Facebookが、検索広告の購入を許可する広告主の数を増やし、Google、Amazon、マイクロソフト(Microsoft)に支配された検索市場に深く入り込もうとしている。今回の取り組みは、Facebookが2018年末にはじめたテストをさらに拡大したものだ。
Facebookが、検索広告の購入を許可する広告主の数を増やし、Google、Amazon、マイクロソフト(Microsoft)に支配された検索市場に深く入り込もうとしている。
この件を最初に報じたマーケティングランド(Marketing Land)によれば、今回の取り組みはFacebookが2018年末にはじめたテストをさらに拡大したものだ。Facebookは複数の広告主に対し、メインの検索バーやFacebook Marketplace(マーケットプレイス)内の検索バーに表示される検索結果に広告を掲載する権限を与えた。アクセス権を付与された2社のバイヤーによれば、この広告はほかのニュースフィード広告と同じターゲットグループに向けて配信できるという。ただし、GoogleやAmazonのように、バイヤーが特定の検索語を入札できる機能は搭載されていない。
「我々はFacebookの検索結果に広告を挿入するテストを続けており、この広告がユーザーやビジネスにメリットをもたらすかどうかを評価したうえで、さらに広く展開するか判断するつもりだ」と、Facebookで製品マネージャーを務めるジェイソン・ルーディン氏は電子メールで英DIGIDAYに回答した。
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Facebookの検索広告の意味
Facebookにとって、検索広告はソーシャル分野だけでなく検索市場で一定の地位を確保し、広告予算を獲得するための新たな手段だ。Amazonの広告収入が増加を続けていることや、Googleが依然として検索市場を支配していることを考えれば、とりわけ重要な取り組みといえる。実際、Facebookは以前から、ユーザーがインスタグラム(Instagram)のショッピング機能やFacebook Marketplaceなどの自社プラットフォームで行っているインテントベースの行動を調査している。
従来のニュースフィード広告で競争が激化し、価格が上昇していることを考えれば、検索広告はFacebookの広告システムにとって歓迎すべき機能だと、複数のアドバイヤーは述べている。この1年間、Facebookの広告主は、インスタグラムのストーリーをはじめとする「ストーリー(Stories)」形式の広告への投資を拡大してきた。消費者への浸透が進んでいるうえ、価格が安いからだ。検索広告は、Facebookの大規模なユーザーベースをターゲットにした広告を比較的安く配信できる新たな場になる可能性がある。
「(Facebookの)プラットフォーム上で競合がますます増えるなか、別の場所でこのようなインベントリー(在庫)が開放されるのはよいことだ。バイイングではパフォーマンスを重視した目標を設定することもあるため、ターゲティングオーバーレイができる機会が提供され、その(広告を見た)ユーザーがFacebookで検索を行ったかどうかを把握できるのは素晴らしい」と、グループ・エム(GroupM)でソーシャル担当グローバル責任者を務めるカイリー・テイラー氏は語る。
ただし、GoogleやAmazonといった検索ポータルに投じている広告予算をFacebookの検索広告に移すよう自分のチームに進言する必要性は、いまのところ感じられないとテイラー氏はいう。ショッピングにおける意図について、FacebookはGoogleやAmazonほどの信頼を得ておらず、現在のプレースメントの背後にある詳しい状況もよくわかっていない。
「Facebookでのユーザーの検索意図は、AmazonやBing(ビング)での検索と大きく異なっている。私はチームに対し、何を購入できるかより何を購入すべきかを考え、新しいものだからという理由だけで判断しないよう指導している。どのような点で効率を高められるのかを見極めるべきだ」と、テイラー氏は語った。
有効性はまだわからない
Facebookの検索広告の有効性はまだわからない。Googleとは違い、Facebookではユーザーがカスタマージャーニーのどの段階にいるのかをバイヤーは効率的に把握できない。また、特定の語句に対するクライアントの広告量シェア(SOV)を知ることもできない。
「私が期待していたのは、ランドスケーパーの人たちに我々の新しいブランドを知ってもらうため、市場で我々より知名度の高い競合他社を基準としたキーワードを追加することだった」と、ドアフォー(Door4)でデジタルマーケティングコンサルタントを務めるスティーブ・ジョーンズ氏はいう。同社は、Facebookの検索広告へのアクセス権を最近付与されたデジタルエージェンシーのひとつだ。
Facebookの広報担当者は、広告主が特定の検索キーワードや検索フレーズを選択できない事実を認めたうえで、検索広告は、eコマース、小売、自動車など、商業と関係がある検索語句に表示される可能性があると説明した。
ニュースフィード広告と同じく、検索広告は見出しと画像、および広告コピーで構成されている。だが、モバイルやデスクトップのどの画面に表示されるのかはわからない。検索広告が検索結果の先頭に表示されるGoogleとは、この点で大きく異なっている。
「この広告配置自体、オーガニック検索結果の先頭に表示されることもあれば表示されないこともある。どこかの場所で、なんらかの検索語句に対して表示されてはいるようだ」と、テイラー氏は語った。
テストの結果は「好悪半ば」
ジョーンズ氏によれば、彼が50ポンド(約6470円)をかけて行った最初のテストの結果は「好悪半ばする結果」だったという。クリックスルー率は2%で、数件のコンバージョンを獲得できたが、顧客獲得単価(CPA)は現在行っているキャンペーンの2倍だった。同氏は数カ月後にもう一度テストを行う計画だ。
将来的には、Facebookの検索広告の有効性が高まり、Facebook全体でキャンペーンに関する有益なインサイトが得られるようになるかもしれないとジョーンズ氏はいう。
「Facebookの検索プレースメントを介して我々の広告をクリックしたユーザーからカスタムオーディエンスを作成できれば素晴らしいことだが、まだそのオプションはないようだ」とジョーンズ氏は語った。
Kerry Flynn(原文 / 訳:ガリレオ)