Googleのモバイルウェブ高速化プロジェクト「AMP(アンプ:Accelerated Mobile Page)」によりモバイルウェブが高速化されたが、さらなる高速化が進もうとしている。現在、AMPの記事は「Google ニュース」内で表示されていて、メディア企業に高トラフィックチャンネルを提供しているが、広告の表示速度はいまだに遅く、パブリッシャーから苦情が出ているのだ。
Facebookは独自のサーバーにコンテンツと広告をアップロードするため、記事や動画を素早く表示することが可能だ。一方、Googleではコンテンツのキャッシュを行っている。コンテンツを一時的に保管し、「ダブルクリック(DoubleClick)」プラットフォームを通じて、AMPコンテンツに広告を挿入しているのだ。このプロセスにより、ほかのコンテンツよりも広告の表示が遅くなっている。
Googleのモバイルウェブ高速化プロジェクト「AMP(アンプ:Accelerated Mobile Page)」によりモバイルウェブが高速化されたが、さらなる高速化が進もうとしている。現在、AMPの記事は「Google ニュース」内で表示されていて、メディア企業に高トラフィックチャンネルを提供しているが、広告の表示速度はいまだに遅く、パブリッシャーから苦情が出ているのだ。
「ワシントン・ポスト」「ニューヨーク・タイムズ」「フィナンシャル・タイムズ」などの老舗パブリッシャーたちは、「(GoogleやFacebookを)倒せないなら参加する」戦略を立てている。実際には、オーディエンスはパブリッシャーのサイトを訪問してはいないのだが、そういったユーザーを対象に、どう広告を販売していくのか対策を求めているのだ。そのためにも、彼らはGoogleのAMPとFacebookのインスタント記事、両方を使用している。
Facebookは独自のサーバーにコンテンツと広告をアップロードするため、記事や動画を素早く表示することが可能だ。一方、Googleではコンテンツのキャッシュを行っている。コンテンツを一時的に保管し、「ダブルクリック(DoubleClick)」プラットフォームを通じて、AMPコンテンツに広告を挿入しているのだ。このプロセスにより、ほかのコンテンツよりも広告の表示が遅くなっている。
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「表示速度の遅い広告が問題」
「ワシントン・ポスト」で広告商品とアドテク部門を統括するジャロッド・ディッカー氏は、AMPはCTRを50%も向上させたが、表示速度の遅い広告が問題だと話す。「コンテンツに比べて、広告の表示速度は遅いが、現在対策が考えられている」。
どのパブリッシャーに話を聞いても同様の苦情が出てくるが、Googleは現在対応中だという。しかし、表示速度の遅い広告は、広告主たちによって広告が重く作られている結果でもある。パブリッシャーとは毎年何十億ドルもの取引があるため、Googleはこのことをパブリッシャー側に伝えにくいのだ。
オーディエンスはときに数秒しかコンテンツを視聴しないことも多くあるため、広告表示の遅延はビューアビリティに悪影響を及ぼす可能性がある。
「遅くなる要因は多々ある」
「広告サーバー、供給側のプラットフォームや第三者プラットフォームのレスポンス、広告の重さや、ユーザーエクスペリエンスを最適化するためのAMPによるコンテンツの優先順位決めなど、広告の表示が遅くなる要因は多々ある」と、Googleは米DIGIDAYの取材に対し、eメールで回答した。
「広告の表示速度を向上させるため、さまざまな対応策を考えている。しかし、広告の表示速度はパブリッシャーの代わりに広告を配信している第三者パートナーのエコシステムにも影響される」。
GoogleにてAMPプロジェクトの商品生産を管理するルディ・ガルフィ氏によると、同社はAMPに広告サポートを充実させるためにもアドテク業界と共同作業を進めているという。パブリッシャーがAMPの広告タグを統合することによって、柔軟かつ管理ができる広告配信を目指しているのだ。
「ワシントン・ポスト」は、GoogleのAMPを利用して、300ピクセルx600ピクセルの縦型動画広告をコンテンツ内に配信すると話す。これはFacebookでは提供していないサービスだ。
「直すことはとても困難だ」
しかしながら、コンテンツに比べて広告の表示速度が遅い。Googleによると、AMPの記事は4倍ほど早く表示され、消費されるデータ量も10分の1だという。
米メディアエージェンシーであるメルケル(Merkel)で、企業戦略とソリューションを統括するニック・イロブレ氏は、広告の表示速度の遅さは配信方法に起因し、直すことはとても困難だと語る。
もしGoogleがコンテンツのように広告をキャッシュし、オーディエンスがクリックをする前に広告を事前にロードするようにするならば、広告の視聴回数が狂ってしまうと、イロブレ氏。事前に広告をロードしてしまうことで、実際には見られていない広告も視聴カウントに入ってしまうからだ。
「もし広告主が広告をキャッシュされるように費用を支払っているのであれば、オーディエンスに広告が視聴されているとは思わない方が良い。それどころか、コンテンツすら視聴されていない可能性もある。存在しないテレビ局でCM枠を購入するようなものだ」と、イロブレ氏は指摘している。
「多くのパブリッシャーと協議中」
4月第2週、Googleは14本のAMP記事を「Google ニュース」に配信し、ニュースページのトップに表示させた。Googleによると、今後も「Google ニュース」のトップページの検索結果画面に、関連性の高いコンテンツを配信していくと話している。
パブリッシャーのコンテンツの配置はパブリッシャーサイトのトラフィックに大きく影響するため、とても重要だ。少なくとも、AMPに乗り換えたパブリッシャーは、表示速度という優位性をもつことができる。
また、ガルフィ氏によると、Googleはペイウォールをもつパブリッシャーに対し、無料で読める記事の本数を限定する方法を開発しているという。たとえば、「ニューヨーク・タイムズ」では、1カ月あたり10本までのAMP記事を無料で読めるようにしている。これは「ニューヨーク・タイムズ」のサイトでも同様だが、10本読んだ後に定期講読契約のページへのリンクを読者に送るようにしているのだ。
「収益化するための最適な広告フォーマットなど、多くのパブリッシャーと協議している」と、ガルフィ氏は話す。ディスプレイ広告、スポンサードコンテンツや定期講読など、Googleとパブリッシャーたちはさまざまなビジネスモデルを検討しているのだ。
Garett Sloane(原文 / 訳:BIG ROMAN)
Image via Thinkstock / Getty Images