「顧客」ではなく「人」と捉えるべし:ANAカンファレンスで学んだ5つのポイント

米フロリダ州のオーランドで、マーケターたちは4日間にわたり、世界のトップCMOたちのプレゼンテーションを聴き、ゴルフやコンサートを楽しんだ。だが、P&Gのマーケティングチーフ、マーク・プリチャード氏は壇上で参列者に向けて「やり遂げるべき本来の仕事がたくさんある」と語った。

「我々はみな、この混乱を切り抜けて、成長を促進する本来のマーケティングというものを取り戻しつつある。この討論はエンタメのためのものではなく、次のアクションを起こすためのものだ」と、プリチャード氏は語った。

本記事は、2018年度のANA(Association of National Advertisers:全米広告主協会)カンファレンスでのプレゼンテーションで我々が得た成果だ。

1.顧客を「人」と呼ぶべきだ

今回のANAミーティングでのバズワードは「ヒューマンマーケティング」であり、講演者たちはターゲティングに関わる話題のなかで、多くのブランドが、顧客は人間であることを忘れているのではないか、と主張した。「ベイエリアでは、(マーケティングは)グロースハッキングだとよく言われる。私は、これらすべては、この業界自体の原点である『人の役に立つ』ということへの回帰を意味すると考えている」と、クロロックスカンパニー(The Clorox Company)のCMO、エリック・レイノルズ氏は語った。「社内の誰かが『顧客』と口にした時は、『人』だと言わせなさい」。

2.ブランドは自分自身をよく知る必要がある

基調講演はなかったものの、ナイキ(Nike)やプログレッシブ(Progressive)、イーベイ(eBay)やFacebookからも多くがANAミーティングに参加し、プレゼンテーションでは誰もがブランドについて言及した。そのなかでも際立っていたのは、NFL選手のコリン・キャパニックの広告だ。「顧客はブランドに意義を求めるようになっている。競争は非常に激化している。基本的には皆、同じ顧客を追っていて、このデジタル時代においては、新規参入の障壁もゼロだ」と、コールズ(Kohl’s)のCMO、グレッグ・レベッレ氏は語った。

3.インハウス化の議論を呼んだDTCの動き

DTC(direct-to-consumer:ネット直販)ブランドの台頭によって、大きなブランドや小売業者は脅威に立たされている。企業がインハウス化を採用しはじめたのは、透明化とコスト削減が主な理由だが、なかには、単に仕事が速くなるからだという者もいる。ベライゾン(Verizon)の社内エージェンシーである『140』でバイスプレジデントとCOOを務めるウォーレン・マレンコ・チェイス氏は「仕事に近接していることで、より深く仕事に関わることができるだけでなく、成果にたどり着くまでのスピードも速くなる」と語った。

4.「データのスマートな活用」からかけ離れたマーケター

マーケターにとってデータの重要性は明らかだが、ブランドはその活用法や意義を見極める必要がある。イーベイのアメリカ支部のCMO、スージー・ディーリング氏は、広告でどんなストーリーを語るべきかを見極めるために、人は何を探して何を買っているかというデータの解析に特に力を入れてきたという。「顧客にとってどんな意味があるかという目線でデータを見る必要がある」と、ディーリング氏は語る。デロイト・デジタル(Deloitte Digital)のCMO、アリシア・ハッチ氏は、自分の時間の3~4割をデータ解析と技術面に費やしているという。「ブランド構築の助けとなるデータとテクノロジーの融合がまだできていない」と、ハッチ氏は述べた。

5.企業はさまざまな目標にコミットすべきだ

ベライゾンの社内エージェンシーでは145人の従業員が働いており、そのうちの52%が女性、48%が男性だ。ベライゾンによると、社員の全体の48%が『多様な』社員だという。これを示す例のひとつとして、入社1年半でリーダーシップをとっている社員もいるとのことだ。「平等はバイアスによって制限される。男女に平等にうったえかける広告ができれば、良い結果が生まれるだろう。ビジネスにとって素晴らしいことだ。バイアスに影響を及ぼすうえでは、我々のリーチや広告に対する声を有効に使うことができる」と、プリチャード氏は語った。

Kerry Flynn(原文 / 訳:Conyac