去る6月、Snapchat(スナップチャット)が、そのコンテンツセクション「ディスカバー(Discover)」のデザインリニューアルを行ってから2週間後、チャンネルパートナーたちはあることに気づいた。同セクションの閲覧者数は大幅に増加したものの、閲覧回数と閲覧完了率、そしてユーザー1人あたりの閲覧時間が落ち込んでいたのだ。
その後、夏になり、Snapchatは、ESPNやBuzzFeed、リファイナリー29(Refinery29)など、「ディスカバー」のコンテンツパートナーに対して、同セクションのユーザー傾向について説明するプレゼンを実施したという。
去る6月、Snapchat(スナップチャット)が、そのコンテンツセクション「ディスカバー(Discover)」のデザインリニューアルを行ってから2週間後、チャンネルパートナーたちはあることに気づいた。同セクションの閲覧者数は大幅に増加したものの、閲覧回数と閲覧完了率、そしてユーザー1人あたりの閲覧時間が落ち込んでいたのだ。
その後、夏になり、Snapchatは、ESPNやBuzzFeed、リファイナリー29(Refinery29)など、「ディスカバー」のコンテンツパートナーに対して、同セクションのユーザー傾向について説明するプレゼンを実施。なお、6月における「ディスカバー」のデザインリニューアルでは、コンテンツパートナーのロゴの円形表示をやめて、各チャンネル内にあるコンテンツのカバーイメージ画像を長方形のタイル状に敷き詰めるデザインとなっている。
そのプレゼンでSnapchatは、デザインリニューアルしてから2週間もしないうちに、「ディスカバー」の平均的なチャンネルは、デイリーユーザー数が倍増して100万人になったと述べた。チャンネルの上位10%は、この6月末までに、デイリーユーザー数が約200万人から350万人まで増加したという。
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エンゲージメントが減った
パブリッシャー業界の情報筋によると、表面上、「ディスカバー」セクションのユーザー増加を目指してきたSnapchatにとって、これは良いことであるように思えるという。
だが、「ディスカバー」への入り口を見映えのいいタイル形式にしたことと、「ディスカバー」のコンテンツを「ライブストーリー(Live Stories)」ページと統合したことで、閲覧者数は増加したものの、エンゲージメントは低下した。プレゼンによると、デザインリニューアル後の2週間の平均と、リニューアル前の6週間の平均を比較すると、ユーザー1人あたりの閲覧回数は14%減少したという。さらに、閲覧時間は6%短くなり、閲覧完了率は32%急落したのだそうだ。
デザインリニューアルの意図せぬ副次的影響は、ほかにもあった。視聴者は、ページを開いてもトップ記事しかチェックしないのだ。最初の記事を読んだあとに次の記事に進まない人の割合は、リニューアル前の6週間が13%だったのに対して、28%になったのだ。「パブリッシャーは、次の記事に進むキッカケをユーザーに与える必要がある」と、Snapchatはプレゼンで述べている。
さらにトラフィックも不安定になった。特定の日にユーザー数が前週と比べて、200%以上増加したパブリッシャーもいたという。
閲覧者数が5倍になることも
「ディスカバー」のパブリッシャーのある幹部は、次のように指摘する。「ソーシャルメディア全体における『発見』の問題だ。以前は、何かを見つけるには、ホームページにアクセスしてから、スクロールしないといけなかった。現在は、ツイート内のリンクをクリックして、その記事を読み、ほかの記事を調べない。『(新生)ディスカバー』でもそれは同じだ」。
Snapchatのプレゼンは、デザインリニューアル後2週間の動向しか説明していない。だが、「ディスカバー」のパブリッシャーである複数の情報筋は、夏中ずっとその傾向は変わらないままで、閲覧者数は増えているがエンゲージメントは低下していることを認めた。一方、また別の「ディスカバー」関連パブリッシャーは、トップ記事の体裁次第で1日の閲覧者数が5倍になることもあると述べている。
Snapchatは、この記事に対するコメントを控えた。
パートナーは懸念していない
Snapchatにとって考えられる問題点は、これが「ディスカバー」の広告にどう影響するかだ。「ディスカバー」では、チャネルパートナーとSnapchatが、毎日掲載されるコンテンツの間に挟まるバーティカル動画広告を販売。ユーザーがトップの記事から次の記事へ遷移することが少なくなれば、提供される広告数は少なくなるはずだ。
「ディスカバー」のパートナーは、この傾向を懸念していない。たとえオーディエンスが記事を以前ほど先の方まで読まなくても、ユニーク視聴者数が全体的に増加しているということは、広告を見る可能性がある人も増えているはずだからだ。プレゼンによると、全体のインベントリー(在庫)は、デザインリニューアル前の6週間を基準にすると、リニューアル後の2週間で56%増加したという。
「ディスカバー」を利用する別のパブリッシャーの幹部は、「どちらかと言えば、インベントリーの観点から考えている。6~8本の記事を読む閲覧者がどれだけいるか調べて、インプレッションを生み出しており、毎日どれだけの閲覧者が最後の記事まで閲覧しているかについては、あまり気にしていない」と語る。
ユーザー数が増えている兆しも
1日単位で見ると、「ディスカバー」に戻ってくるユーザー数が増えている兆しもある。Snapchatは、新デザインの「ディスカバー」を公開するときに、ユーザーが「ディスカバー」のチャンネルごとに購読登録ができるようにもした。購読登録したチャンネルのコンテンツは、「ライブストーリー」のページにも表示される。チャンネルの会員の半分は、毎日、そのチャンネルを閲覧しており、毎日掲載される記事の閲覧の63%を特集セクションが占める、とSnapchatはプレゼンで述べている。
あるパブリッシャーの幹部は、次のように述べている。「忠実なオーディエンスをどれだけ生み出して、つなぎ止めることができるかを示すものなので、購読登録者数は絶えず確認している。たとえアクセスして2、3本の記事しか読んでもらえなくても、インベントリーの観点から見れば、やはり価値がある」。
Sahil Patel (原文 / 訳:ガリレオ)