Shopify(ショッピファイ)は、Shopペイ(Shop Pay)で行われた買い物に対する新しいポイントプログラム「Shopキャッシュ(Shop Cash)」の運用を開始した。これは同社のShopアプリでのみ利用可能だ。
Shopキャッシュは6月2日金曜日時点で、米国を拠点とする加盟店および買い物客に対し、対象となるすべてのShopペイでの支払いで利用可能だ。顧客がShopペイで買い物をすると、1%のShopキャッシュを受けとることができる。
Shopifyはこの数カ月、人気ユーチューバーが手がけるハンバーガーチェーンのミスタービースト(MrBeast)、化粧品ブランドのトリクシーコスメティクス(Trixie Cosmetics)、女性用水着ブランドのマンデースイムウェア(Monday Swimwear)といったブランドとともに、Shopキャッシュのベータテストを行ってきた。また同社は17周年を祝うため、Shopデー(Shop Day)というイベントを初めて主催し、靴ブランドのスティーブマデン(Steve Madden)や、化粧品ブランドのカラーポップ(ColourPop)、人気ユーチューバーのエマ・チェンバレンが創業したチェンバレンコーヒー(Chamberlain Coffee)など、25社ほどの小売企業の支援を受け、100万ドル(約1億4000万円)を超えるShopキャッシュを無料でプレゼントした。このShopキャッシュのプレゼントはShopifyの全額出資によるもので、買い物客はこのイベントに参加しているブランドのソーシャルチャネルで共有されるカスタムリンクをクリックし、Shopキャッシュを獲得できる。
こちらは、小売業界の最前線を伝えるメディア「モダンリテール[日本版]」の記事です
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Shopify(ショッピファイ)は、Shopペイ(Shop Pay)で行われた買い物に対する新しいポイントプログラム「Shopキャッシュ(Shop Cash)」の運用を開始した。これは同社のShopアプリでのみ利用可能だ。
Shopキャッシュは6月2日金曜日時点で、米国を拠点とする加盟店および買い物客に対し、対象となるすべてのShopペイでの支払いで利用可能だ。顧客がShopペイで買い物をすると、1%のShopキャッシュを受けとることができる。
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Shopifyはこの数カ月、人気ユーチューバーが手がけるハンバーガーチェーンのミスタービースト(MrBeast)、化粧品ブランドのトリクシーコスメティクス(Trixie Cosmetics)、女性用水着ブランドのマンデースイムウェア(Monday Swimwear)といったブランドとともに、Shopキャッシュのベータテストを行ってきた。また同社は17周年を祝うため、Shopデー(Shop Day)というイベントを初めて主催し、靴ブランドのスティーブマデン(Steve Madden)や、化粧品ブランドのカラーポップ(ColourPop)、人気ユーチューバーのエマ・チェンバレンが創業したチェンバレンコーヒー(Chamberlain Coffee)など、25社ほどの小売企業の支援を受け、100万ドル(約1億4000万円)を超えるShopキャッシュを無料でプレゼントした。このShopキャッシュのプレゼントはShopifyの全額出資によるもので、買い物客はこのイベントに参加しているブランドのソーシャルチャネルで共有されるカスタムリンクをクリックし、Shopキャッシュを獲得できる。
顧客獲得ツールとしての役割
Shopifyは、もともと荷物を追跡するためのアプリだったArrive(アライブ)のリブランドとして、2020年にShopアプリを発表した。しかし現在のShopアプリはさらに多くの機能が盛り込まれ、ある意味マーケットプレイスと似たものに進化した。利用者は商品をレビューでき、以前に買い物をしたことがあるストアと似たストアをチェックすることをリコメンドされ、さらに新たにキャッシュバックを受けられるようになった。同社は、Shopアプリを、買い物客のすべての要求を満たし、新しいブランドを発見できるワンストップのショッピング場所となるよう作り上げたという。また、Shopキャッシュを新しい顧客獲得ツールと位置づけている。
「これはある意味、Shopアプリが成熟したと感じられるものだ。当社はShopペイのコンバージョンの能力と、非常に優れた発見プラットフォームとしてのShopとを組み合わせたからだ。そして、ブランドが新しい顧客を見つけ、既存の顧客を維持するため役立つようになることが目標だ」と、Shopifyのプレジデントを務めるハーレイ・フィンクルスタイン氏は米モダンリテールとの対談で語った。
Shopキャッシュでの割引や特典を利用して販売を行う加盟店は、顧客を獲得するための手段としてShopキャッシュを利用していると、同氏は付け加えた。「当社は、取引が行われたときのみ割引を行うため、この方法はより優れたモデルだと考えている。多くの加盟店は現在、あらゆる場所に広告やビルボードを設置するために投資し、コンバージョンにつながることを期待しているが、当社はこちらの方が良いモデルだと思う」と、同氏は述べている。
ウィンウィンの方式
加盟店は、管理画面の設定でShopキャッシュのオファーを設定できる。Shopアプリは、加盟店のShopキャッシュのオファーを、Shopアプリ上のアクティブな買い物客にプロモーションし、加盟店は販売が行われたときのみ支払いを行う。現在すでに「数千万人の買い物客がShopアプリを使用しており」、「100万を超える加盟店が」Shopアプリで商品を販売していると、フィンクルスタイン氏は述べている。
「これは、参照数やクリック数に対して支払うのとは大きく異なるやり方だ。割引を行うのは、販売が実際に行われたときのみだ」と、同氏は述べる。これは加盟店と買い物客の両方にとってウィンウィンの方式だと、同氏は説明する。加盟店は高価値の熱心な消費者に注力することができ、顧客はほかのブランドでも利用できる資金を得ることができる。
ShopペイはShopキャッシュの基礎となるコンポーネントのひとつで、Shopifyが2017年に開始した高速チェックアウトサービスだ。同社は、Shopペイを使用している加盟店はコンバージョン率が約50%増加したと語る。
顧客獲得ツールとしての役割に加え、Shopifyはより多くの消費者にShopアプリを利用するインセンティブを与えようとしている。というのも、これまでアプリを利用してきた人々は価値の高いリピーターだからだ。Shopアプリでの注文の35%はリピート購入だったと同社は語っている。「Shopifyの加盟店にとって、このアプリは新たなオウンドチャネルであり、加盟店の売上向上に貢献するものだと考えている」と、同氏は説明している。
マーケットプレイスモデル統合を見据えて
Shopifyの最新アップデートは、加盟店向けのリテールおよびコマースソフトウェアの構築に集中しているため、ある意味ライバルであるAmazonのマーケットプレイスを直接狙っている。eコマース開発代理店のネタリココマース(Netalico Commerce)の創設者であるマーク・ウィリアム・ルイス氏によると、Shopキャッシュの立ち上げは、Shopifyが、Shopifyを利用してストアを構築したすべての売り手を、ひとつのマーケットプレイスモデルに統合することを望んでいる証拠だ。しかし、もしShopifyが競合他社への注目を集めるため何もしていないと感じれば、それはまた加盟店に懸念を抱かせる可能性もある。同社は、すべてのeコマース取引の約10%を自社が行っていると述べている。
ルイス氏は、ShopキャッシュとShopアプリについて、基本的には、「Shopifyの加盟店すべてを、ゆっくりと着実に、ひとつのマーケットプレイスとして統合し、eコマースにおける発見という大きな課題を解決する」ための方法だと説明している。
5月には、経営陣がソフトウェア企業である同社の中核事業から逸脱した存在だと指摘したことを受け、Shopifyはロジスティクス事業を売却すると発表した。また、事業の適正化に伴い、従業員の20%をレイオフすることも発表した。
加盟店にShopアプリを訴求
このプログラムに関するひとつの大きな疑問は、十分な数のブランドが参加するかどうかだ。ルイス氏は、同氏のクライアントの中で、「Shopアプリを重視している加盟店はいない」と話した。しかし、このような種類のサービスは、多少の金銭的インセンティブがあれば、人々がShopアプリに注目するようになるだろうと考えている」とも指摘している。
とはいえ、Shopアプリの背後にある戦略は、常に明確だったわけではない。ルイス氏によれば、ShopifyがShopアプリの運用を開始したとき、「同社はeコマースの加盟店の統合に関して、一貫したマーケティング戦略を保有していなかったと思う」。しかしそれ以来、「同社はShopアプリとして自社のマーケットプレイスを作ることに、より注力しはじめたのだと思う」と、同氏は続けた。
Shopifyは2月、Shopアプリを新たにアップデートし、、新しい開発キットや商品のコレクション、ベストセラーなどに使用できるレイアウトを追加するなど、加盟店がアプリ内でページの外観や操作性をカスタマイズできるオプションを提供した。
フィンクルスタイン氏は、Shopデーには数百もの加盟店がShopキャッシュの限定キャンペーンを行うだろうという。「買い物客はこれらのインセンティブを見て新しいブランドを探し、加盟店は買い物客のShopキャッシュを2倍、5倍、10倍に増やすことができる。そして、買い物客が多くの金額を消費するほど、多くのShopキャッシュを獲得できる」と、同氏は述べている。
最終的に、Shopキャッシュに参加する人はいるだろうと、ルイス氏は語る。「ほとんどの加盟店はこれに参加し、少なくとも一度は試してみるだろう」。
[原文:Shopify puts spotlight back on its Shop app with the rollout of Shop Cash rewards program]
Vidhi Choudhary(翻訳:ジェスコーポレーション、編集:戸田美子)
Image via Shopify