去る5月13日・14日の2日間、幕張メッセにてフィンランド発祥のスタートアップが集うイベント「スラッシュ・アジア(Slush Asia)」が開催された。
東京での開催は、今回が2度目。開催当時から学生ボランティアによって運営されている本イベントは、未来を担うスタートアップたちのエコシステムを、国境を超えて創造し、アジアの若者たちの企業意欲を喚起することが目的とされている。
会期中は、著名な起業家たちがトークセッションで未来に対する希望と懸念を共有。100に及ぶスタートアップたちが参加したピッチコンテストも会場内で同時開催され、自社サービスを売り込むための白熱したプレゼンテーションが繰り広げられた。
去る5月13日・14日の2日間、幕張メッセにてフィンランド発祥のスタートアップが集うイベント「スラッシュ・アジア 2016(Slush Asia 2016)」が開催された。
東京での開催は、今回が2度目。開催当時から学生ボランティアによって運営されている本イベントは、未来を担うスタートアップたちのエコシステムを国境を超えて創造し、アジアの若者たちの企業意欲を喚起することが目的とされている。
会期中は、著名な起業家たちがトークセッションで未来に対する希望と懸念を共有。21カ国から300以上のスタートアップたちが参加した。トーナメントで100のスタートアップのなかから勝ち残ってきた企業のピッチコンテストも同時開催され、自社サービスを売り込むための白熱したプレゼンテーションが繰り広げられた。
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ピッチコンテストで優勝したのは、スカイレック(SkyREC)。動線や滞在時間など店舗における顧客行動を分析し、商品の陳列方法の改善に活用できるというサービスを紹介した、台湾のスタートアップだ。2015年12月のサービスローンチ以降、400店舗に導入され、トラフィックが10%改善、月間売上が18%改善した店舗もあるという。
まずは、写真で会場の様子を振り返ろう。
キーノートのセッション風景 Photo courtesy of Petri Anttila
運営を行った学生ボランティア Photo courtesy of Takizawa TAK
ピッチコンテストで優勝した台湾のスタートアップSkyREC Photo courtesy of Petri Anttila
以下では、DIGIDAY[日本版]が気になった、出展企業のブースの様子を紹介する。
リアクター(Reaktor)
フィンランドに本社があるリアクター(Reaktor)は、質の高いUXデザインとソフトウェアでエンドツーエンドのデジタルサービスを提供しているクリエイティブテクノロジー企業。リアクターの代表、アキ・サリネン氏は、「我々の強みは、短期間で製品のアップデートを行うことと、シームレスなUX構築を提供できることだ」と語った。過去実績としてNASDAQのディスプレイインスタレーションを製作するなどしている。
Reaktorのブース Photo courtesy of Reaktor
最近では、フィンランド航空(Finnair)のエンターテイメントシステムのプロジェクトが高く評価されているという。フィンランド航空は機内のエンターテイメントサービスが不評であることで知られていたが、リアクターはそのUXを手掛け、シート前のディスプレイ上でフライトのスケジュール確認、軽食やドリンクのメニュー表示、免税ショッピングなど、あらゆる機内サービスを把握・コントロールできるようにした。
そのほかにも、フィンランド航空のアプリで、モバイルから航空チケットのアップグレードやオプションの購入、飛行スケジュール確認やショッピングも可能にしている。また、乗員は業務専用アプリでリアルタイムに変わる飛行状況を随時、乗客シートのディスプレイや連動されているデバイスに知らせることができる。
そして、ディスプレイとデバイスをWifiポータルへと接続可能にし、到着地のタクシーやホテルの予約までできるようにした。5月第1週に行われたフィンランド最大のデザインコンペ「グランドワン(GrandOne)」では、最優秀賞を受賞している。
ノキア(NOKIA)
今回のイベントでノキア(NOKIA)は、「OZO(オゾ)」という360度カメラを大々的にブースで発表していた。
OZOのカメラ本体 Photo courtesy of Petri Anttila
球体に8つのカメラが搭載されており、それぞれのカメラが音も録音している。そのため、実際に装着してみると、ヘッドセットの角度を変えることによって聞こえてくる音も変わり、より臨場感のある体験が出来きた。
OZOを体験する参加者 Photo courtesy of akizuki yoshiki
本体の重さは4キロ。45分間の録画も可能だ。また、ケーブル接続なので、取り外してドローン撮影することもできる。現在、6万ドル(約660万円)で販売されているが、キャンペーンとして、5月31日までに購入し、NOKIAにレビューを提出すれば、1万5000ドル(約165万円)の割引がされるという。
Photo Courtesy of heidi kahkonen
Docceo
Docceoは台湾を本拠地とするスタートアップ。ホスピタリティー産業向けのデジタルサービス「ディジジェームス(DigiJames)」を提供している。同社はIoT、クラウドビッグデータ、アプリケーションを融合したサービスで、ホテル全体をスマートビルディング化。スマート管理において、宿泊客にサービス提供できるという。たとえば、宿泊客の手持ちのスマートフォンで、室内のカーテンの開け閉めや室内温度調整、ルームサービスの呼び出しなどが、アプリ経由で可能になる。Docceoは「ホテルの活性化(Hotel Alive)」をテーマにしているそうだ。
Docceoのスタッフと話す参加者 Photo courtesy of Takio Takizawa
「ディジジェームス」は、宿泊客だけにとって魅力的なサービスというわけではない。ホテルスタッフは宿泊客のリアルタイムな行動をデータでスマート管理できることから、ホテル運営や管理をより効率的に、そして宿泊客のニーズの理解を深めることができる。
大型のホテルほどエネルギー消費にかかるコストは莫大なため、「ディジジェームス」を活用することでより効率的にエネルギー節約ができれば、環境にやさしいホテルとなる。2015年5月15日に、同サービスは台北のシャングリ・ラ ファーイースタン・プラザホテルでローンチし、現在は日本のホテルブランドへも積極的に提案を行い、サービスの導入に近づいているという。ホスピタリティー業界はデジタルの導入が他業界に比べて遅いといわれるが、今後のデジタル化に期待できる。
Written by 中島未知代
Photo from Slush Asia 2016