アメリカで人気のストリーミング端末「Roku(ロク)」は、ブランドセーフティの問題を作り上げてしまったかもしれない。というのもストリーミングチャンネルに、陰謀論者であるアレックス・ジョーンズ氏が司会を務めるライブ配信番組、インフォウォーズ(Infowars)を加えたからだ。
アメリカで人気のストリーミング端末「Roku(ロク)」は、ブランドセーフティの問題を作り上げてしまったかもしれない。
というのもストリーミングチャンネルに、陰謀論者であるアレックス・ジョーンズ氏が司会を務めるライブ配信番組、インフォウォーズ(Infowars)を加えたからだ。件のジョーンズ氏は、つい先日、1月11日にも、サンディフック小学校銃乱射事件の被害者の遺族たちとの訴訟に負けたということで、ニュースに登場したばかりだ。
Rokuのユーザーたちは1月14日、インフォウォーズに関する懸念をツイート。@DanielMadison78は「インフォウォーズがプラットフォームに追加されてるのはどういうことか?」と投稿し、Rokuのサポートアカウントは、チャンネルへのリンクを添付して返信したが、いまでは削除されている。
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事件のはじまり
このRokuによるチャンネル追加の決定を捉えたのが、スリーピングジャイアンツ(Sleeping Giants)だ。スリーピング・ジャイアンツは、内容が怪しいコンテンツを抱えたサイト上でのブランド広告をスクリーンショットで撮影し、指摘するTwitterアカウントだ。
.@RokuPlayer, can you confirm that you now have an Infowars channel?? https://t.co/M9xToyr533
— Sleeping Giants (@slpng_giants) January 15, 2019
上記のツイートのスクリーンショットでは、Rokuの公式アカウントに対して「インフォウォーズがプラットフォームに追加されているのはどういうこと?」という質問を投げかけている。すると公式アカウントが「こんにちは! 探しているチャンネルはこれですか(リンク)Rokuプレイヤーの再起動を忘れないようにしてください」と返信をしている。
それをユーザーがスリーピング・ジャイアンツに投げかけた。そこで、スリーピング・ジャイアンツが公式アカウントに再度「インフォウォーズ・チャンネルが実際に追加されているのは本当か?」という質問を投げかけている。
ユーザーの反応
RokuからAmazonのFire TV stickへ乗り換えを検討すると言ったユーザーもいた。
I was going to buy a second Roku to replace my Firestick, however if you retain Infowars streaming service then I'll just keep the Firestick and deal with no YouTube. Let me know what you plan to do! Thanks!
— this is the bad place (@leighleighbird) January 15, 2019
FirestickStickの代わりに、Rokuの2台目を購入するつもりだったけど、インフォウォーズをチャンネルとしてキープするのであれば、Firestickをそのまま使い続けて、YouTubeはなしでいいや。どういう予定なのか教えて! ありがとう。
AppleTVに戻る、というユーザーの発言も見つかる。
@Roku just unplugged the box and going back to Apple TV. Infowars? Wow. Sad day you promote hate groups.
— Not Afraid of You (@rdk1960) January 15, 2019
Rokuのコンセントをいま抜いて、AppleTVに戻るところ。インフォウォーズだって? まぁ、なんと、ヘイトグループをプロモーションするなんて悲しい日だ。
インフォウォーズは、大手プラットフォームから排除されている。8月6日にApple、Spotify(スポティファイ)、そしてFacebookは、それぞれ独自に、しかし立て続けに、インフォウォーズを排除。Twitterもその後、インフォウォーズを排除した。その6カ月後、Rokuは逆にインフォウォーズを追加したわけだ。こういった判断は、CNNのオリバー・ダーシー氏のようなリポーターたちが、誤った情報を拡散するインフォウォーズがFacebookの利用規約を守れていないのではないかと疑問を表明しレポートしてきたプレッシャーによるものだ。これらのプラットフォームがインフォウォーズを禁止しているものの、関連ページや寄稿者たちは、禁止以降もサイト上に登場している。
Rokuのスタンス
Rokuが抱える238万人のユーザーの広告関連の利用データは、広告主にも多くが入手できるようになっている。そのためRokuは広告主の間で評価を高めていた。eマーケター(eMarketer)によると、2018年には2億9300万ドル(約320億円)を売り上げると推計されていた。Hulu(フールー)に続いて、アメリカにおけるOTT広告セラーとしては二番手の成績だ。グループ・エム(GroupM)の最高デジタル投資責任者のスーザン・シーコファー氏は、米DIGIDAYの取材に対して、彼女のエージェンシーはHuluとRokuに大きく投資していると答えている。
声明でRokuは次のように答えている。
私たちのストリーミングプラットフォームは、顧客が何千ものエンターテイメント、ニュース、そして特別な関心事のためのチャンネルから好みを選べるようになっている。それによって幅広いトピックや視点を表している。どのチャンネルをダウンロードして視聴するかを顧客が選び、コントロールできる。子どもを持つ親はパスワードを設定して特定のチャンネルのダウンロードを防ぐこともできる。我々のプラットフォーム上のストリーミングの大半がメインストリームのエンターテイメントだが、社会問題や事柄に関する両側の意見がチャンネルとして流す自由がある。意見を基にして検閲やキュレーションをすることはしない。
我々はインフォウォーズをプロモーションしているわけでも、配信することでお金を受け取っているわけでもない。インフォウォーズとの間で商業的な、もしくは広告的なパートナーシップは存在していない。
多くの意見にオープンであると同時に、違法なもの、違法な行為や第三者の権利を侵害するものといったコンテンツの配信を禁止するポリシーを持っている。このポリシーにチャンネルが違反していると我々が判断すれば、チャンネルは取り除かれる。我々の知る限りでは、インフォウォーズは現時点で、コンテンツポリシーに違反していない。
Kerry Flynn(原文 / 訳:塚本 紺)