Amazon マーケットプレイスで成功するための3つのルール

バイロン・カー氏は2018年4月、タフト&ニードル(Tuft & Needle)初のAmazon担当責任者になる前、Amazonでヘルス&ウェルネス関連ブランドを立ち上げ、Amazonに特化したECエージェンシーを創業し、タイメックス(Timex)のECを担当し、ステラ・ライジング(Stella Rising)というエージェンシーでAmazon戦略チームを率いた。これらの経験によって「AmazonのMBA」を取得したと、カー氏は話している。

カー氏が加入して8カ月後、タフト&ニードルは同社初のAmazon専用ブランドを立ち上げた。手ごろな価格帯の「ノッド・バイ・タフト&ニードル(Nod by Tuft & Needle)」だ。

間もなく、タフト&ニードルはAmazonの目に留まった。Amazonは限定のコラボレーション商品を開発するため、マーケットプレイスでの売れ行きがいいサードパーティの販売業者を積極的に探している。

Amazonのサードパーティ向けマーケットプレイスでの販売業者を取り巻く状況は変化しており、Amazonはマーケットプレイスの活性化にリソースを集中させはじめている。マーケットプレイスは大口出品が多く、売り上げの58%にあたる1600億ドル(約17兆円)を占める。一方、卸売り事業は一流ブランド、プライベートブランド、Amazon専用ブランドに絞りはじめている。また、Amazonはブランドを優先しようとしており、ブランド所有者が本物であることを証明したうえで、偽ブランドや無許可の販売業者を閉め出すことができる新方針を発表した。さらに、アルゴリズムを調整し、価格と納期だけでなくブランデッドコンテンツ、広告費、外部トラフィックも重視されるようになった。BuzzFeed Newsによれば、マーケットプレイスの競争があまりに激しく、怪しげな戦術に頼る販売業者もでてきており、Amazonのシステムを操作できると謳う怪しいサービスに月額最大1万ドル(約110万円)を支払う業者もいるという。

確立されたブランドには、合法的な戦略に資金を投じ、Amazonで勝利できるだけのリソースがある。タフト&ニードルの場合、Amazonでの成功は、カー氏が導入したいくつかの重要な戦術に集約される。1つ目は、創造的な方法でカスタマーレビューを獲得すること。2つ目は、Amazonに合ったブランドを作り、同時に、Amazon事業を構築すること。そして3つ目は、ライバルの成功や弱点を利用することだ。たとえば、上位商品の検索キーワードを追跡し、批判的レビューを調べれば、Amazonの顧客が探しているもの、ほかでは手に入らないものがわかる。

「Amazonは年を追うごとに変化しており、新しいルールもある。しかし、変わっていないシステムについて学んだ教訓がある」とカー氏は話す。「目標はAmazonに、彼らが望み、必要とする規模を実現できるということを理解してもらうことだ。意欲があれば実現可能だ」。

本記事について、Amazonからコメントを得ることはできなかった。

これらの変化によって、抜け目のないAmazon戦略を作り上げてきたブランドは、Amazonで成功するための道が明確になりはじめている。ノッド・バイ・タフト&ニードルのようなパートナーシップ、さらにはプロモーションを通じ、Amazonは新しいルールを理解して従う販売業者に見返りを与える意思を示している。

ルール1:レビューを活用する

フルサービスのAmazonエージェンシー、チャンネル・キー(Channel Key)のCEO兼創業者ダン・ブラウンシャー氏は、「Amazonはパズルのようなものだ。何度もバラバラになり、何度でも組み立てなければならない」と話す。「確実な方法は存在しない。しかし、Amazonが求めているのは、現状とデータの意味を理解し、それに応じて変化していくブランドだ」。

ブラウンシャー氏はカー氏と同様、2013年にAmazonで事業を拡大してから、Amazonに特化したエージェンシーを立ち上げた。当時、マーケットプレイスの販売業者は、Amazonで売れ筋のカテゴリーを見つけ、アリババ(Alibaba)で商品を仕入れ、Amazonで転売していた。商品説明がまともであれば、広告予算は不要だった。競争力のある価格であれば、ほとんどメンテナンスしなくても繁盛した。

現在、賢い商品チームはレビューを活用している。バークボックス(BarkBox)の親会社バーク(Bark)は2018年8月にAmazonでの販売を開始したとき、タフト&ニードルと同様、ライバルのレビューの追跡とレビュー生成を組み合わせ、勢いを増していった。Amazonのエコシステムを1年かけて学んだあと、バークのデータチームは商品ラインアップを微調整するため、犬用品のレビューを対象とした検索アルゴリズムを開発した。商品発売後も、レビューを生成するため、気に入ったらレビューを書くという前提で、ブランドアンバサダーたちに新商品を使ってもらった。

バークのCEO、マーク・ミーカー氏は「商品開発をリバースエンジニアリングするため、すでにAmazonで事業を展開している同業者から学ぼうとした」と振り返る。バークのAmazonチームは改善と差別化のチャンスを見極めるため、利益が大きく、大量に売れている商品のレビューと評価を調べた。

Amazonは販売業者とカスタマーインサイトをあまり共有していないため、代わりにレビューを活用し、顧客データを収集しているのだ。

イノベーション・デパートメント(Innovation Department)はライバルのレビューを細かく調査し、ソフトウェアパートナーから提供を受けた検索語データと組み合わせ、ヘルス&ウェルネス、消費財(CPG)カテゴリーで4ブランドを立ち上げた。

CEOのアレックス・ソン氏は、「多くの人がAmazonでコラーゲンを検索している」と話す。「レビューを読んだ結果、味、パッケージの外見と雰囲気、携帯可能かどうかが重要だとわかった。レビューは情報の宝庫だ。新しい事業を立ち上げ、フィードバックを待つより、Amazonで類似商品を探し、それらの長所と短所を理解した方がいい」。

ルール2:ブランドを構築する──Amazonで

Amazonの現在のアルゴリズムは、マーケットプレイスでショップインショップを作るリソースのあるブランドに有利となっている。A+の商品説明、フルコレクションを購入できるブランドストア、商品動画や画像が適正価格、プライム配送と同じくらい重視されている。

もちろん、無料ではない。Amazonは特に、充実したコンテンツとサイト内広告に投じる予算のある企業を優遇する有料のビジネスを構築しようとしている。料金を支払えば、その見返りを得られる仕組みだ。

マーズ・エージェンシー(Mars Agency)のEC担当バイスプレジデント、セリーナ・ヘッケンドルフ氏は、「あまりに競争が激しいため、価格だけでは勝負できない。容赦ない価格競争に巻き込まれるのが落ちだ」と話す。ヘッケンドルフ氏は、Amazonでカテゴリー新設を担当していた前歴を持つ。「いま重要なのはブランドの構築だ。Amazonでブランドロイヤルティは形成できないというのは、過去の話になりつつある」。

Amazon戦略は、Amazonからはじまる。タフト&ニードルやバーク、寝具ブランドのバフィー(Buffy)のような直販ブランドは、自社サイトとAmazonの両方にトラフィックを呼び込まなければならない。直販事業の構築に時間を投じることで、Amazonのオーガニックなトラフィックが増加するためだ。オーガニックなトラフィックと検索結果に表示されるスポンサーブランド広告、スポンサープロダクト広告が組み合わさってはじめて、商品を検索結果の上位に押し上げることができる。

「Amazonの参入障壁は低い」と、ブラウンシャー氏はいう。「Amazonは一晩でECビジネスをはじめられるマーケットプレイスを作った。しかし最終的には、顧客価値を創造しなければ成功できない。差別化を図ることができなければ、オーガニックなトラフィック、顧客ロイヤルティをもたらすファンを獲得できなければ、成功を収めることはできない。バリューチェーンからはじき出されることになるだろう」。

ルール3:じっとしていてはいけない

フルフィルメント by Amazon(FBA)、広告費、Amazonに適した商品、上質なコンテンツ、オーガニックなトラフィックなどの基本を抑えれば、Amazonの方からやって来る可能性が高い。

タフト&ニードルのケースでは、マーケットプレイスでマットレスの売り上げを奪いはじめたとき、Amazonがやって来た。あるブランドの創業者は、Amazonが1年でもっとも繁盛するプライムデーに向けて、「プロダクト・ローンチ(Product Launches)」コーナーで取り上げてもらうためのAmazon限定商品を開発中だと話している。Amazonと手を組むことができれば、マーケティング費用の削減になり、Amazon Vine先取りプログラムを利用できる。

顧客ロイヤルティやブランド知名度という形で成功を証明することの価値は高まる一方だ。Amazonの販売業者開発チームが検索意図に基づき、ブランドの勧誘を強化しているためだ。2018年第3四半期のAmazonの検索データは、チャビーズ(Chubbies)、オールバーズ(Allbirds)、ロージーズ(Rothy’s)、アウェイ(Away)などのブランドが絶えず検索されながら、マーケットプレイスで行き詰まっていることを示唆している。つまり、カスタマーエクスペリエンスが良くないということだ。

「ブランドがAmazonのビジネスに心を奪われるよう、Amazonはサードパーティ向けマーケットプレイスに出店するブランドに対し、データを充実させる、自由度を高めるといったインセンティブを用意している」と、ブラウンシャー氏は話す。「Amazonにとって、現在の優先事項は、ビジネスを成長させていくことのできるブランドを勧誘することだ」。

すでにAmazonチームを設置し、Amazonの戦略を理解したブランドも、成長の余地はまだある。タフト&ニードルのカー氏は、現在の優先事項として、ブランドのランディングページをつくり、デザインを改良していくことを挙げている。

「我々は常に、Amazonで業績改善のチャンスを探している」と、カー氏は話す。「Amazonのエコシステムは変化が早い。大手ブランドはシェアを維持したがっており、新規参入者はそれを奪いたがっているため、一瞬たりとも気を抜くことができない。Amazonでどれくらい成功しているかにかかわらず、防御を怠ってはいけない」。

Hilary Milnes(原文 / 訳:ガリレオ)