MARKETING ON PLATFORMS

Twitter 、ようやく本気を出しはじめる:新製品&機能の続々投入に、興味津々のステークホルダーたち

Twitterは長年にわたり、ビジネス判断が遅い、優柔不断だと批判されてきた。だが、今年になって、製品や機能の変更を立て続けにリリースしている。ようやく、Twitterの翼は、羽ばたく兆しを見せているようだ。

新製品や追加機能をもっと容易にサポートするため、Twitterが広告サーバーと基本設計を変更したのは1年ほど前のこと。同社はこのほど、動画広告メニュー「Twitter アンプリファイ(Amplify)」に新しい機能を追加して、Amplifyプレロール(preroll)とAmplifyスポンサーシップ(sponsorship)の広告機会を強化した。同時に、モバイルアプリのインストール数およびウェブサイトのクリック数を伸ばすための広告商品も全面的に見直した。

消費者向けの機能については、ニュースレタープラットフォームの「レビュー(Revue)」とサブスクリプションサービスの「スクロール(Scroll)」の買収、さらには限定コンテンツを有料でフォローする機能「スーパーフォロー(Super Follows)」、いわゆる投げ銭機能「ティップジャー(Tip Jar)」、音声を使ってリアルタイムで会話できる機能「スペース(Spaces)」の立ち上げにより、パブリッシャーやクリエイターがTwitterに新たな関心を寄せている。ユーザーのエンゲージメントを伸ばすだけでなく、有料会員の獲得という新たな可能性が開かれたからだ。特にアナリストたちは、サブスクリプション機能の潜在的なメリットに注目しているようだ。

TwitterはこれまでずっとFacebookとは一線を画する可能性を追求してきたが、一連の変更により、その可能性の実現に一歩近づいたと言える。それでも、これら立て続けに行われた変更が、1日当たりのユーザー数の動向にマイナスの影響を与えてはならない。この数字は、多くのプラットフォームにとって、先を見通すための重要な指標だ。現に、2021年第1四半期に予測を上回る売上高を計上したにもかかわらず、Twitterの株価は4月に8.5%下落した。これはマネタイズ可能な1日当たりのアクティブユーザー数が、当初の成長予測に届かなかったからだ。

消費者向け製品の責任者を務めるケイヴォン・ベイクプール氏は、2021年の投資家向け説明会で、マネタイズ可能な1日当たりのアクティブユーザー数を、2023年末をめどに、現在の1億9900万人から3億1500万人まで増やす意向を明らかにした。

本記事の執筆にあたり、役員への取材を要望したが、Twitterはこの申し入れに応じなかった。

投資会社のMKMパートナーズ(MKM Partners)でマネジングディレクターを務めるロヒト・クルカーニ氏はこう語る。「ここ2年ほど、Twitterはライバルの背を追うばかりだった。それがいまでは、振る舞いも口ぶりもライバルたちと同等だ」。

長年、Twitterはほかのプラットフォームに比べて、用心深く、及び腰で、制限が多いと批判されてきた。そのような批判は、当然、Twitter上にも多く見られる。そして比較の相手は、もっぱらFacebookだ。6秒動画の「ヴァイン(Vine)」やライブ動画配信の「ペリスコープ(Periscope)」で大きな関心を集めたこともあったが、業界の観測筋も従業員もTwitterの動きは鈍いと感じていた。

ある元従業員はこう話す。「Twitterは常にほかのプラットフォームに遅れをとってきた。本来あるべきペースで進化していない」。

最近、この状況が良い方向に変化している。開発の迅速化を目的としたインフラの再整備を表明してから約1年半後の2020年夏、Twitterはこの作業を完了した。この環境整備により、Twitterはその開発能力を大幅に向上させ、さらなる進化を志して2021年を迎えた。「今年中に開発速度を2倍に引き上げたい」と、最高財務責任者(CFO)のネッド・シーガル氏はこの3月に述べていた。Twitterは、さきの通期決算発表で、2021年に従業員数を20%増やす計画を明かしたが、その大半がエンジニアリング、製品および研究部門での採用という。

このような環境整備にはそれなりのコストがかかる。昨年、Twitterが支出した研究開発費は28%増の8億7300万ドル(約957億円)、人件費を含む一般管理費は56%増の5億6200万ドル(約616億円)だった。だが、投資効果は確実に現れはじめている。第1四半期の売上高は前年同期よりも29%増えて、10億ドル(約1096億円)の大台を突破した。

見直しと巻き返し

Twitterが最近行った新機能や新製品の追加の多くは、ほかの主要なプラットフォームに追いつくことをめざした動きと言える。たとえば、昨年11月に公開したショートムービー機能「フリート(Fleets)」とカルーセル広告は、Facebook、Pinterest、Snapchat、LinkedInらがすでに、場合によっては何年も前からユーザーや広告主に提供してきた製品だ。

メディアエージェンシーのグループエム(Group M)でソーシャル部門のグローバル責任者を務めるアマンダ・グラント氏も、「そのいくつかは、ライバルと肩を並べるための機能追加だ」と述べている。

競合他社と同じ位置に立つことは、長年にわたる負のイメージを払拭する機会ともなるだろう。

「Twitterには、[Twitterが提供する商品に失望した]広告主たちの信頼を回復する義務がある」と、グラント氏は話す。「Twitterは10年以上にわたってユーザーに親しまれてきたが、広告主には広告主なりのTwitterの真実がある」。

新しい顔

Twitterが消費者向けの機能で行った変更は、パブリッシャーとの関係にも影響を与えている。多くの記者や編集者にとって、Twitterの優先度は決して低くない。それにもかかわらず、Webトラフィックの分析ツールを提供するパースリー(Parse.ly)のデータによると、パブリッシャーへの参照元トラフィックに占める比率は1桁台にとどまる。結果的に、オーディエンス開発の担当者にとって、Twitterの数字のチェックは単なる日課のひとつとなってしまった。

実際、USAトゥデイ(USA Today)でオーディエンス開発の責任者を務めるアレクサンドラ・プタチック氏は、「ここしばらく、適当にチェックする程度になっていた」と認めている。

しかし、プタチック氏によると、Twitterが最近行った一連の発表は、USAトゥデイの多様な部署から大きな関心を集めているという。USAトゥデイは「スペース」のベータ版を試験運用しており、この機能を活用して、記者とユーザーの新しい交流を模索している。同紙は先週、ミネソタ州ミネアポリスで開かれたデレク・ショーヴィン被告の裁判(ジョージ・フロイド氏殺害事件)を報道した記者たちを招いて、スペースを活用したイベントを開催した。

プタチック氏や同僚たちも、同紙が掲げる野心的なデジタル版購読者の獲得目標に、Twitterの新しい製品がどう資するのか、強い関心を寄せている。

「Twitterのティップジャー(投げ銭機能)がパブリッシャーにもたらすメリットに注目している」と、プタチック氏は述べている。「オーディエンスが見込めて、成長と実験の可能性があり、売上につながると言うのなら、どんなことでも興味がある」。

サブスクリプションをめぐるジレンマ

だがおそらく、Twitterの製品発表のなかでもっとも注目を集めたのは、サブスクリプション機能に関わる部分だろう。ほとんどのプラットフォームはクリエイターの獲得競争にしのぎを削り、手厚い環境整備に予算を投じている。Twitterも例外ではなく、限定コンテンツを有料でフォローする機能(スーパーフォロー)、寄付金の送受を可能とする、いわゆる投げ銭機能(ティップジャー)、およびニュースレターの配信ツール(レビュー)を提供している。

「Twitterは自分たちの強みを活かしている」。そう話すのは、ソーシャルプラットフォームと戦略に詳しいコンサルタントのマット・ナヴァラ氏だ。同氏はこう続ける。「彼らはTwitter上で見られる典型的な利用パターンに基づいて製品や機能を構築し、[クリエイターが]複数のサービスを使わずとも、生計を立てられるようなツールを提供しようとしている。Twitterのアカウントがあれば、もはやクラウドファンディングプラットフォームであるパトレオン(Patreon)のアカウントは必要ない」。

しかし、Twitterはさらにもう一歩踏み込み、ツイートの編集機能や広告なしで記事を読む機能(スクロール)などを登載した、プレミアム版の提供をほのめかしている。

このようなサービスの市場規模はいまのところ不明だ。しかし、Twitterへの依存度が高いメディア、テクノロジー、ファイナンスの世界なら、すでに実証実験の環境が整っている。

MKMパートナーズのクルカーニ氏によると、「Twitterが金融業界やメディア業界にもたらす価値は極めて非対称的」だという。「重要なのは、利便性と収益化をバランスの良い補完関係に導くことだ」。

クルカーニ氏は「そのような価値が収益の大半を占めるようになるとは思わない」としながらも、「今後数年で10%にはなるはずだ」と語った。

[原文:‘Playing to their strengths’: Twitter’s revved-up product focus piques publisher, advertiser interest

MAX WILLENS(翻訳:英じゅんこ、編集:長田真)