米・アニメ配信業者、クリエイター向け「開発基金」を設立:250万ドルの狙い

ルースター・ティース(Rooster Teeth)は、アニメクリエイターにオンラインで儲けさせたい――そして同時に、自身のサブスクリプションビジネスの発展も目指している。

オッター・メディア(The Otter Media)のデジタル制作スタジオおよびネットワークであるルースター・ティースは、250万ドル(約2億7000万円)の開発基金を設立。YouTubeなどのプラットフォームでアニメクリエイターとコラボし、それを新規動画プロジェクトにつなげたい意向だ。また、アニメクリエイターを自社デジタルネットワークに積極的に引き入れており、ネットワークに加わったクリエイターには、広告、サブスクリプション、マーチャンダイジング、商取引など、さまざま手段を介して収入を増やせるよう、後押しを約束している。

「良い作品を一貫して作っている、志を同じくするクリエイターを探している」と、ルースター・ティースの共同創設者にしてCEOのマット・ハラム氏は言う。「うちのオーディエンスがすぐにでも楽しめる、しっかりとした作品を数多く持っている人には、朗報だと思う。でもそうじゃなくても、大志のある人なら、大歓迎だ」。

定額サービスの拡充

ルースター・ティースはデジタルアニメ制作会社の最大手のひとつ。アニメシリーズ『RWBY(ルビー)』 はシーズン5まで進んでおり、ライセンス契約を介して、Netflix(ネットフリックス)やクランチロール(Crunchyroll)でもストリーミング配信されている(シーズン6はこの10月に配信予定)。ほかにもマイケル・B・ジョーダン氏が声の主演および共同制作を務める『ジェン:ロック(gen:Lock)』や、『フィラデルフィアは今日も晴れ(It’s Always Sunny in Philadelphia)』を生んだロブ・マケルヘニーが手がけるホラーコメディ『スパイクフェイス(Spikeface)』なども配信が予定されている。

ルースター・ティースの主眼は、定額配信動画サービスの拡充にある。現在の有料会員は25万人強。より多くの優れたアニメクリエイターとコラボすることで、この会員数をさらに増やす狙いだ。

同社は通常、人気番組の新エピソードを公式配信の前に、アプリやYouTubeなどで会員に無料で公開する。これはつまり、ルースター・ティースがこの開発パイプラインから生まれる番組への投資や、番組を配給する機会を蔑ろにすることはないことの証だと、フラム氏は言う。

アニメーターを勧誘

上述のとおり、同社は有望なアニメーターを自社タレントネットワークに積極的に引き入れてもいる。ネットワークは8つのゲームチャンネルからなり、アチーブメント・ハンター(Achievement Hunter)やファンハウス(Funhaus)といった自社チャンネルと、カウ・チョップ(Cow Chop)やシュガー・パイン7(Sugar Pine 7)といったパートナーのチャンネルがある。このネットワークにアニメクリエイターも加えようというのだ。

クリエイターにはその代わりに、サブスクリプション収入(コンテンツをルースター・ティースのアプリ内で配信)、広告販売、ライブイベント、商取引などによる収入増および収入源の多様化を約束している。 実際、マーチャンダイジングはルースター・ティースの収入の20%に上ると、同社は語っている

「言うなれば、モジュラー取引かな。ライブラリーコンテンツのアプリ用ライセンス、新規プロジェクト、当社ストア内におけるマーチャン販売、ポッドキャストの広告販売、ブランドインテグレーション販売などなど、それらの合わせ技になる」と、フラム氏。

苦境にあるアニメ業界

アニメクリエイターにとっても、魅力的な話に違いないと、ルースター・ティースのプログラミングディレクター、エヴァン・ブレグマン氏は言う。多くのクリエイターの場合、YouTubeの広告だけで十分な収入を得るのは難しく、そのため独立独歩で作れる動画やストーリーは種類が限られてしまうと、氏は指摘する。

「現在、アニメクリエイターにとってYouTubeは非常に厳しい場だ――アニメーションはうちにとって最大のコンテンツジャンルであり、だからこそそれはよくわかる」と、ブレグマン氏は語る。「でもそんななか、当社は多様な収入モデルを構築し、クリエイターとしての日々の活動をより効率的に現金化できるインフラを創り上げた。これを他のクリエイターたちにも活用してもらいたいんだ」。

Sahil Patel(原文 / 訳:SI Japan)