昨年11月BMWが、Snapchat(スナップチャット)の「Snap Ad to AR(スナップ広告からAR)」というAR広告ユニットを実施してから、6カ月のあいだで、100の広告主がこのユニットを購入してきた。スナップ広告(ARを含む)の95%がプログラマティック経由で購入されていると述べている。
BMWは昨年11月、Snapchat(スナップチャット)の「Snap Ad to AR(スナップ広告からAR)」というAR広告ユニットを展開した。これは表示された画像やビデオをスワイプアップすることで、ブランデッドレンズ(フィルター)を起動させるというスナップ広告の一種だ。広告の対象となったのはBMW X2のローンチだった。スクリーン上に3Dバージョンのこのクルマが表示され、その周りをまるでショールームのように人が歩くことができる、というデザインになっている。
Snapchat上でプログラマティック経由で購入できるAR広告ユニットは、これがはじめてだった。それから6カ月のあいだで、100の広告主がこのユニットを購入してきた。Snapchatによると、そのなかには、フットロッカー(Foot Locker)、ナイキ(Nike)、そしてハーシーズ(Hershey’s)といったブランドが含まれている。第1四半期の収支報告において、最高戦略責任者であるイムラン・カーン氏は(ストーリー広告も含めた)スナップ広告の95%がプログラマティック経由で購入されていると述べている。
ARが人気の理由
広告主が「Snap Ad to AR」に惹かれる理由は何だろうか。まず最初に挙げられる理由はコストだ。「Snap Ad to AR」は、それ自体がレンズであるにも関わらず、Snapchatのレンズよりもコストが格段に低い。プログラマティックで、3ドル(約320円)から8ドル(約870円)のCPMでオークションされている、これは通常のスナップ広告と同じだ。また、Snapchatのセルフサービスプラットフォームにおいて、マーケターが1日に購入しなくてはいけない規則を1日100ドル(約1万1000円)から1日50ドル(約5400円)へと下げている。スナップ広告の値段は全体で65%下がったと収支報告で述べられた。スナップ(Snap)にとってはデメリットだが、マーケターにとっては大きなメリットだ。
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Snapchatのレンズは広告に隠れず、前面に出てくるため、より高価になっている。「Snap Ad to AR」ではレンズを使うためにスワイプしなくてはいけないが、レンズの場合は直接現れる仕組みになっているわけだ。レンズの値段も昨年以降、下げられている。12月にはひとつのレンズに対して1日50万ドル(約5400万円)から100万ドル(約1億1000万円)のコストがかかっていたと広告バイヤーたちは言う。いまではオーディエンスをターゲットしたレンズは1日4万ドル(約430万円:プラス契約上のCPM)ほどのようだ。CPMは8ドル(約870円)から20ドル(約2100円)の幅がある。
もうひとつの理由はエンゲージメントだ。年末にかけてのホリデーシーズンに、フットロッカーとジョーダン・ブランド(Jordan Brand)が4つの異なるSnapchat AR広告を制作した。これは新しくリリースされた4つのエアー・ジョーダン・ワン・ゲータレード(Air Jordan 1 Gatorade)コレクションをプロモーションするためだ。クリスマスに広告はローンチされた。北米フットロッカー、マーケティングコミュニケーション部門バイスプレジデントであるフランシーン・フェダー氏は「NBAシーズンのひとつの盛り上がり時期に、ジョーダン・ゲータレード・コレクションについて顧客に知ってもらい、興奮してもらい、そしてエンゲージしてもらうことが目的」だったという。
AR広告における実例
キャンペーンは2日間に渡って行われた。このフォーマットがどれほどのエンゲージメントをもたらしてくれるか、ひとつのテストとなったわけだが、平均的なレンズ利用時間は45秒だった。そしてインプレッション数は400万にも及んだ。
4月中旬にはハーシーズがアイス・ブレーカーズ(Ice Breakers)という商品の広告を展開している。
Ilyse Liffreing(原文 / 訳:塚本 紺)