設立から6年になるスニーカー再販プラットフォーム「ゴート(GOAT)」は、2019年にアパレル部門を立ち上げた。過去6カ月でアパレル部門の売上、特に女性向けの衣料品の売上は大きく伸びたと、CEOのエディー・ルー氏は語る。アパレルのここ12カ月の売上は前年同期比で500%増えており、顧客の4割は女性だ。
スニーカー再販プラットフォームが関心を寄せるのは、もはや足元のおしゃれだけではない。頭から足先まで、全身の装いへと範囲を広げている。
設立から6年になるスニーカー再販プラットフォーム「ゴート(GOAT)」は、2019年にアパレル部門を立ち上げた。過去6カ月でアパレル部門の売上、特に女性向けの衣料品の売上は大きく伸びたと、CEOのエディー・ルー氏は語る。アパレルのここ12カ月の売上は前年同期比で500%増えており、顧客の4割は女性だ。
24日には、アパレル部門の成長によって新たなラウンドで資金を調達できたことも発表。パーク・ウェスト・アセット・マネジメント(Park West Asset Management)が主導した1億9500万ドル(約215億円)のラウンドによって、ゴートの評価額は18億ドル(約1992億円)から37億ドル(約4096億円)へと倍増した。
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「重複する顧客が多く存在」
「アイコニックな『ゴート』や『ファイトクラブ(Fight Club)』などのブランドを抱えるゴート・グループは、事業の主軸であるeコマースと実店舗という資産を組み合わせて展開している。ブランドの真正性を保ち、価値観に忠実でありながら、グローバルコミュニティと独自な方法でエンゲージメントを構築し、ライフスタイルの広範囲なカテゴリーにおいて市場機会を獲得することを可能にしている」と、電子メールによる声明でパーク・ウェスト・アセット・マネジメントのポートフォリオ・マネジャーであるタイラス・ブックマン氏は述べた。
アレキサンダー・マックイーン(Alexander McQueen)やヴェルサーチ(Versace)などのブランドが、ゴートで新商品を直接販売するようになり、ユーザー間での再販以外にも事業が拡大した。このことによって女性用アパレルは、男性用の倍のスピードで成長しているのだと、ゴートの最高ブランド責任者であるセン・スガノ氏は2月に語っていた。
「スニーカーの顧客とアパレルの顧客には、重複する部分が多くある」とスガノ氏。「スニーカーからアパレルへと領域を拡大できたのは素晴らしいことだった。さらに、(我々がゴートに)参加してほしいと考えていたファッションブランドが、すでに扱いのあったナイキ(Nike)など多くのスニーカーブランドとコラボレートしていたことも、後押しとなった。つまり、(両方の領域には)ゆるやかな関連性があるのだ」。
ストックXも同様に成長
ストリートウェア再販市場においてゴート社の主要な競合相手であるストックX(StockX)も、スニーカー以外へと手を広げている。現在CEOを務めるのは、2019年に参画したスコット・カトラー氏だ。商品カテゴリーの多様化は同社の主たる目標であり、現在は電子機器やコレクティブルも販売している。企業評価額は38億ドル(約4200億円)で、37億ドル(約4096億円)のゴートをかろうじて上回っている。
だが、2020年の流通取引総額、つまりプラットフォームで販売した商品の総額については、18億ドル(約1992億円)のストックXに対して、ゴートは20億ドル(約2214億円)とわずかに上回った。
スニーカー再販で知られる両プラットフォームだが、競争が激化するにつれ、その勝敗の行方を決めるのはスニーカーではなくなる可能性がある。ゴートのスニーカー売上額は、2020年に前年比で100%増加。一方のストックXでは、2019年に扱いを開始した電子機器の売上が、2020年の第3四半期から第4四半期にかけて75倍へと急成長を遂げた。スニーカー事業はいまも規模が大きく、昨年の業界全体での総売上高は700億ドル(約7.7兆円)で、2025年までに980億ドル(約10.8兆円)に達すると予想される。だが、これらのプラットフォームの成長を牽引していくアパレル分野が、競争をより一層激化させていくと考えられる。
ストックXは今後も、シュプリーム(Supreme)とノース・フェイス(Tne North face)のコラボジャケット(2020年第4四半期の同サイトでのベストセラー商品のひとつ)のような希少性のあるコラボレーション商品によって、成長していくとみられる。一方のゴートもブランドと直接連携し、新商品を同プラットフォームでリリースしていくだろうと、スガノ氏は語る。
[原文:Sneaker resale platforms GOAT and StockX are competing on apparel and big valuations]
DANNY PARISI(翻訳:田崎亮子/編集:長田真)