Facebookは1日80億ビュー以上の閲覧数を誇るプラットフォームだ。だが、その大部分は沈黙に包まれている。
Facebook上での動画閲覧の実に85%が音声をオフにしたまま行われていると、複数のパブリッシャーが述べている。たとえば、ほっこり系コンテンツを集めた「リトルシングス(LittleThings)」を見てみよう。2016年の現時点で、同メディアのFacebookでの閲覧数は月間平均で1億5000万回だが、その85%のユーザーは音声を切ったままだった。ミレニアル世代向けニュースサイト「ミック(Mic)」も同様だ。こちらもFacebookでの閲覧数は月間平均1億5000万回だが、30秒以上の閲覧のうち85%が無音だったという。女性向けメディア「ポップシュガー(PopSugar)」も、音声オフの動画閲覧が50~80%を占めるとしている。
Facebookは1日80億ビュー以上の閲覧数を誇るプラットフォームだ。だが、その大部分は沈黙に包まれている。
Facebook上での動画閲覧の実に85%が音声をオフにしたまま行われていると、複数のパブリッシャーが述べている。たとえば、ほっこり系コンテンツを集めた「リトルシングス(LittleThings)」を見てみよう。2016年の現時点で、同メディアのFacebookでの閲覧数は月間平均で1億5000万回だが、その85%のユーザーは音声を切ったままだった。ミレニアル世代向けニュースサイト「ミック(Mic)」も同様だ。こちらもFacebookでの閲覧数は月間平均1億5000万回だが、30秒以上の閲覧のうち85%が無音だったという。女性向けメディア「ポップシュガー(PopSugar)」も、音声オフの動画閲覧が50~80%を占めるとしている。
これはさほど驚くべきことではない。Facebookは音声ボリュームを上げなくてもいいような動画エコシステムを築いてきたし、パブリッシャーもそれに進んで適応してきたのだから。いまや大部分のユーザーのニュースフィードが、解説の字幕やテキスト付きのショートビデオで溢れ返っている。これらの多くにナレーションやなんらかのBGMが付いているのだが、音声を切ったままでも動画で示された情報が理解しやすくなるような配慮がされているのだ。
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量産される似たようなコンテンツ
「最初から、すぐに注意を引けるような心理学的工夫をしてきた」と、リトルシングス最高執行責任者(COO)、グレートヒェン・ティビッツ氏は言う。Facebookでは3秒以上の再生で閲覧とみなされるので、パブリッシャーは閲覧数を稼ぐため、ユーザーを引き留める方法を編み出さなければならない。ティビッツ氏は、「最初の3秒が最重要というだけでなく、動画は音声なしでも注意を引くようにデザインすべきだ」と、指摘した。
ニュースフィードの気まぐれな変化に合わせてコンテンツを作ったおかげで、パブリッシャーたちはFacebookで成功をおさめてきた。一方で、どのパブリッシャーも同じような見た目や雰囲気の動画を量産したため、ニュースフィードは味気ないものになった。たとえば、頭痛薬タイレノールの成分による共感能力の低下に関する「ナウディス(NowThis)」の動画と、未来型自転車を紹介した「テックインサイダー(Tech Insider)」の動画を比べてみよう。ふたつはまったく別のトピックを扱っているが、核となる構成要素は同じだ。最初に鮮烈な視覚効果やメッセージが前面に押し出され、テキスト主体の内容説明がそれに続く。
これがうまくいっているうちは、パブリッシャーは同じようなタイプのコンテンツをつくり続けるだろう。
ブランデッドコンテンツも同様
ブランデッドコンテンツを見ても、大部分の広告主は、パブリッシャーと同じくこうした準サイレントビデオをFacebookのデファクトスタンダード(いわば非ライブバージョン)として受け入れてきた。そして、そのフォーマットは効果的だ。
大手メディアエージェンシーのMECノースアメリカ(MEC North America)によれば、クライアントのブランデッド動画が無音で再生される割合は平均で85~90%に上る。だからといって、消費者の関心が薄いというわけではない。同社ソーシャル部門トップのノア・マリン氏によると、MECの社内調査で、ブランドリフトや購買意欲といった主要業績評価指標(KPI)は、動画を音声付きで観るか音声なしで観るかによって変化しないとわかったのだ。
アドエージェンシーGSD&Mのエクスペリエンスディレクター、ライ・クリフトン氏は、「音声はいまも(Facebookにおける)オプションのひとつだが、必須ではない。音声をオンにしてもらわなくても魅力的なコンテンツを生み出せるなら、音声ありきで考えている競合相手より優位に立てる」と、語った。
クロスプラットフォームの場合
だが、それはコンテンツがFacebook専用ならばの話だ。動画広告のためにペイドメディアを購入し、Facebook以外も対象にしている場合は話が違ってくる。キャンペーンのパフォーマンスを閲覧1回あたりのコストで数値化した場合、9割のケースでYouTubeのほうがFacebookより安いと、メディアエージェンシーのスウェルシャーク(Swellshark)で最高経営責任者(CEO)を務めるニック・パパス氏は言う(ここでハードルになっているのは、Facebookが広告主に3秒または10秒の閲覧に対しての料金しか設定していない一方、YouTubeは広告主に完全閲覧回数ベースでの支払いを認めていることだ)。
パパス氏は、次のように述べている。「有料広告のチャンネルとして(Facebookは)役に立つこともあるが、重要なのはプラットフォームの基準に合ったクリエイティブを制作することだ。さもなければお金を無駄にすることになる」。
Sahil Patel(原文 / 訳:ガリレオ)
Image courtesy of WIKIMEDIA COMMONS