Amazon 広告と競う、 クローガー が行っていることすべて:盛り上がりを見せるリテールメディア

クローガー(Kroger)が再び広告商品の強化に取り組んでいる。同社は2月12日に新たなアトリビューション機能を発表した。これにより、クローガーズ・プレシジョン・マーケティング(KPM)とセルフサービスの広告プラットフォームを使用するブランドは、店舗とオンラインの売上と、クローガーにおけるキャンペーンを結びつけて確認できるようになる。このキャンペーンは基本的にクローガーのサイトやモバイルアプリにおけるスポンサード商品やバナー表示広告といった広告フォーマットを使用する。この機能はKPMとマイクロソフト子会社のプロモートIQ(PromoteIQ)の新規提携によって実現した。プロモートIQは小売企業のウェブサイトにおける広告支援サービスを提供している。

クローガーの分析企業84.51°で、KPMの商用製品戦略担当バイスプレジデントを務めるカラ・プラット氏はこの「メディア露出と店舗売上をひとつにまとめる」機能が「KPMにとって大きなマイルストーン」だと語る。「これによりブランドの広告がよりアドレッサブルになり、行動やそれにともなう結果の把握が行いやすくなった」。

クローガーはリテールメディア業務の差別化として、オンラインとオフラインの売上データを結びつけるサービスを推進している。同社はクローガーブランドとラルフス(Ralph’s)、ディロンス(Dillon’s,)、シティマーケッツ(City Markets)、スミスス(Smith’s)をあわせて2800近い店舗を展開しており、毎年およそ6000万世帯がこれらの店舗を利用している。こうした店舗における販売のうち、97%が同社のロイヤリティプログラムと関連したものだ。プラット氏は、これによって売上やキャンペーンデータの追跡とアトリビューションの把握が可能になるとしている。

クローガーは収益データについて回答しなかったため、現在の広告事業の規模や前年度比の収益は不明だ。2019年第3四半期の同社の業績報告によれば、オンライン収益が21%増加し、同四半期の全体収益は280億ドル(約3兆1000億円)となっている。

こうした差別化の背景には、リテールメディア分野の競争激化がある。リテールメディアでクローガーと競合しているのはAmazonだけでなく、ウォルマート(Walmart)やターゲット(Target)、ベスト・バイ(Best Buy)、ホーム・デポ(Home Depot)なども同様だ。とはいえ、クローガーは他社よりもリテールメディアへの参入が早く、早期の段階からAmazonのライバルと目されてきた。

ワンダーマン・トンプソン・コマース(Wunderman Thompson Commerce)でマーケットプレイスサービス担当エグゼクティブバイスプレジデントを務めるエリック・ヘラー氏は「Amazonは最初のペイドメディアプラットフォームではないが、分野ごとに確立したサービスの提供をはじめたのはAmazonだ」と語る。「メディアを購入して同じマーケットプレイスにおける特定のアトリビューションを把握できるようになった。それによって広告に使った予算がどれくらい効果があったか分かるようになったのだ。他企業が同じような取り組みをはじめたときも歓迎の声は大きかった。Amazonに精通していれば、そこでの経験をほかのプラットフォームでも活かすことができる」。

ここで、クローガーによるAmazonと競合するための取り組みを見てみよう。

84.51°

2015年、クローガーはテスコ(Tesco)からデータ分析企業のダンハンビーUSA(Dunnhumby USA)を買収した。その後、同分野のリブランディングを行い「84.51°」が誕生した。84.51°は現在、クライアントの消費財(CPG)ブランドが精密なターゲティングを行えるように、商品をよく購入する家族の傾向といったカスタマーデータ分析を提供している。

クローガープレシジョンマーケティング(KPM)

2017年10月、84.51°は提供サービスを拡大し、新たなメディアプラットフォームのKPMをローンチした。これは84.51°のデータを使ってクローガーのサイトやモバイルアプリでターゲティング広告を作成するサービスで、当時のプレスリリースには「オープンウェブ全体における提携ブランドのデジタルメディアおよびクローガーのマイマガジンシェアリングネットワーク(MyMagazine Sharing Network)は、カスタマーの意見をよりよく理解し、ユーザー生成コンテンツの取得を行う新製品として、クローガーのロイヤルカスタマーの皆様に提供する専用の口コミマーケティング用プラットフォーム」であると記載されている。

KPMと同時にクローガーは「リストッククローガー(Restock Kroger)」の取り組みの宣伝をはじめた。これは収益源を増やし、オンラインにおけるカスタマー体験の向上をうたったサービスだ。また、以前、米DIGIDAYが報じたように、同社はAmazon形式のサービスを構築した。これはKPMだけでなく「実店舗と配達サービスの『クローガーシップ(Kroger Ship)』、カーブサイド・ピックアップ(店舗に入らず駐車場などで商品を受け取れるサービス)の『クローガーピックアップ(Kroger Pick Up)』、専門商品セレクションの『アワーブランズ(Our Brands)』、財務サービスプログラムの『クローガーパーソナルファイナンス(Kroger Personal Finance)』を組み合わせた複合的サービスだ」。

検索連動型広告

2018年5月にKPMは検索連動型広告の提供を開始した。「プロダクトリスティングアド(Product Listing Ads)」、PLAsとも呼ばれるこの商品は、1クリックあたりのコストで価格が決められている。当時のプレスリリースには「これによってブランドは関連性をより高めたオンライン広告をクローガーの消費者に配信でき、消費者のオンライン体験も高めることができる」と記載されている。

マイクロソフトとの提携

2019年1月、クローガーとマイクロソフトは技術提携し、消費者体験を向上させるとともにコネクテッドな店舗を試験運用すると発表した。

ピンタレストとの提携

2019年3月、クローガーはピンタレスト(Pinterest)と提携し、ピンタレストでオーディエンスが見た広告を通じた販売とアトリビューションの追跡を行うと発表した。

販売アトリビューションの透明性

クローガーは2月第3週に、マイクロソフト子会社のプロモートIQと提携してオンラインと店舗の売上データを結びつけるサービス提供を発表した。プロモートIQ事業担当リーダーのアレックス・シャーマン氏は、「リテールメディアはCPGブランドにとって大きなビジネスチャンスになる」と語り、次のように述べた。「大手CPGブランドにとって、自社がどのように商品を販売するかが最終的に非常に重要になる。そういった販売に関するあらゆる要素の構築においてこのチャネルは有効活用できるだろう。これはクローガーなどの企業が先導して行っている抜本的な変化だ。CPGブランドは、リテールメディアを『ちょっとした便利な存在』程度ではなく、必須なものとして捉えている」。

Kristina Monllos(原文 / 訳:SI Japan)