この記事は、小売業界の最前線を伝えるメディア「モダンリテール[日本版]」の記事です。 ウォルマート(Walmart)のサードパーティーマーケットプレイスは、このホリデーシーズンに大きな役割を果たすと予想されている。 代理 […]
この記事は、小売業界の最前線を伝えるメディア「モダンリテール[日本版]」の記事です。
ウォルマート(Walmart)のサードパーティーマーケットプレイスは、このホリデーシーズンに大きな役割を果たすと予想されている。
代理店のトップたちは、クライアントの大多数が今年はウォルマートのマーケットプレイスに多くの広告予算を注ぎ込んでいると、米モダンリテールに語った。ライバルのAmazonと比べるとまだはるかに少ないものの、ウォルマートのプラットフォームはまだ比較的「混んでいない」ため、この話は重要性を増している。
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また、一部のブランドはすでに、ウォルマートフルフィルメントサービス(Walmart Fulfillment Services)に多くの在庫を送り、それによってピーク時のフルフィルメント料金を回避しようとしている。代理店のトップたちは、ウォルマートがローンチした新しいツールのなかでも、ブランドショップス(Brand Shops)とブランドシェルブス(Brand Shelves)は、加盟店が店舗へのトラフィックを増やすことができることから、クライアントを強く引き付けているとも語った。
初の販売者向けサミット
この変化は、ウォルマートのマーケットプレイスが洗練されてきたことに伴うものだ。ウォルマートは10年以上にわたってオンラインのマーケットプレイスを保有していたものの、Amazonと比べてサードパーティー販売者向けのサービスは少なかった。たとえば、ウォルマートがサードパーティーの販売者向けのフルフィルメントサービスを開始したのは2020年になってからのことだ。
しかし同社は8月末、販売者向けの初のサミット「Walmart Marketplace Seller Summit」を開催し、販売者がプラットフォームで簡単に販売を行えるようにするため多くのツールを売り込んだ。また、販売者がホリデー用の商品を10月1日までに倉庫に搬入すれば、ピークシーズンの保管料金を適用しないなどの特典を発表した。全体として、これらの動きはすべてホリデーシーズンをにらんで開始されたものだ。
eコマースアクセラレーターのパターン(Pattern)でマーケットプレイスのディレクターを務めるジョージ・ハッチ氏は、「今年のホリデーシーズンは、はるかに大規模なものとなるだろう」と語る。
「今年は、ウォルマートのマーケットプレイス専用に広告予算を用意するブランドが増えているようだ。これは、ウォルマートの売り手は現在のところそれほど多くなく、広告を効率的に利用している販売者も多くないため、アーリーアダプターが参加できるチャンスがあるという理由が大きい」とハッチ氏は述べる。
広告ビジネスへの投資
また、ウォルマートは2021年に自社のリテールメディア部門をウォルマートコネクト(Walmart Connect)とリブランディングして以来、広告ビジネスを伸ばすため多くの活動を行ってきた。昨年セカンドプライスオークションに移行したことで、販売者が広告効率を高め、投資収益率を向上させるのに役立っている。
「ウォルマートが広告に投資してきたことで、より多くの販売者が広告を採用し、より多くのブランドがより広く広告を利用するようになった。ウォルマートは以前から利用してきたが、より多くの予算が充てられるようになってきている」と、ハッチ氏は述べる。
eコマース代理店のコマースキャナル(Commerce Canal)の創設者ライアン・クレイバー氏は、ウォルマートが提供している広告ツールのいくつかは、「広告レポートを中心としたものになり、入札を今までよりはるかに簡単に更新できるようになり、すばらしい」と述べている。
スポンサードサーチ(Sponsored Search)は今でもウォルマートコネクトの中核的なサービスであることに変わりはないが、広告ビジネスの成長に貢献したのは、スポンサードブランド(Sponsored Brands)と呼ばれるウォルマートのプレミアムなキーワードターゲット検索広告の掲載を開始したことだ。スポンサードブランドには、ブランドのロゴと最大4つの選択された商品が含まれ、該当する検索結果のリストの先頭にバナー広告の形で表示される。
ホリデー料金の免除
クレイバー氏は、ウォルマートのマーケットプレイスは今年さらに需要が高まると考えているため、より多くのクライアントがウォルマートフルフィルメントサービスに進んで在庫を投入していると付け加えた。ウォルマートがマーケットプレイスへの投資を増やした結果、マーケットプレイスで商品を買い求める顧客の数は、2024年度の第2四半期に14%増加したという。
「WFS(ウォルマートフルフィルメントサービス)を利用しているのであれば、前年比20〜30%の需要増が見られるはずだと考えていると、クライアントに伝えてきた」。そして、販売者はその予測に応じて需要の増加に対応する体制を整えていると、クレイバー氏は付け加えた。
ハッチ氏によると、売り手は、ピークのホリデー料金を免除するというウォルマートの発表に前向きに反応した。これに対してAmazonは最近、新たなピークのホリデーフルフィルメント料金を発表し、小型、中型、大型、オーバーサイズの商品について、手数料を0.20ドル(約29円)から2.50ドル(約368円)引き上げた。
「この通告は、配送デッドラインの少し前に行われた。シーズンのピーク料金を避けようとするのは当然のことだ。しかし、そのために販売者は、本来よりも早く在庫をウォルマートに送る必要がある」とハッチ氏は述べた。
またハッチ氏は、「自社の商品への注目を集めるために、ウォルマートの販促カレンダーや自社のマーチャンダイジングイベントを一致させたい」ブランドが増えているという。その例として、ブラックフライデー(Black Friday)やサイバーマンデー(Cyber Monday)を例に挙げている。
Amazonとの競合の姿勢
ハッチ氏によると、一般的に、多くのクライアントは、ウォルマートの販売者向けプログラムがベータから正式版に移行して、ようやく実際のメリットが証明されつつあると感じているという。「全体として、このプログラムによって、ブランドは多様化しウォルマートでのプレゼンスを示すことに魅力を感じるようになった」。
これらの変化についてもうひとつの見方は、ウォルマートが、マーケットプレイスビジネスで莫大な収益を生み出しているAmazonとの競合の姿勢を強めているというものだ。「ウォルマートは、Amazonが毎年売り手サミットを開催しているのを見て、自分たちも何か行う必要があると感じている」と、クレイバー氏は述べる。
結局のところ、ウォルマートのマーケットプレイスは依然としてAmazonよりもはるかに小さいので、ブランドはAmazonを第一に検討するとクレイバー氏は考える。「今後しばらく、ウォルマートは2位のままだろう」。
[原文:Sellers are dedicating more resources to Walmart’s third-party marketplace this holiday season]
Vidhi Choudhary(翻訳:ジェスコーポレーション、編集:戸田美子)