Snapchat(スナップチャット)はプライバシーポリシーに「広告を含む」という言葉を付け加え、競争の激化が進むデジタル広告業界で競う準備が整った。
この更新は、同社が顧客データをカスタマイズ広告配信に使用できるようにしたもので、変更は2016年3月29日に行われている。しかし、同時に新しく開発された動画やチャットの機能を発表し、こちらの話題は埋もれてしまった。
新しいプライバシーポリシーには、「友人の可能性がある人物たちを紹介したり、広告を含むカスタマイズドコンテンツを提供することにより、サービスをパーソナライズする」と書かれている。だが、このプライバシーポリシーの更新は、より良い広告システムを作ろうとしているSnapchatにとっての大きな改革といえるだろう。
Snapchat(スナップチャット)はプライバシーポリシーに「広告を含む」という言葉を付け加え、競争の激化が進むデジタル広告業界で競う準備が整った。
この更新は、同社が顧客データをカスタマイズ広告配信に使用できるようにしたもので、変更は2016年3月29日に行われている。しかし、同時に新しく開発された動画やチャットの機能を発表し、こちらの話題は埋もれてしまった。
新しいプライバシーポリシーには、「友人の可能性がある人物たちを紹介したり、広告を含むカスタマイズドコンテンツを提供することにより、サービスをパーソナライズする」と書かれている。だが、このプライバシーポリシーの更新は、より良い広告システムを作ろうとしているSnapchatにとっての大きな改革といえるだろう。
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スペシャリストを大量雇用
以前のプライバシーポリシーにも同様の内容が書かれていたが、「広告を含む」の記載は無かった。Snapchatは本件に関する取材には応じてくれなかったが、今回更新によって、ターゲティング広告は洗練されるはずだ。狙っているオーディエンスを的確に捉え、ブランドからのメッセージを着実に伝えられるようになる。
これを実現するためにSnapchatは、アドテク業界のさまざまな企業から優秀なスペシャリストたちを雇い入れた。Facebookの役員でもあり、同社の広告エコシステムの開発に携わったスリラム・クリシュナン氏もそのひとりだ。
Snapchatは、ユーザーが消費するコンテンツの種類や、ユーザー自体を理解する方法をいくつか開発している。BuzzFeed、Vice、IGN、コスモポリタン(Cosmopolitan)など、Snapchatのメディアコンテンツセクション「ディスカバー(Discover)」のパートナーであるパブリッシャーたちは、それぞれの読者が好むコンテンツの種類を把握しているという。
難しいバランス
広告主たちは長い間、年齢、性別や場所などに代わる、ほかのターゲティング方法はないかと探し続けてきたが、Snapchatが解決してくれそうだ。
「いままでは、場所と年齢によるターゲティングしかできなかった。しかも、年齢によるターゲティングは2016年に入って、やっと主流になった」と、デジタルエージェンシーであるデジタスLBi(DigitasLBi)のソーシャル部門を統括するジャンヌ・ブライト氏は話す。「もしSnapchatのターゲティング能力が高まれば、ほかのプラットフォームと比べて、優位に立つことができる」。
現在に至るまで、Snapchatはアドテクにおいて不利な立場にいた。Snapchatを使用するユーザーのデータを記録していなかったためだ。エヴァン・シュピーゲルCEOは、広告に対して「気味が悪い」と嫌悪感を露わにしていて、ユーザーも匿名性を希望していたからだ。
しかし、3月29日に行われた発表では、Snapchatが提供する新サービスの概要と、ターゲティング広告の能力が向上する可能性を示唆した発表が同時に行われた。これに対し、「私たちは、ユーザーが『侵略的』または『不快』と感じるカスタマイズ広告は提供したくない。バランスが難しく、ユーザーを不快にさせてしまうこともあるため、ユーザーの率直なフィードバックを参考にしている」と、同社はコメントしている。
Snapchatのさらなる野望
それでも、GoogleやFacebookなどとデジタル広告業界で競うためには、Snapchatはライバルと同等のアドテクを導入しなければならない。広告主たちがもっとも欲しているのは、一度に数千万人に配信できる自動化されたターゲティング広告と、信頼できるキャンペーンの成果報告書なのだ。
2015年の10月にSnapchatがプライバシーポリシーの更新を行った際、データの収集方法、収集するデータの種類、収集したデータの使用方法に関する記載が新たに書き加えられていた。だが、広告がコンテンツの種類に含まれるということは、まったく記載されていなかった。
また、今回の新たなプライバシーポリシーには、Snapchatのさらなる野望とも捉えられる内容が記載されている。ユーザーの機器からSnapchatが得ることができるデータの種類を定めた方針も同時に更新されたからだ。
「ディスカバー」のパブリッシャーたちも、Snapchat用に製作しているコンテンツへ、これまでに獲得した読者のデータを適用させたいと興味を示しているという。いくつかのパブリッシャーは、読者がコンテンツを読み終えた後、関連する記事や動画を読者にレコメンドしたいと話している。
ステッカーショック
3月29日に行われたSnapchatのプライバシーポリシーの変更では、同時にSnapchatが新たに開発した動画とチャットの機能も発表も行われた。加えて、さらも、アプリでのメッセージングを活発化させる「ステッカー(スタンプ)」機能もローンチされている。
プライバシーポリシー更新の1週間前にSnapchatが「ビットモジ(Bitmoji)」を買収したこともあり、「ステッカー」がSnapchatでのマーケティング戦略において付加価値になり得ると、広告主たちは感じている。「ビットモジ」はユーザーがアニメのようなアバターを作成できるバーチャルステッカーアプリで、Snapchatのステッカーラインアップへ容易に追加することができる。
「現在配信されているアプリでは、自撮りではない写真やコンテンツに、ユーザー自らの表現を付け加えることは容易ではない。しかし、『ビットモジ』ならばカスタマイズやスポンサーなどの形式でそれを提供することができる。たとえば、私がナイキ(Nike)のスニーカーやレイバン(Ray-Ban)のサングラス、米HBOが放送するテレビドラマ『ゲーム・オブ・スローンズ(Game of Thrones)』のコスプレをしている写真に、『ビットモジ』を付け加えることができるのだ」と、モバイルアドテク企業アデルフィック(Adelphic)の共同設立者であるジェニファー・ラム氏は説明する。
しかし、そうすると、もっともトラフィックが多い(ユーザーとしてはもっとも恐れていたことだが)Snapchatのメッセージング機能の方に、ブランデッドコンテンツを表示できる可能性がある。
Garett Sloane(原文 / 訳:BIG ROMAN)