「我々には有利」:Cookie崩壊のなか、データ機能を売り込むトランスユニオン

オンライン広告業界が、プライバシーをより強く意識した方法でインターネット上でユーザーをターゲティングし続けるために、サードパーティCookieに代わるものを確立しようと競争を繰り広げている。そんななか、トランスユニオン(TransUnion)は、既存ビジネスから一歩を踏み出し、マーケター用ツールキット内における主要なデータプロバイダーのひとつとしての地位を確立する準備を進めてきた。

トランスユニオンは数十年の歴史のある信用調査機関として消費者によく知られている。だが、メディアやマーケティングのソリューションビジネスも成長させており、エクスペリアン(Experian)やエキファックス(Equifax)のような信用報告機関と競っているのだ。

トランスユニオンはプロプライエタリな信用データベース(マーケティング目的に使用される場合は集約され匿名化される)と他のサードパーティからのデータを使って、マーケターにサービスを提供。そうしたサービスには、オーディエンスのセグメント化やデータオンボーディング、ID検証・照合のほか、特定の金融商品を購入する資格があるほど信用状況が高い顧客だけをターゲットにするための「事前審査キャンペーン」が含まれる。

トランスユニオンは2018年、メディアリンク(MediaLink)の元マネージングディレクター、マット・スピーゲル氏を雇用し、デジタルマーケティングソリューションビジネスの責任者にした。それとともに、スピーゲル氏は現在、トランスユニオンのメディアバーティカル部門も率いており、パブリッシングや放送、アドテク、マーケティング技術といった分野の各企業とのパートナーシップ構築や交渉にあたっている。

スピーゲル氏は次のように語る。「メディアバーティカルと過去数年、そこにいるプレイヤーたちは、トランスユニオンがそうした機能を市場に大々的に提供しようとしているとは考えていなかっただろう。2020年は、ソリューションというこのカテゴリーに我々が意味のある投資をしていることを明確にする年だ」。

マーケティング技術の買収

トランスユニオンは2019年5月、類似オーディエンスやオーディエンスの予測モデリング機能の拡張を目指して、マーケティング技術プラットフォームであるトゥルーシグナル(TruSignal)を買収、その意図を示唆していた。トランスユニオンはさらに同年初頭、トゥルー・オプティック(Tru Optik)との提携も発表。トゥルー・オプティックは、OTT(オーバー・ザ・トップ)テレビ向けにデータ管理ならびに測定プラットフォームを提供している。

トランスユニオンの「新しく誕生したバーティカル」部門――ここにはスピーゲル氏が率いる部署も含まれる――内の米国内におけるオーガニックな売上は、2019年第4四半期には1億9300万ドル(約210億円)となり、前年同期より6%増加した。同社は決算発表において、過去数四半期と比較して成長率がわずかながらも低下していると説明。トランスユニオンの最高財務責任者(CFO)を務めるトッド・セロ氏は、同社は2019年を通してメディアバーティカルを再編し、「人間をベースにしたマーケティング技術」をさらに開発していると述べた。

スピーゲル氏は、現在の業界を賑わしている3つの話題――サードパーティCookieの死、データ規制、ユーザーのプライバシー――が「我々にとって有利に働く」と話す。

また、スピーゲル氏は、「我々は人間をベースにしたアプローチからはじまるソリューションを構築している。我々はデータに触れ、なおかつ規制や要求に対応する能力があるからだ」と語り、非常に厳格に規制された信用報告という分野でトランスユニオンが受け継いできた遺産に言及した。

パブリッシャーとのつながり

マーケティングコミュニティにリーチを拡大する過程でトランスユニオンが直面するであろう課題のひとつは、IDソリューションを競合他社より際立たせるためには、パブリッシャーとの十分な直接的なつながりを示すことだと、プロハスカコンサルティング(Prohaska Consulting)のデータ戦略部門グローバル責任者であるポール・シミノ氏は語る。たとえば、ライブランプ(LiveRamp)やID5といった企業はすでに、独自のIDグラフ構築に多額の投資をしている。

シミノ氏は「これは非常に難しい課題だ」と言いながら、トランスユニオンを援護するようにこう付け加えた。「トゥルーシグナルの買収は大きな動きだったと思う。その時点まで、彼らがどこを目指しているのかわからなかったし、彼らにはインターネットのスケールについての視点がなかったので、自社製品を売るためと、ほかの仲介業者に見られていた」。

その目的を達成するために、スピーゲル氏は、トランスユニオンについて、さまざまな企業と提携して異なるIDシグナルを結びつける手助けをする「データ元受機関」と表現し、同社がデータベースに保存している約5億の企業と信用履歴からスタートすると説明する。

「それでも市場参入は遅すぎた」

それでも、トランスユニオンにとっては、すでに成熟した市場への参入が遅すぎたことがシンプルに課題だと、身元を明かさないことを条件に取材へ応じた、ある消費財企業のマーケターは話す。

「この業界に参入する価値はあるだろうか?」と前述のマーケターはいう。「そうした(データ)パートナーは、一度できてしまうと、壊すのは本当に難しい。トランスユニオンがいいかエクスペリアンがいいかをテストすることは、とても興味の湧かない作業になる」。

Lara O’Reilly(原文 / 訳:ガリレオ)