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EC 強化を図り、 Snapchat が商品画像認識アプリを統合

スナップ(Snap, Inc.)は、eコマースツールとして推進してきたSnapchatに、新たにScreenshop(スクリーンショップ)を連携・統合させる計画を発表した。Screenshopはユーザーが撮った服や家具の画像のスクリーンショットをアップロードして検索・購入できるアプリだ。

ネットショッピングの需要に応えるべく、複数のソーシャルメディア・プラットフォームがeコマース機能を拡張してしのぎを削るなか、Snapchatにも同様の機能が導入されることになった。テクノロジーニュース専門サイトのジ・インフォメーション(The Information)によれば、新機能はSnapchat内で動画と画像を保存しておける「メモリーズ」のメニューに追加される。メモリーズから提携サードパーティのウェブサイトに誘導されたユーザーは、お目当ての商品を購入できる。

今回のポイント

  • スナップは、5月に開催される毎年恒例のデベロッパー・カンファレンスでScreenshop統合を発表する。
  • スナップは2020年秋、Screenshopを開発したベンチャー企業のクレイズ(Craze)を買収。続いて今年3月には、画像中の衣料品を認識する方法の開発を手がけるベンチャー企業、フィット・アナリティクス(Fit Analytics)を買収した。
  • クレイズによればScreenshopは、音楽認識アプリのShazam(シャザム)の服バージョンというべき機能をもつアプリで、サックス・フィフス・アベニュー(Saks Fifth Avenue)やエイソス(ASOS)など400を超えるブランドが販売する1000万の商品を認識し、購入先へのリンクを提供している。

Screenshopの収益源は、ユーザーをECサイトへ送客後、購入が完了した場合に徴収される販売手数料で、情報筋によるとスナップはこの収益モデルを統合後も維持する意向だという。Screenshopアプリは、現時点ではSnapchatと別に単独でダウンロードできる。

スナップの事業を支える要素

スナップは今回のアプリ統合とショッピング機能の追加により、全世界で2億6500万人というユーザーを獲得する見通しだが、eコマース関連の取り組みは今後も続くだろう。同社はSnapchatを介した集客・販売力に対しパブリッシャーが懐疑的だった数年前から、eコマース分野での位置づけを上げるべく強化を進めてきた。今や、Snapchatへの広告投資を拡大するブランドが増えている。TikTokよりターゲティングの精度が高いこと、広告予算配分におけるFacebookへの依存から脱して多様化を図れることがメリットとみられる。

スナップがかかわった最新の事例を以下に紹介しよう。ラルフ・ローレン(Ralph Lauren)は2020年後半、Bitmoji(ビットモジ)を使ったコレクションを公式サイトで公開したが、2000万人超のユーザーがアクセスし、ラルフ・ローレン・ルックのコーディネートを試したという。サイトに表示される「Snapchatでスキャン」というポニーのロゴつきボタンは、スナップ提供のARテクノロジーを利用したショッピング体験への入口となる。一方、ディオール(Dior)は2020年10月、新作スニーカー「B27」の6タイプを対象に、SnapchatのAR試着レンズを採用したオンライン試着・販売を開始した。

Snapchatにはブランドごとに設定されるブランドプロフィール(Brand Profiles)ページがあり、ARレンズ、動画、写真、アプリ内ショッピング体験の「恒久的なホーム」として利用できる。

スナップのCEOエヴァン・シュピーゲル氏は、直近の投資家向け収支報告会で次のように述べた。「当社はAR技術を活かし、ファッションの試着や商品とのインタラクションを実現する新手法を開発してきた。その過程で学んだのは、ショッピングにさらなる楽しさと没入感をもたらしてユーザー体験を充実させれば、購買ファネル下流のコンバージョンで大きな成果をあげられるということだ。我々はこれを、まだ成熟していない大きなビジネスチャンスととらえており、今後も短期の実験的施策を通じて多くの種をまいていくつもりだ」。

AR技術の成熟度は?

これまではフィルター技術に力を入れてARイノベーションを生み出してきたスナップだが、最近デザイナーのヴァージル・アブローが手がけるファッションブランド、オフホワイト(Off-White)と新たに提携し、3月末からマスク試着用ARレンズの提供を開始した。Snapchatアプリは今後、静止画像キャプチャを得意とするScreenshopとの連携により、アパレルブランドからの注目度も高まる可能性がありそうだ。

業界の専門家らによると、AR技術を使ったオンライン試着は、帽子、サングラス、時計、靴などは比較的容易に実現できるものの、服の場合は難しいという。ドレスやパンツとなると、人によって体型が異なるうえ、身体の動かし方もさまざまで、服のディテールを表現する作りこみが必要になるためだ。

「AR試着システムでは、商品着用時の足と顔の動きは追跡しやすいが、体の動きの追跡は難易度が高い」と、AR向け3Dコンテンツ制作のキューリアル(QReal)でジェネラルマネージャーをつとめるマイク・カドー氏は述べている。

[原文:Cheat Sheet: Why Snap plans to integrate Screenshop as part of it’s hot pursuit of e-commerce

ERIKA WHELESS(翻訳:SI Japan、編集:分島 翔平)