ピンタレスト(Pinterest)には成長中の広告事業があるかもしれないが、まだ比較的活発ではない。そのため、バイヤーは、値上げ競争があまりなかった昨年と比べて、今年はもっと有利な料金でさらに多くのインプレッションを獲得することが可能だと述べている。
ピンタレスト(Pinterest)には成長中の広告事業があるかもしれないが、まだ比較的活発ではない。そのため、バイヤーは、値上げ競争があまりなかった昨年と比べて、今年はもっと有利な料金でさらに多くのインプレッションを獲得することが可能だと述べている。
フロリダ州のマーケティング団体、ビジット・フロリダ(Visit Florida)は、2019年に入ってからこれまでに5つのキャンペーンを展開し、すでにインプレッションの獲得競争沈静化の利点を享受している。5つのうち2つのキャンペーンのCPMは昨年よりも34%少ないが、新たに1億2900万回のインプレッションを確保することができたと、ビジット・フロリダのブランド担当バイスプレジデントを務めるステイシー・メルマン氏は語る。
「CPMが低下する一方でインプレッションが増え、我々にとってウィンウィンだ。この2年間にソーシャル予算を増やしたので、ピンタレストへの投資はその予算と、Twitterのようなほかのソーシャルプラットホームや印刷物のような従来型プラットフォームからの割り当ての変更によるものだ」と、メルマン氏は語る。
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もっと安上がりな選択肢
ブランドネットワークス(Brand Networks)が2015年第2四半期~2018年第3四半期に行った190億回を超えるインプレッションの調査によれば、CPMは2017年第4四半期から2018年第1四半期までのあいだに20.6%低下したという。「ピンタレストのマーケットプレイスに投資すべき時期があったとすれば、それは比較的平穏でCPMが少ない第1四半期だ」と、ブランドネットワークスの最高収益責任者であるE・J・フレーニ氏は述べている。
それ以外の四半期となると話は別だ。
ビジット・フロリダは、ピンタレストに投資し、値上げにつながる競争をさらに生じさせる異色な広告主のひとつだ。4Cインサイツ(4C Insights)を通じて広告を購入している広告主全体のピンタレストにおけるCPMの総平均は、2018年第4四半期には3.67ドル(約403円)で、第1四半期の3.20ドル(約352円)、第2四半期の3.11ドル(約342円)、第3四半期の3.30ドル(約363円)と比べて増加した。
だが、メルマン氏はまだ、ピンタレストが、同様の効果をもたらすほかのオンライン企業に代わるもっと安上がりな選択肢だと考えている。
ほかのオンラインメディア企業と比べて、ピンタレストには競争力がある。FacebookでのCPMは、バーティカル次第で2ポンド(2.62ドル:約288円)~3ポンド(3.94ドル:約433円)なのに対し、ピンタレストでのCPMは約1.50ポンド(1.97ドル:約216円)だ、と両プラットフォームとの今後の取引を脅かすことへの懸念から匿名を条件にあるメディアバイヤーは語った。ピンタレストでは、平均エンゲージメント率はバーティカルとクリエイティブに応じて約5~8%で、ダイレクトレスポンス広告のコンバージョン率が2~3%に達したこともあるという。
成熟した広告事業として
こうした数字は、4Cインサイツが最近のキャンペーンで目にしたものと、それほどかけ離れていない。第4四半期の総平均クリックスルー率は、第1四半期の0.46%、第2四半期の0.48%、第3四半期の0.62%から増加して1%だった。
「ピンタレストはもはや、25~54歳の女性専用のプラットフォームとは見なされてない。オーディエンスに幅と厚みがあり、広告主はそれに気づきはじめている。我々が協働している広告主の多くにとって、テストして学ぶメディアバイイングではもうない」と、ブランドネットワークスのフレーニ氏は語る。
価格変動の一部は、ピンタレスト全体の人気の高まりによって説明できるが、同プラットフォームの成熟した広告事業はこの1年間に前進し、プラットフォームにより多くのメディア予算を引きつけてきた。eマーケター(eMarketer)によると、ピンタレストが2018年に得た広告収益は前年比50%増の7億ドル(約770億円)だという。2019年も同様の急成長が予想され、株式を公開する同年に広告収益は10億ドル(約1100億円)を突破する見込みだとeマーケターは予測している。ちなみに、Snapchat(スナップチャット)は、株式公開後1年目の2017年に約8億2500万ドル(約900億円)を稼いだ。
インスピレーションを得る場
広告事業の規模は大きいが、ピンタレストは特定のバーティカル以外ではそれほど広く利用されていない。だが、ピンタレストのページがもともと喚起するつもりだった憧れの感情よりもむしろ、人々がインスピレーションを探しに行く場として幹部がプラットフォームを宣伝しはじめた昨年以降、それが変化してきた。「ピンタレストが多くの人々にとってプランニングと発見に役立つ頼れるプラットフォームになりつつあることが、広告主から見ていっそう明白になりつつある」と、フレーニ氏はいう。これまで小売と消費財(CPG)の領域だったプラットフォームにビジット・フロリダのような組織の興味をそそったのは、ピンタレストの売り込みのちょっとした修正だった。
「ブランドはいま、ピンタレストで活動して、最良の価格を利用し、それよりももっと重要なことだが、どんなクリエイティブやCTAがピンタレストのユーザーの心に響くのか学ぶべきだ。キャンペーンのさまざまな変動要因に関する知識を身につけていれば、ブランドは、クリック&コンバージョン率を比例して向上できる場合に、CPMが上昇するなかでもっと高値で入札を続けることができる」と、4Cインサイツの最高マーケティング責任者であるアーロン・ゴールドマン氏は語る。
ブランド ネットワーク(Brand Network)を通じてもたらされたピンタレストのインプレッション総数が2016~2018年に200%以上増加するなど、獲得できるインプレッションが増えてきたので、広告主は、ファネル全体で効果的な可能性があることを確認したあと、メディアプラットフォームでのピンタレストの役割を再評価してきた。たとえば、ピンタレストが昨夏に導入した大きめの動画フォーマットをアディダス(Adidas)が当時テストしたところ、広告の認知度が12.6%上昇したと、導入時に市場調査会社ミルウォードブラウン(Millward Brown)の調査で言及されている。一方、購入可能な「アイテムタグ(Shop the Look)」ピンを2018年9月にすべての企業に開放するという決定によって証明されたように、ダイレクトレスポンス広告は、ピンタレストの新規株式公開(IPO)後に果たす役割が大きくなると見られている。
フルファネルにリーチできる
「マーケティングキャンペーンにおいてファネル最上部と下部の両方でユーザーにリーチするにあたって、ピンタレストの広告で大きな成功を収めてきた」と語るのは広告エージェンシー、アイクロッシング(iCrossing)のプランニングディレクターを務めるマリア・バイン氏だ。ピンタレストの動画広告と静的な広告が、メディアプランの常時要素として、アイクロッシングの顧客である旅行会社1社のために利用され、顧客のサイトに「エンゲージメントの高い」トラフィックを「大量」に誘導すると同時に、ピンタレストで大量のエンゲージメントを生み出した、とバイン氏は述べた。
Seb Joseph(原文 / 訳:ガリレオ)