インスタグラムは先日、ブランドとインフルエンサーのやり取りの方法を一部変更した。両者がより秩序だった方法で、より簡単にビジネスを行えるようにしたという。そのように、同社の広報担当者は述べた。
インスタグラムは先日、ブランドとインフルエンサーのやり取りの方法を一部変更した。両者がより秩序だった方法で、より簡単にビジネスを行えるようにしたという。そのように、同社の広報担当者は述べた。
ここにはふたつの大きな変化が含まれている。ひとつは、インフルエンサーがスポンサー付きコンテンツの投稿で、最大ふたつのブランドにタグを付けられることだ。その後、アプリを通じて提携ブランドに承認を求め、投稿を正式なブランデッドコンテンツとして指定してもらうことができる。ブランドはほかのどのブランドがタグ付けされているかを見ることができ、投稿を自動的に承認することができる。投稿は承認の有無にかかわらず公開できるが、「有料パートナーシップ(Paid Partnership)」タグとブランド名は承認されるまで表示されない。
ふたつめは、ブランドはスポンサードしたリール(Reels)やライブ(Live)の投稿からタグ付けされたデータ分析を見ることができる。インフルエンサーたちは5月24日から、自分がタグ付けした投稿に関するデータ分析にアクセスできるようになった。ブランドは現在、パフォーマンス、エンゲージメント、リーチに関するアナリティクスを閲覧できる。これは、インスタグラムが5月末にリリースした「ドロップス(Drops)」機能の直後に発表された形だ。
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この新機能はインスタグラムだけでなく、TikTok、ピンタレスト(Pinterest)などのソーシャルプラットフォームが先月導入した新機能のひとつだ。いずれも、収益性の高いソーシャルコマース市場で競争するための取り組みといえる。eマーケター(eMarketer)によると、米国のソーシャルコマースは今年34%増加して360億ドル(約3.9兆円)になると予想されている。2020年、eマーケターはソーシャルコマースの売上が38%増加したと報告しており、予測の20%を上回った。ソーシャルコマースはすでにアジアで大規模に展開しており、特に中国では3000億ドル(約33兆円)規模の事業を展開している。
インスタの「ドロップ」機能
インスタグラムの新しいドロップス機能では、ブランドはシュプリーム(Supreme)のようなストリートウェアのブランドが運営しているのと同じように、今後の製品ドロップを発表したり、限定版の製品を一定の時間にリリースして話題を集めたりできる。新しいドロップス機能を最初に利用した5つのブランドのひとつであるシャーロット・ティルベリー(Charlotte Tilbury)の広報担当者は、今後数週間はこの機能を使い続けると述べた。
昨年、このプログラムに参加したセフォラ(Sephora)のように、インスタグラム・ショッピング(Instagram Shopping)の成功を賞賛している大手もいる。セフォラのeコマース事業のゼネラル・マネージャー、キャロライン・ボジャノウスキー氏は6月1日にクオーツ(Quartz)に対して、来年には「(ソーシャルコマースが)大きくなる兆候が至るところで見られる」と語った。
ピンタレストのニュース
ピンタレスト(Pinterest)もまた、月曜日にソーシャルコマースに関するニュースを発表した。同社は、D2Cブランドの限定商品を2週間の入れ替わりで扱う、キュレーション・オンラインショップを立ち上げた。この事業はザ・グッズ(The Goods)と呼ばれており、アウトドアー・ボイシス(Outdoor Voices)が最初のブランド群に含まれる。ピンタレストのコンテンツおよびクリエーター・パートナーシップの責任者であるアヤ・カナイ氏によると、同プラットフォームのショッピングページでは、2020年3月から2021年3月の間にエンゲージメントが200%増加し、マーチャントからの商品アップロードは同時期に14倍に増加したという。
カナイ氏は「私たちは買い物を取引ではなく経験だと考えている」と述べた。「ピンタレストで買い物をする人たちが気に入っているのは、(同プラットフォームの)ボードで見つけたインスピレーションや、保存したアイデア、さらには現実世界から得たアイデアに基づいてレンズ(Lens)カメラ検索機能を使い、買い物ができることだ」と述べる。
TikTokのショッパブル広告
前述のプラットフォームのなかでは創業5年以下ともっとも若いのがTikTokだが、同社もソーシャルコマースをテストしている。先月の時点で、このプラットフォームは英国と東南アジアの一部で、ストリートウェアのブランドに焦点を当てたソーシャルコマースプログラムを試行していた。同社はまだインスタグラムショップにグローバル規模で競争するような事業計画について正式な発表をしていないが、それもすぐだろう。
インスタグラムのような専用のショップページがないにもかかわらず、TikTokのショッピング可能な広告は人気を博している。パイパー・サンドラー(Piper Sandler)の2021年春のレポート「10代の子どもたちの評価(Taking Stock with Teens)」で、10代の子どもたちの好みによるとTikTokが第3位にランクされた主な理由は、同プラットフォーム上でのブランドの存在感にある、とパックサン(PacSun)のチーフブランドオフィサーであるブリー・オルセン氏は述べた。
「私たちはTikTokを使ってショッピング可能広告のベータテストを行っており、それをさらに拡大することを非常に楽しみにしている」とオルセン氏は述べる。
[原文:New features on Instagram, Pinterest and TikTok heat up social commerce competition]
DANNY PARISI(翻訳:塚本 紺、編集:長田真)