大きくなった! ピンタレスト の動画広告:でも、全画面じゃないっていう

広告投資をさらに呼び込もうと努力するピンタレスト(Pinterest)は、新しい動画広告プロダクトを導入した。これまでも、ほかのプラットフォームのコピーをするだけではない独自路線を辿ってきた彼ららしく、今回の動画広告もピンタレスト独自のアプローチを試そうとしているようだ。

今回の動画広告はスマホ上でより大きな面積を占めることになるが、インスタグラム(Instagram)やSnapchat(スナップチャット)とは違い、全画面表示にはならない。まだベータ版で公式なローンチは今年中とのことだが、現時点では横幅は画面いっぱいに広がっている。これは多様な広告プロダクトを提供しようとするピンタレストの取り組みの一環だ。静止画像ばかりが並ぶピンタレストの画面に自動再生広告によって動きを導入することでユーザーたちの注目を集めるのが狙いとなっている。ユーザーが広告をクリックした場合のみ、音は再生される。ピンタレストによるとユーザーの80%はモバイルデバイスでピンタレストを利用しているという。

「フィード上におけるインパクトを大きくするために幅を最大化したかった。ユーザーたちは広告動画の視聴前後はピンタレストに並ぶアイデアを閲覧している。この発見する、という意識に動画広告はぴったりと合っている」と、広報担当者は語った。

「らしさ」の良し悪し

広告予算がよりソーシャル動画やモバイルといったジャンルに注ぎ込まれるようになるなか、ピンタレストが動画広告を最初に導入したのは2年前だった。当時の動画広告を採用した人たちによると、それほどのリーチを見せられなかったという。ピンタレストが動画のモバイル全画面表示を行わない点も、バイヤーにとっては驚きではない。むしろ業界では典型的である動画広告の全画面表示をあえて行わない点は、バイヤーにとってのピンタレストの個性とも一致している。

しかし、グループ・エム(GroupM)のソーシャル部門アメリカ責任者であるアマンダ・グラント氏は、全画面表示を行うことはピンタレストの今後の成長にとってプラスであると考えているようだ。

「ピンタレストは動画分野における存在感を増すために、ユーザーが広告をクリックする必要性を減らすというアプローチを取っているんだと思う。ピンタレスト上でユーザーが、どのようにこの動画広告を体験して、反応するのかをテストしたいと考えているのだろう」と、グラント氏は言う。

ピンタレストの新しいフルワイド動画広告

ピンタレストの新しいフルワイド動画広告


OMD USAのソーシャル部門ディレクターであるケリー・パース氏は逆に、Snapchatやインスタグラムのストーリーのような全画面動画広告を広告主に提供していないからといって、ピンタレストは損をしているわけではないと考えている。

「ストーリーがあるプラットフォームとは違う目的で人々はピンタレストを使っている。ピンタレストは、プランニング、リサーチ、サーチをすること、そしてインスピレーションを受け取ることが目的となっている」と、パース氏は言う。

プラットフォームの存在感

ユーザーベースに関して言うと、ピンタレストはFacebookやYouTubeには遥かに及ばない。ブルームバーグ(Bloomberg)によると、月間アクティブユーザー数は2億5000万人となっている。しかし特定の人口構成や興味関心グループに注目すると、設立してから8年になるピンタレストは圧倒的なシェアを誇っているというのが、メディアバイヤーたちの認識だ。

ピュー・リサーチセンター(Pew Research Center)の研究によると、動画中心のプラットフォームであるYouTubeやSnapchatに10代のユーザーたちは集まっている。しかしピンタレストのメインのユーザー層は25歳から54歳の女性と、メディアバイヤーたちは考える。

ピンタレスト上で人気のカテゴリーにはファッション、フード、トラベル、ビューティなどがある。またエンターテイメント分野のようなバーティカルのプロモーションにも取り組んできているようだと、バイヤーたちは指摘する。

ピンタレストの収益は成長してきている。ブルームバーグが先日レポートしたところによると、ピンタレストの収益は昨年、4億7300万ドル(約523億円)だった。これはその前年と比べると58%増だ。しかし、eマーケター(eMarketer)はピンタレストにおける広告収益のトラッキング、もしくは予測をまだ行わない。

ピンタレストの課題

ピンタレストを使ったことがある大手メディアバイヤーの一人は次のように言う。「典型的なニュースフィードのスタイルではないので、メッセージやコンテンツは見てもらえないことがあり、表示もごちゃっとしてしまう。動画配信のメカニズムもFacebook、YouTube、Twitterといったプラットフォームほど明確ではないのがピンタレストの課題だ」。

ピンタレストにおける従来の動画広告

ピンタレストにおける従来の動画広告

広告主の視点から見ると、ピンタレストは進化を続けている、とグラント氏は言う。「2、3年前であればウェディングやDIYばかりだった。いまは素晴らしいビジュアルプラットフォームとして認知されている」。

Kerry Flynn(原文 / 訳:塚本 紺)