インスタカート(Instacart)の広告ビジネスは2023年の最初の6カ月で24%成長
インスタカートのIPO(新規公開株)は、テクノロジーや小売の分野で話題になっている。同社は食料品の迅速な配送サービスで知られているが、広告ビジネスも成長中だ。同社の広告ビジネスは比較的新しいものだが、2023年の最初の6カ月で前年同期比24%増の4億600万ドル(約601億円)に達するなど、上昇機運を見せている。2022年10月にセルフサービスアクセスを、2022年11月にはショッパブル広告を開始し、ビジネスを着実に拡大してきた。このチャネルへの注力は、リテールメディア分野における同社の可能性を明確に示すものだ。
リテールメディア分野全体で見ても、このチャネルはディスプレイ広告に続いてマーケターの利用率第3位であり、回答者の38%はリテールメディアを利用していると述べている。これは、米モダンリテールによるモダンリテールプラスリサーチ(Modern Retail+ Research)のCMOストラテジー調査の結果によるものだ。
サードパーティCookieの終了が近づき、データの規制が厳しくなるなか、マーケターはファーストパーティーの購買データにアクセスできるリテールメディアの利用を増やす可能性が高い。インテリジェンス企業のインサイダーインテリジェンス(Insider Intelligence)でプリンシパル小売およびeコマースアナリストを務めるアンドリュー・リプスマン氏は、このチャネルの将来について、「RMN(リテールメディアネットワーク)の長期的なチャンスは、特定のブランドやカテゴリーを購入する人々に関する小売業者のファーストパーティーデータを活用することにある」と述べている。
この記事は、小売業界の最前線を伝えるメディア「モダンリテール[日本版]」の記事です。
このエディションでは、米モダンリテールのリテールメディアに関するCMO戦略レポートの要点を紹介する。
インスタカート(Instacart)の広告ビジネスは2023年の最初の6カ月で24%成長
インスタカートのIPO(新規公開株)は、テクノロジーや小売の分野で話題になっている。同社は食料品の迅速な配送サービスで知られているが、広告ビジネスも成長中だ。同社の広告ビジネスは比較的新しいものだが、2023年の最初の6カ月で前年同期比24%増の4億600万ドル(約601億円)に達するなど、上昇機運を見せている。2022年10月にセルフサービスアクセスを、2022年11月にはショッパブル広告を開始し、ビジネスを着実に拡大してきた。このチャネルへの注力は、リテールメディア分野における同社の可能性を明確に示すものだ。
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リテールメディア分野全体で見ても、このチャネルはディスプレイ広告に続いてマーケターの利用率第3位であり、回答者の38%はリテールメディアを利用していると述べている。これは、米モダンリテールによるモダンリテールプラスリサーチ(Modern Retail+ Research)のCMOストラテジー調査の結果によるものだ。
サードパーティCookieの終了が近づき、データの規制が厳しくなるなか、マーケターはファーストパーティーの購買データにアクセスできるリテールメディアの利用を増やす可能性が高い。インテリジェンス企業のインサイダーインテリジェンス(Insider Intelligence)でプリンシパル小売およびeコマースアナリストを務めるアンドリュー・リプスマン氏は、このチャネルの将来について、「RMN(リテールメディアネットワーク)の長期的なチャンスは、特定のブランドやカテゴリーを購入する人々に関する小売業者のファーストパーティーデータを活用することにある」と述べている。
米モダンリテールの調査では、マーケターがリテールメディアを測定するために主に使用しているKPI(重要業績評価指標)は、コマースまたは売上だった。クリック率やインプレッションを主なKPIとするディスプレイ広告など、ブランディングに重点を置くほかのチャネルとは異なり、リテールメディアはチェックアウトに重点を置いている。これは、小売企業のサイトに掲載されているため、チェックアウトに近いことが理由の一部だ。
リテールメディアは、インスタカートにおいては特に良い業績を挙げてきた。「特に注目すべきなのは、CPG(消費者向けパッケージ商品)パートナーのROI(投資回収率)だ。我々には、ABテストやリフトテストなど、パートナーがプラットフォーム上で測定に使える多くのツールがある」と、インスタカートのCMOを務めるローラ・ジョーンズ氏は述べている。
「たとえば、あるパートナーのキャンペーンでは、売上が35%増加した。また、当社の広告はブランドパートナーに対して、平均15%以上の売上増を実現している」と、同氏は付け加えている。
これは、2022年のマッキンゼー・アンド・カンパニー(McKinsey & Company)の調査で、広告主の約70%がほかのチャネルよりもRMNのほうが良い結果を示したと回答したのと一致しており、このチャネルはほかより多くの売上を生み出すか、少なくとも売上増に直接貢献しているということを示している。
主要な所見:
- モダンリテールプラスリサーチのCMOストラテジー調査によれば、リテールメディアはマーケターの利用率第3位であり、回答者の38%がこのチャネルを利用していると答えた。サードパーティCookieの終了が近づき、データの規制が厳しくなるにつれ、マーケターはファーストパーティーの購買データにアクセスできることから、リテールメディアの利用を増やす可能性が高い。
- クリックスルーやインプレッションをKPIとして使用するディスプレイ広告のようにブランディングに重点を置く他チャネルとは異なり、リテールメディアは、小売企業のサイトにあることでチェックアウトに近いこともあり、売上に重点を置く。
[原文:Research Briefing: Instacart pushes retail media ads to drive growth]
Li Lu(翻訳:ジェスコーポレーション、編集:戸田美子)
Image via Ivy Liu