誰に聞いても明らかなことだが、若者が大半を占めるSnapchat(スナップチャット)のオーディエンスは、そのコンテンツコーナー「ディスカバー(Discover)」に魅力を感じていない。そもそもSnapchatはメッセージングアプリであり、ユーザーアクティビティは1日1億人にのぼるが、「ディスカバー」へのトラフィックはそのごく一部でしかない。
パブリッシャーからみると、「ディスカバー」には重大な欠点がある。その名に反して「発見しやすくない」のだ。それに、メディアを示すアイコンも、はっきりいってダサい。こうしたことを念頭に、パブリッシャーは次のような変化を望んでいる。
誰に聞いても明らかなことだが、若者が大半を占めるSnapchat(スナップチャット)のオーディエンスは、そのコンテンツコーナー「ディスカバー(Discover)」に魅力を感じていない。そもそもSnapchatはメッセージングアプリであり、ユーザーアクティビティは1日1億人にのぼるが、「ディスカバー」へのトラフィックはそのごく一部でしかない。
Snapchatの主目的が友達に写真や動画を送ることであるのは、今後もずっと変わらない。一方、「ディスカバー」は厳選されたパブリッシャーが、同サービスの特別なフォーマットで記事を配信する場であり、広告の多くもこちらに掲載される。そのため、ビジネスの観点から、Snapchatは「ディスカバー」をつねに進化させていて、特別なパブリッシャーを追加したり、デザインをいじったり、トラフィックを送り込む窓口を設けたりしている。
だが、パブリッシャーからみると、「ディスカバー」には重大な欠点がある。その名に反して「発見しやすくない」のだ。それに、メディアを示すアイコンも、はっきりいってダサい。こうしたことを念頭に、パブリッシャーは次のような変化を望んでいる。
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カバーが重要
先日、CNNは「ディスカバー」上で珍しい小技を披露した。ヘッドラインにロゴを入れたのだ。「ディスカバー」のほかのパブリッシャーは、こんなことが可能だとは知らなかったようで、CNNが「ブリュッセル連続テロ」で自社コンテンツをプロモートしているのを見て驚いたというところもあった。Snapchatは、アプリにおけるブランディングやメッセージングがどのように受け取られるかをとても大事にしており、ヘッドラインが使われることはまれだ。
Snapchatのポップアップチャンネルを運営するバニティ・フェア(Vanity Fair)のデジタルディレクター、マイク・ホーガン氏は、次のように述べている。「閲覧している人々の注意をひき、コンバージョンにつなげるには、もう少し頑張って、クリックしたら何が読めるのかをはっきりさせなければならない。大事なのは、動きのないブランドロゴよりも、Snapchat上で目を引くヘッドラインだ」。
読者を読む
ある「ディスカバー」パートナーが匿名で語ったところによると、Snapchatはデータテクノロジーの開発を進めており、そこには、関連性の高い広告の提供だけでなく、コンテンツの方向付けに役立てる狙いがあるという。Snapchatは興味や関心に基づいて、読者に関する情報を、個人を特定できる情報抜きで、より多く提供できるようになるだろう。
「ディスカバー」はすでに、読んだ記事に基づいてユーザーの好みを判断している。現在、チャンネルはスポーツ、食べ物、ニュース、その他に分かれているが、Snapchatはもっと多くのシグナルに反応するツールを開発中で、これにより、パブリッシャーはコンテンツや広告をさらに細かく調整できるようになるだろう。
前述の「ディスカバー」パートナーは、「将来的には、一度どこかで読んでもらえたら、『こちらもあなたにおすすめです』と言えるようになる。ユーザートラッキングは危なっかしい印象があるし、よからぬ目的に利用可能なのも間違いないが、我々はすでにネット上のあちこちで追跡されている」と語った。トラッキングは読者体験の向上に利用できると、このパートナーは言う。
デジタルサブスクリプション
報道によると、Snapchatは今後、チャンネル登録を実装するという。これはユーザーが興味のあるものだけを読むための簡単な方法だ。「ディスカバー」はApple Newsと同じように、ニューススタンドからニュースフィードへと進化を遂げるべきだと、バニティ・フェアのホーガン氏は考えている。読者はどれかひとつのパブリッシャーを選ぶわけではなく、話題に基づいて、複数のパブリッシャーから情報を入手する。
フィードベースのモデルでは、複数のパブリッシャーからコンテンツが少しずつユーザーに送られる。そのなかから気に入ったパブリッシャーをフォローするという選択肢もある。
「うまくいけば、パーソナライズされた素晴らしいコンテンツフィードができあがる。そのなかに気に入ったものがあれば、どこが作ったかを確認して、そのパブリッシャーをフォローしてすべてのコンテンツを読むのも、もちろん自由だ」と、ホーガン氏は言う。
「壁」の開放
Snapchatはきわめて閉鎖的だ。ユーザーを長時間囲っていられるので、アプリ自体には好都合だ。しかし、パブリッシャーはアプリ以外の場所でもっと宣伝できるようになることを望んでおり、「ディスカバー」のチャンネルや「ライブストーリー(Live Stories)」で制作したコンテンツをシェアしたいと考えている。「ライブストーリー」はSnapchatのもうひとつの機能で、メディアやエンターテインメントブランドが独自の動画コンテンツを投稿している。
グラミー賞授賞式の際、Snapchatはアプリ上の動画をWebサイトに投稿するという、はじめての試みを実施した。パブリッシャーたちは、このように、Snapchat上の動画をWebの別の場所でシェアするなど、露出を高める機能を「ディスカバー」に望んでいる。
先ほどの「ディスカバー」パートナーは、次のように語った。「オーディエンスを『ディスカバー』のチャンネルに集める方法はない。コンテンツのシェアを増やしたくても、それは完全にSnapchatチームの気分まかせだ。検索トラフィックから恩恵を受けることはできないが、バイラルなネットワークの効果は得られる。それがSnapchat最大の特徴だ」。
Garett Sloane(原文 / 訳:ガリレオ)