9月19日、Pinterestはプロモーテッドピンズ(Promoted Pins)機能を利用するブランド向けのセルフサービスプラットフォームを導入した。Pinterestのクリエーターネットワーク、ピンコレクティブ(Pin Collective)のメンバーを利用して、広告キャンペーンを2週間以内で制作できる。
インスタグラム、Facebook、そしてSnap(スナップ)といったソーシャルネットワークはどこも、広告主のためのセルフサービス業務プラットフォームを開発してきた。そこに、Pinterest(ピンタレスト)も加わることになった。
9月19日、Pinterestはプロモーテッドピンズ(Promoted Pins)機能を利用するブランド向けのセルフサービスプラットフォームを導入した。Pinterestのクリエーターネットワークであるピンコレクティブ(Pin Collective)の100人ほどのメンバーを利用して、ブランドは広告キャンペーンをわずか10日から14日間で制作することができる。Pinterestによると、以前であれば4週から6週間かかっていたという。アディダスオリジナルズ(Adidas Originals)やオールドスパイス(Old Spice)といったブランドがアーリーアダプターとして参加している。
ツールの仕組みと使い方
ツールの仕組みは次のようなものだ。広告主はクリエイティブブリーフを送り、プロジェクトに参加を希望するピンコレクティブメンバーからの応募を受け付ける。どのクリエーターを起用するかブランドが決定すれば、残りのコミュニケーションはすべてセルフサービスプラットフォーム上で行われる。Pinterestには25人編成のクリエイティブチーム「ザ・スタジオ(The Studio)」が存在しているが、彼らがプロセスを監督し、キャンペーンのクオリティをキープするという。プラットフォームの利用は無料となっており、キャンペーン予算も最小限条件というものは存在していないと、ザ・スタジオのグローバル責任者であるアラステア・コッターリル氏は言う。
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このツールを作るにあたりPinterestは、ブランドがコンテンツクリエーターと協働して広告キャンペーンを作る助けとなる、ポピュラーペイズ(Popular Pays)というプラットフォームと協働した。
「これはただインフルエンサーのためのセルフサービスプラットフォームではない。というのもピンコレクティブのメンバーたちには写真家、イラストレーター、スタイリスト、そしてほかのいろいろな種類のクリエイティブが含まれている。彼らは必ずしもPinterest上で大きなフォロワー数を抱えてはいない。しかし、Pinterest上でのクオリティの高いコンテンツの作り方を知っている。このプラットフォームによってコンテンツ制作のプロセスがシンプルになり、広告主がよりPinterestを使うようになってくれれば幸いだ」と、コッターリル氏は言う。
もちろん、Pinterest上でのプロモーテッドキャンペーンを運営することは、ピンコレクティブを起用する条件となっている。プラットフォーム上での広告には手数料が発生するが、コンテンツ制作からはマージンをとっていない。ブランドはクリエーターと直接値段を交渉し、ポピュラー・ペイズの手数料をそれに加えて払うと、コッターリル氏は説明してくれた。
マーケターたちの見立て
過去1年間において、Pinterestの広告提供は大きく拡大されてきた。ビジュアル検索や見た目ショッピング(Shop the Look)機能といった新しい機能も続々導入された。また複数のアナリティクスやターゲティングツールはマーケターたちを感心させている。Pinterestのセルフサービスプラットフォームとピンコレクティブの取り組みはまた、インフルエンサーを広告エージェンシーのように活用するという業界トレンドを反映している。
エージェンシー、クロスメディア(Crossmedia)のソーシャルメディア部門グループ責任者であるマイケル・ドブソン氏は、ウェディング、トラベル、フード、インテリア業界のブランドにとって、Pinterestはとても面白いプラットフォームであると言う。こういったカテゴリーでは人々はインスピレーションやアイデアを求めているからだ。そこでは、アイデアを探している人々にリーチするように、ブランドたちもプロモーテッドピンズを使用している。今回のセルフサービスプラットフォームの登場で、ピンコレクティブが抱えるブランドのカテゴリーに関連するインフルエンサーたちとブランドは、より結びつきを強くするだろうと、ドブソン氏は言う。
エージェンシー、アテンション(Attention)のコンテンツ/パートナーシップ部門のアソシエイトディレクターであるチェルシー・ナフテルバーグ氏は、インスタグラム、YouTube、そしてブログを用いたインフルエンサーキャンペーンを、さらに大規模に行うときに追加できる要素であると捉えている。しかし、これまで彼女のクライアントは、インフルエンサーのオーガニックなフォロワー数を越えてプロモートすることに興味を示してこなかったという。「これまでPinterestは、本当にイノベーティブでクリエイティブな広告の取り組みを行ってきている。今後もそれが続いて欲しい」と、ナフテルバーグ氏は語った。そしてセルフサービスプラットフォームは、広告主にとってもPinterest上でのインフルエンサーマーケティングを試す良い方法だと付け加えた。
「(Pinterestという)プラットフォーム上ですでにアクティブなフォロワーを抱えているクリエーターと直でつながれれば、時間がかかるリサーチをプロセスから削ることができるだろう」と、彼女は言う。
アディダスのテスト事例
セルフサービスツールを使うことで連邦取引委員会の取り決めがどう関わってくるのかは現時点では不明瞭だ。アディダスオリジナルズは、このツールを使って8月にプロモーテッドピンキャンペーンを展開した。彼らのクラシックなスタンスミス(Stan Smith)シリーズがいかに多目的に使えるかをアピールするものだった。スタイリスト兼写真家のリズ・チャーネットを起用し、12のカスタマイズされたピン投稿を作った。これによって彼らのアイコン的なスニーカーのスタイルをアピールした形だ。チャーネットのPinterest上のフォロワー数は470人となっている。アディダスオリジナルズは、チャーネットがコンテンツを制作したことを公表していない。
この件に関して、Pinterestの言い分はこうだ。インフルエンサーはブランドのためにクリエイティブの制作を手伝っているが、彼ら自身のチャンネルでプロモートしているわけではない。ブランドはインフルエンサーと協働し、そしてそれをプロモーテッドピンキャンペーンで使っているということだそうだ。
Yuyu Chen(原文 / 訳:塚本 紺)