Snapchat(スナップチャット)の広告プラットフォーム化が進行するなか、その立ち上げに尽力した大手パブリッシャーの自治権が取り上げられる可能性が出てきた。
Snapchatは現在、メディアコンテンツセクション「Discover(ディスカバー)」の広告在庫の管理を強化しようと躍起になっている。「BuzzFeed」「Vox」「コスモポリタン」「IGN」や「MTV」が毎日新しい記事を投稿している「Discover」。Snapchatに詳しい情報筋によると、現状ではいくつかのパブリッシャーが独自広告の独占販売を行っているが、Snapchatはこれに待ったをかけたい考えだという。
このSnapchatの戦略の変化は、ターゲティングツールや広告技術を開発して、広告基盤を進化させるためだ。大規模なスポンサー契約など、パブリッシャーに頼りっきりのSnapchatであったが、今後は見慣れたデジタル広告を提供し、多くの広告バイヤーたちに数百万のインプレッションを提供したいのだろう。
Snapchat(スナップチャット)の広告プラットフォーム化が進行するなか、その立ち上げに尽力した大手パブリッシャーの自治権が取り上げられる可能性が出てきた。
Snapchatは現在、メディアコンテンツセクション「Discover(ディスカバー)」の広告在庫の管理を強化しようと躍起になっている。「BuzzFeed」「Vox」「コスモポリタン」「IGN」や「MTV」が毎日新しい記事を投稿している「Discover」。Snapchatに詳しい情報筋によると、現状ではいくつかのパブリッシャーが独自広告の独占販売を行っているが、Snapchatはこれに待ったをかけたい考えだという。
このSnapchatの戦略の変化は、ターゲティングツールや広告技術を開発して、広告基盤を進化させるためだ。大規模なスポンサー契約など、パブリッシャーに頼りっきりのSnapchatであったが、今後は見慣れたデジタル広告を提供し、多くの広告バイヤーたちに数百万のインプレッションを提供したいのだろう。
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より大きなリーチを提供するため
Snapchatは広告主に対して、「Discover」のパブリッシャーたちがリーチする以上の大きなオーディエンスを提供したいと考えている。そのうえで、それぞれの年齢、性別、場所や使用機器などのデータをもとに、広告を配信する狙いなのだ。もし、あるパブリッシャーにおいて1日あたりの視聴回数が100万回しかなかったとしても、広告主は複数のチャンネルに広告を配信することで、100万人以上に広告を見てもらえることになる。
しかし、これでは「Discover」パブリッシャーが自治権を失うことになると、実際にコンテンツを配信しているパブリッシャー側の情報筋は指摘する。スポンサー契約や料金体系の設定などの柔軟性が失われるからだ。「Snapchatはパブリッシャーによる広告枠の独占販売を廃止し、自らが広告枠を販売できるように計画している」と、漏らす。
通常、Snapchatは「Discover」に参入するパブリッシャーと6カ月間の契約を結ぶ。これは、契約内容を変更する機会を多く与えるためだ。また、期待値以下のチャンネルは廃止し、すぐに新たなチャンネルを立ち上げることでも知られている。
広告プラットフォームとしての成功とは
今回の件について、Snapchatからの回答はなく、また、Snapchatがパブリッシャーの権限をすべて奪い取るという証拠もない。Snapchatが「Discover」を1年前にローンチして以来、同セクションはパブリッシャーにとって、新しい視聴者を開拓し、広告主とスポンサー契約を結ぶプラットフォームだった。Snapchatは広告収入をパブリッシャーと折半していたが、なかには、1視聴あたり2セント(約2.3円)という最低金額を上回る金額を要求できるパブリッシャーもあったという。
Snapchatによると、現在のデイリーユーザーは1億人ほど。その一方で、「Discover」の大手パブリッシャーである米ファッションメディア「コスモポリタン」は、1日あたり300万回ほどの視聴であると発表している。このようにSnapchatは、「Discover」の個別パブリッシャーよりも、全体のリーチ数が上回っているため、Snapchat自らが広告を販売することによるメリットはとても大きい。また、Snapchatには「Live Stories」という別のセクションがある。ここにはパブリッシャー、エンターテイメント企業やスポーツ団体などがスペシャルコンテンツを投稿するのだが、米プロアメリカンフットボールリーグ、NFLがコンテンツを投稿したところ、1000万回の視聴があったという。
「Snapchatが広告プラットフォームとして成功したいのであれば、パブリッシャーを寄せ集めたコンテンツのコレクション以上の存在にならなければならない。そのうえで、オートメーションやアドレス可能性を提供しなければならない」と、メディア技術企業、4Cの最高マーケティング責任者(CMO)、アーロン・ゴールドマン氏は指摘する。
「販売方法の見直しは妥当」
Snapchatは、モバイルデジタル広告プラットフォームに必要なツールもすでに開発し、発表している。2月下旬には、ニールセン(Nielsen)、サイズミック(Sizmek)やイノヴィッド(Innovid)などの広告効果測定企業などが広告キャンペーンの効果測定を行うとも発表した。また、最近ではダイレクトレスポンス広告も導入している。単に広告の視聴回数を販売するのではなく、「アプリをインストールする」といったユーザーの行動を購入できるようにしたのだ。このほかにも、ショッピングリンクが近い将来に実装される予定だという。
米デジタルエージェンシー、VMLの最高イノベーション責任者(CIO)であるブライアン・ヤマダ氏は、「Discover」の現状を考えればスポンサー契約の販売方法の見直しは妥当だと話している。
「広告在庫を解放したということは、手枷を外したということだ。今後は特定の分野に絞ったスポンサー契約よりも、メディアよりのスポンサー契約となるだろう。いまのSnapchatにはそれくらいのスケールはある」と、ヤマダ氏は述べている。
Garett Sloane(原文 / 訳:BIG ROMAN)
Image via AdamPrzezdziek