が掛かるだろう」と、国際的な広告主のシニアマーケターは、匿名を条件に語った。
「公正なオークションを」
皮肉な見方をすると、セルサイドで現在次々と行われている透明性に関する取り組みは、十分ではない。
「一部のエクスチェンジが取引から得ている金額を知ることに力を注ぐだけでは、エネルギーの無駄遣いのように思える。透明性を実現しつつあるように感じられるが、実用的な目的はまったく果たされない。もっと実用的なのは、バイヤーがオークションの仕組みを理解できるデータを、SSPが協力しているエクスチェンジから得られるかどうかだ。そうした情報があれば、マーケターは公正なオークションが行われているかどうか把握し、参加を望むかどうか判断できる」と、匿名のままでいることを求めたアドテクコンサルタントは語った。
Seb Joseph(原文 / 訳:ガリレオ)