Snap Gamesは、モバイルゲームの競争社会において、早い段階で成功していることをSnapchat(スナップチャット)に対して示している。そのストーリー(Stories)機能がFacebookに模倣されたあと、Snap Gamesがインスタグラム(Instagram)から多様化を図るひとつの方法となった。
Snap Gamesは、モバイルゲームの競争社会において、早い段階で成功していることをSnapchat(スナップチャット)に対して示している。
初開催となったSnapchatパートナーサミット期間中の4月にSnapchatは、Snap Gamesを発表した。Snapchatにとって、タイニーロイヤル(Tiny Royale:Snapchat専用にジンガ[Zynga]が開発)やビットモジパーティー(Bitmoji Party:Snapchatが社内で開発)などのゲームは、スマートフォン所有者がSnapchatを利用するもうひとつの理由になっている。一時的なメッセージ機能であるストーリー(Stories)が、Facebookによって模倣されたあと、SnapchatにとってSnap Gamesがインスタグラム(Instagram)から多様化を図る、ひとつの方法となっている。
Snap Gamesは一般的な使用回数と使用時間の単なる増加以外に、収益性を追求し、Snapchatに別の一連の収益をもたらしている。Snapchatは2019年第2四半期の収益として前年対比48%増の3億8800万ドル(約388億円)を報告したが、依然として四半期で1億ドル(約100億円)近くの損失が出ている。Snapchatと、そのユーザーにとっての朗報は、Snap Gamesにおける広告体験は、実際にはゲーム体験を補足するものであり、損なうものではないと考えられていることだ。
Advertisement
「ソーシャルネットワークの広告で人々が我慢できないのは、オプトインする機会を得られないまま、常に広告にさらされてしまうことだ。それらの広告を視聴することでボーナス、恩恵、または何らかの個人的な利益がある場合、彼らは広告を問題視しない」と、AMIソーシャルメディア(AMI Social Media)のソーシャルメディアディレクター、ジェフ・ヒギンズ氏は述べた。
ゲームを補足する広告
Snap Gamesの広告は、Snap Originalsや他のSnap Showで見かけるスキップできない6秒の広告ユニットと同じだ。しかし、2018年5月にはじめてにリリースされたいわゆるSnap Commercialsでは、Snap Showsの視聴体験が中断されるが、SnapchatユーザーはSnap Gamesで広告の視聴をオプトインする。タイニーロイヤルのプレイヤーは、武器をアップグレードしたりXPを2倍に増やしたりするために広告を視聴することができる。スネークスクアッド(Snake Squad)のプレイヤーは、スネークを生き返らせるために広告を視聴する。ゾンビレスキュースクアッド(Zombie Rescue Squad)のプレイヤーは、広告を見て報酬を2倍にすることができる。
「Snapchatは、広告を統合するためにクリーンでシンプルな方法を見つけたようだ。広告を取得しても、まったく邪魔にならない。広告が出てもスキップできないが、広告を視聴すると報酬が獲得できるので、気にならない」と、ビットモジテニス(Bitmoji Tennis)とタイニーロイヤルで遊ぶSnapchatの公式レンズクリエーター、クリス・ヒガ氏は述べている。
スキップできない広告を通じてゲームを収益化するというSnapchatの決定は、アプリ内購入に依存する他のモバイルゲームに別れを告げるものだ。センサータワー(Sensor Tower)によると、ポケモンGoは2016年7月のローンチ以来、今年末までに30億ドル(約3000億円)以上を生み出すと推定されている。HQトリビア(HQ trivia)は、インタースティシャル広告やスポンサードゲームへの依存を減らすため、アプリ内購入(追加ライフ1つで3.99ドル[約399円]、または3つで9.99ドル[約999円])を売り込んでいる。
この広告の組み込みは、ローンチ時に広告主に感銘を与えた。「Snap Games内の広告はオプトインであることが良い。人々を第一に考え、そしてユーザーに優しいと感じられる。また、ブランドにとってもっと意義のある価値を生み出す機会をもたらすようになるだろう」と、RPAのデジタル戦略バイス・プレジデント兼ディレクター、マイク・ドセット氏はSnapchatパートナーサミット開催時に話した。
多くの称賛と懸念点
Snapchatのマーケターとの関係改善といえば、今年のカンヌで非常に目立ったグループ・エム(GroupM)のソーシャル・グローバル責任者であるケイリー・テイラー氏が、ゲームと同様に、そのアプリの新しい領域にSnap Adsを拡大しているSnapchatを評価している旨に言及している。
「ディスカバー(Discover)、および現在のGamesでの短尺動画の全時間に対応する完全なプロダクトデザインの選択肢は、Snapchatで切望しているオーディエンスに影響を与えることを期待する一方で、予算に限りがあるマーケターたちによって評価されている」と、テイラー氏は語る。
Snap Gamesに対するこうした早い段階での称賛にもかかわらず、その愛着がどれくらい続くかは疑問だ。Facebookユーザーは、同サイト上のゲーム、特にファーマビル(FarmVille)に対して同様の愛着をかつては抱いていた。しかし、ジンガのゲーム全体の勢いが増すにつれて、その関心はやがて薄れていった(偶然にも、ジンガはSnap Gamesのパートナーだ)。2016年、Facebookからの収益が「ゲーム内購入に対する30%の課税で、四半期で2.5億ドル(約250億円)」のピークに達したとテッククランチ(TechCrunch)は報告したが、「Facebook.comに費やす時間のうち15%はいまだにゲームのプレイに使われており、それに対する支払いからの収益は、先の四半期で1億9600万ドル(約196億円)に減少している」という。
Facebookとしては、他の種類のゲーム体験を提供するために動いている。2016年、FacebookはFacebookのMessenger(メッセンジャー)内でインスタントゲームをローンチした。Snap Gamesと同様に、友人同士でプレイすることを目的とした短いモバイルゲームだ。しかし、最近Facebookは戦略を変更している。今年の夏後半、インスタントゲームはメッセンジャーで利用できなくなり、代わりにFacebookアプリのゲームタブからアクセスすることになる。また、Facebookはゲーマーたちが同サイトで配信できるようにし、AmazonのTwitch(ツイッチ)およびマイクロソフト(Microsoft)のミキサー(Mixer)と競合するようになる。
「本当の友達をつなぐ」
もちろん、FacebookとSnapchatだけが携帯電話でゲームをプレイできる場所というわけではまったくない。これらのプラットフォームは、エピック(Epic)のフォートナイトやキング(King)のキャンディクラッシュ(Candy Crush)など、モバイルゲーム専用アプリと競合している。Appleはまた、今年後半にApple アーケード(Arcade)と呼ばれるモバイルゲームの新しいサブスクリプションサービスをリリースする。
現時点では、SnapchatはGamesをそのアプリの重要な部分と見なしている。SnapchatのCEO、エバン・シュピーゲル氏は2019年第2四半期の決算発表で、同ゲームプラットフォームは会社のコアミッションである「本当の友達をつなぐ」ことと一致すると述べた。これは、Snapchatの新しいCMOのケニー・ミッチェル氏が率いる、最近ローンチされたマーケティングキャンペーンの名前だ。
「我々が現在目にしているワクワクする出来事とは、さらに多くの友人たちとゲームを楽しんでいる人たちが、これまでより長くゲームをプレイしているということだ。つまり、Snapchatプラットフォームでは、一緒に遊ぶのが好きな本当の友達のグループを連れてくることが可能なので、ゲームパブリッシャーたちに独自の価値を提供することができる」と、シュピーゲル氏はいう。
Snap Gamesの革新
ジンガでSnap Gamesに取り組んでいるゼネラルマネージャー、ダン・ガロン氏は、自分のチームが「Snap Gamesチームの革新的な思考のレベル、特にリアルタイム音声などの新しいソーシャル機能に感銘を受けている」と述べた。
実際、Snapchatユーザーはその体験の一部を楽しんでいる。「Snapchatでゲームをプレイすることは素晴らしく、ゲーム内で友達にメッセージを送ることも可能だ。メッセージは従来のSnapchatと同様に保存されない。ゲームから離れることなく、プレイ中に彼らとやり取りすることができる」と、ヒガ氏は語った。