DAZN 、「オリジナル番組」の配信開始へ

パフォーム・グループ(Perform Group)のスポーツストリーミングサービス「DAZN(ダゾーン)」は、世界への拡大という目標を達成するために、ドキュメンタリーやトークショー、ポッドキャストなどオリジナルのライフスタイルコンテンツの提供を開始しようとしている。

たとえば、2018年9月に米国でサービスを開始する際、DAZNはボクシングや格闘技を配信するかたわら、リング外での選手たちの姿を軽いタッチで取り上げるオリジナルのデイリーニュース番組で花を添えることになるだろう。

DAZNの最高経営責任者(CEO)であるジェームズ・ラッシュトン氏は次のように語る。「格闘系スポーツの配信権がしっかりと確立されているが、それ以外の要素があまり多くない米国のような市場では、オリジナルコンテンツが必要だ。我々の挑戦の一部として、我々はボクサーをスーパースターに戻さなければならない」。

DAZNの市場展開戦略

DAZNがサービスを提供している市場は現在5つだが、2020年までに20の市場に進出したいと考えている。だが、スポーツの放映権だけではその実現は不可能だ。スポーツ放映権は長いサイクルで固定されている。DAZNは代わりに、メジャーリーグベースボール(日本)、サッカー(ドイツ)、NFL(カナダ)など、その市場でもっとも人気のあるスポーツに絞り込んだサブスクリプションシステムを作り上げ、より多くの権利が手に入るまでのあいだの足がかりを得るつもりでいる。

米国ではボクシングに焦点を絞っている。DAZNは、ボクシングファンは1000万人いて、そのうちの300万人は筋金入りのサポーターだと信じている。DAZNがターゲットにしているのはそういう人々だ。彼らは、9月22日(米時間)に行われるアンソニー・ジョシュア対アレクサンデル・ポベトキンの対戦のようなボクシングのビッグイベントを見るために、以前は高額なペイパービュー料金を支払わねばならなかったが、現在では定額の月額料金を払うだけでよくなった。

試合が視聴されているあいだに、DAZNは視聴データを使って、より多くの購読者を惹きつけるために、どの番組に注力すべきかを決めるだろう。2018年夏のはじめ、DAZNは初のドキュメンタリーを配信した。番組では、チームではなくひとりの選手――ドイツのサッカー選手マリオ・ゲッツェにフォーカスしていた。

各社の狙っているところ

しかし、そうした独占コンテンツの制作にはコストがかかり、ラッシュトン氏は、制作コストが消費者に転嫁されなければならないような、オリジナルコンテンツにDAZNが依存しすぎることを望んでいない。消費者はすでに、ESPNが最近始めた「ESPN+」や「fuboTV(フーボTV)」のような、ほかのサービスから選ぶことができる。

「価値を追加するが、同時に消費者が払う料金に上乗せされなければならない追加費用でビジネスを邪魔しないコンテンツ制作が課題だ」と、ラッシュトン氏はいう。

Facebook、Amazon、YouTube、Netflix(ネットフリックス)もまた、コストがかかるスポーツ放映市場へ参入する方法として長編のオリジナルコンテンツに着目している。こうしたビジネスは高額なスポーツ放映権の獲得に牽引されることが少なく、短期的には、各プラットフォーム上で人々がスポーツを視聴する方法を活用して独自のコンテンツを開発することになるだろう。Amazonはすでにスポーツのライブ番組の周りで広告を販売しているし、伝えられるところによるとFacebookは、サッカーのクリスチアーノ・ロナウド選手に1000万ドル(約11億円)を支払う用意をしている。ソーシャルネットワークの一部であるWatch(ウォッチ)向けリアリティーシリーズの顔になってもらうためだ。

選手と組織の緊張関係

テクノロジープラットフォームからの需要は、同じオーディエンスを販売対象にしているアスリートとスポーツ団体のあいだで緊張関係を生み出している。

コンテンツエージェンシーであるグラビティロード(Garvity Road)の創設パートナー、マーク・イーブズ氏はこう話す。「お気に入りのサッカー選手がインスタグラム(Instagram)のストーリーから距離をおいている世界では、クラブチームのブランドの野心と、選手が個々に追求するかもしれない商業的機会とのあいだに緊張がある」。

Seb Joseph(原文 / 訳:ガリレオ)