国内でも静かに成長するピンタレスト:そのオリジナリティと可能性


ピンタレスト(Pinterest)が目指すのは「ポジティブなコミュニティ」だ。

2019年8月1日、ピンタレストは月間グローバルアクティブユーザーが3億人を突破したと、自社ブログで発表。この4月には、ニューヨーク証券取引所への新規上場も果たしている。また、国内市場でもユーザーを堅調に伸ばし、パブリッシャーを中心にビジネス活用も目立ってきた。

ピンタレストのCMO、アンドレア・マラード(Andréa Mallard)氏は発表に際して、同ブログで「投稿をシェアしたり、たくさん『いいね!』をもらったりというソーシャルメディアのプレッシャーがない場所(ピンタレストのこと)では、自分が情熱を注いでいること、未来の計画、そして自分自身にもっと注意を向けることができる」とコメント。また、Pinterest Japanでカントリーマネージャーを務める舩越貴之氏も「ピンタレストは、ほかのSNSとは異なり繋がるためではなく、自分と向き合うためのサービスだ」と語る。

自分と向き合う場

舩越氏によると、ピンタレストのユーザーは、「物事を実行に移す前の検討段階で利用している」ケースが多い。フィードや検索結果に表示される「ピン(ピンタレストではコンテンツのこと)」のなかから、自分の気になるものを「ボード(自分専用の掲示板のようなもの)」に保存し、まるでコルクのピンボードのように活用しているという。これは、自分自身やアイディアと向き合うことが多いピンタレストならではの傾向といえるだろう。

また、前述のユーザー数の報告を合わせて発表された、ピンタレストを使用している際の心理状態についての調査結果によると、10人中9人のユーザー(つまり、調査に回答した人のほぼ全員が、「ピンタレストをポジティブなエネルギーに溢れている」と回答。ピンタレストのユーザーは、本来の自分で自分と向き合う時間を味わうことで、ポジティブなエネルギーを得ているのだ。

舩越氏は「我々はプラットフォームにユーザーを囲い込もうとも思わない。ピンタレストを通じ、ポジティブなインスピレーションを得たら、外に出てやりたいこと、新しいことに挑戦する、そんなコミュニティを目指している」と語る。

「運用疲れ」の担当者から支持

また、ピンタレストがビジネスの場で支持されている理由にもユニークな点が見られる。ピンタレストは、ほかのSNSと異なりフィードが流れない、ストック型のプラットフォームであるため、ユーザーからの評価が高いコンテンツであれば、時間が経ってもフィードのトップに表示される。

舩越氏によると、毎日新しいコンテンツを作り、投稿することに疲れを感じているSNS担当者は少なくないという。こうしたペインポイントをカバーしていることも、ピンタレストを支持する企業が増えている理由のひとつだという。

「もちろん、新しいコンテンツの方がユーザーに評価され易いかもしれない。ただ、ピンタレストにおいては、過去の投稿であっても、ユーザーのニーズに最適だと判断されれば何度でも表示される。ピンタレストのアルゴリズムは、ユーザー一人ひとりの興味関心に最適化させることを重視して構築されている」。

国内市場における期待

そんなピンタレストだが、国内のMAUは現在530万人(Nielsen調べ)。最近では、新たな集客チャネルとして、フードやファッション、インテリアといった領域のオンラインメディアやECサイトを運営している企業の利用も多く見られるという。

実際、7月18日にPinterest Japanが発表した「2019年上半期 人気ピントップ10」では、パブリッシャーのビジネスアカウントが多数選出され、その注目度の高まりを感じさせた。発表に名を連ねたのは、『VOGUE JAPAN』や講談社が運営する『withonline』をはじめ、料理動画メディアの『Tasty Japan』や『macaroni(マカロニ)』、ビューティー系動画『MINE(マイン)』など。選出は個人アカウント/ビジネスアカウント関係なく、ピンタレストのアナリティクス機能で計測した、エンゲージメント数を基準に行われた。

選ばれたピンのなかには、フードやビューティーカテゴリを中心に、対象期間内(2019年1月1日〜6月31日)のあいだ、1万人以上のユーザーにピン(ここでいうピンとは『保存』機能のようなもの)されたコンテンツが見られた。特に動画は、ジャンルによって向き不向きはあるが、高いエンゲージメントを獲得する傾向にあるという。


macaroniの2019年上半期No.1のピン。2万人以上にピンされている。

広告展開の行方

ピンタレストの収益源は、米国とヨーロッパの一部で展開されている運用型広告だが、まだ日本では展開されていない。舩越氏はその開始時期について「現在、さまざまなアングルから、いつ広告の展開を開始するか検討を進めている」として、具体的なタイミングは明かさなかった。だが、現在同社の公式ページには、すでに広告プロダクトに関する細かな説明が掲載されている。国内での広告展開も、そう遠くはなさそうだ。

「いまは、国内ユーザーに最適なプロダクト体験を向上することを最優先に考えている。広告の実装はそのあとだ」。

Written by Kan Murkaami