Snapchat(スナップチャット)は、スナップ・アドプロダクトに新しいセルフサービスプラットフォームを立ち上げようと取り組んでいる。こちらはまもなくロールアウトされる予定で、5月1日にニューヨークではじまるIABのニューフロント・カンファレンスと同時にリリースされる可能性が高いという。
スポンサードジオフィルターに続き、Snapchat(スナップチャット)は、スナップ・アドプロダクトに新しいセルフサービスプラットフォームを立ち上げようと取り組んでいる。
こちらのプラットフォームはまもなくロールアウトされる予定で、米DIGIDAYがインタビューした複数のエージェンシーのエグゼクティブによると、5月1日にニューヨークではじまるIABのニューフロント・カンファレンスと同時にリリースされる可能性が高いという。
匿名希望のあるエージェンシーのバイヤーは、このプラットフォームで「少なくともスナップ・アド用の」セルフサービスオプションがすぐに導入されると述べた。スナップ・アドは、ユーザー投稿が集約される「ストーリー(Story)」やコンテンツセクション「ディスカバー(Discover)」のどちらか、またはその両方でブランドが配信できる全画面縦型動画だ。
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KBSのソーシャルメディア部門、アテンション(Attention)のプレジデントであるトム・ブンテムポ氏は、「Snapchatを迅速かつ効率的に活性化することは困難だった。その主な理由は、オンデマンド・ジオフィルター以外では、セルフサービス広告オプションがまだ不足しているためだ」と述べた。
Snapchatのスポンサードジオフィルター向けのセルフサービスプラットフォームは、昨年12月にが立ち上げられた。これは広告主が1年契約で、選択した地域にジオフィルターを設置できるものだ。
スナップ・アドの現状
だが、スナップ・アドについては、2015年から昨年10月まで、バイヤーたちは管理されたサービスを介してのみ購入が可能だった。こちらは、基本的にSnapchatアドパートナーに向けて広告掲載の申し込みが送信され、彼らによって、その購買管理と実行が行われる。
しかし、去る1月のアップデートでは、メディアバイヤーたちにパートナー技術使用権が与えられ、購買管理をできるようになった。そのうえで、さらにジオフィルターで利用されているものと同様のセルフサービスツールが、次のステップになる。
「セルフサービスプラットフォームのひとつのバージョンがすでに存在しているが、依然としてサードパーティーを経由する必要があり、追加料金や制限もある。Snapchat独自のネイティブツールが出たら、パートナーを介する必要がなくなるので、軋轢の減少につながるはずだ」と、匿名希望のエグゼクティブが語る。
広告主やエージェンシーがほかのプラットフォームから撤退し、さらなるコントロールとレバレッジを求めていることも、この動きに影響している。Snapchatは、この話題に関してノーコメントを貫いた。
システム開発の背景
これらの変化は、特に重要な転機に起こっている。それは、ちょうど同社が株式公開後に、200億ドル(約2兆1675億円)以上の評価額を正当化する方法を模索していたときだった。また、インスタグラムがその領域を侵略しようと、これまで以上に積極的になっている時期に、広告主とその広告宣伝費を引き寄せ続ける必要もある。
あるエグゼクティブによれば、スナップ・アドの最低支出額は1日1000ドル(約11万円)だった。だが、ジオフィルター用のセルフサービスプラットフォームのように、スナップ・アドのプラットフォームも最低支出額が設けられることはないだろう。
デジタスLBi(DigitasLBi)のソーシャルメディアリード担当者、ジル・シェーマン氏によると、エージェンシーはずっとセルフサービスツールを求めてきたという。なぜなら、しばしば手数料を追加してくるAPIパートナーを介した活動は、いつも理想的というわけではないからだ。さらに、多くのエージェンシーでは、社内に自分たちのセルフサービスチームを設け、より機敏に、リアルタイムで購入を実行しようとしている。
「それは大きなアドバンテージだ。我々がコントロールできる範囲が広がるし、効果についてより良く理解することも可能になる」と、彼女は語った。
求められる効果測定
ブルーファウンテン・メディアのメディアマネージャー、アンバー・バウマー氏は、Snapchatが最近行ったいくつかの動きは、こうしたソリューションがまもなく導入されることを指示しているという。彼女によると、スナップ・アドで現在利用可能な独自のレポートダッシュボードと店内のコンバージョントラッキングに関する最新のニュースから、さらに多くの機能がすぐにも提供されようとしていることがわかる。 また、Snapchatは2016年12月にサンフランシスコを拠点にするアドテク企業、フライト(Flite)を買収した。同社は360度の動画広告や縦型動画広告など、魅力的なデジタル広告を作成するツールで有名だ。
ボールド・ワールドワイドのCEO、ブライアン・クリスティアーノ氏を含むほとんどのエグゼクティブは、スナップ・アドのセルフサービスプラットフォームがSnapchatが成功するうえで極めて重要な次の展開となるとしている。クリスティアーノ氏によると、Snapchatは、業界のほかの者と同等のまたはそれ以上のツール、データ、結果を広告主に提供できなければならないという。
Snapchatは、多くのブランドが同社のプラットフォームに広告を掲載することをいまだに躊躇している主な理由が指標の不在にあることを認識している。2月に提出された最初のIPO書類では、これまでいわれてきたように、同プラットフォームがサードパーティーのアナリティクスに依存していたことを示しており、測定誤差が同社にとって問題となる可能性があると認めている。Snapchatは5月に収益報告を行う予定だ。
「巨額の金を動かす」
エッセンス(Essence)のパートナーシップおよびエマージング・エクスペリエンスのグローバルディレクターであるジェレミー・シーゲル氏は、この動きは、収益拡大を求めてのことであると語った。
「この取り組みは、広告主の不平不満に応えるだけではない。セルフサービス広告ソリューションは巨額の金を動かす。管理されているサービスはリソースが必要で、時間もかかる。セルフサービスは素早く広がり、誰でも宣伝を開始することができる」と、シーゲル氏は述べた。
Tanya Dua(原文 / 訳:Conyac)