「『Amazonではない』という事実を積極的に使うべき」:ブランドへアピールする イーベイ の狙い

Amazon、Shopify(ショッピファイ)、そしてリテーラーたちによるeコマースとの競争に対抗するため、イーベイ(eBay)は非DTC(Direct To Consumer:直販)ブランドの扱いを大きく中核に据えはじめている。これはキッチンエイド(KitchenAid)やエイサー(Acer)といった大手ブランドがイーベイ上でオンラインストアを構築する助けとなる、eコマース「コンシェルジュ」的存在としての新しい自社マーケティングの一環である。

個人ごとにカスタマイズされたサービスを提供すること、顧客トラフィックをブランドのストアへと促すこと、そしてマーケティングと広告支援をプッシュすることで、これを実現しようとしているのだ。

競合他社がどんどん増え続けるマーケットにあり、イーベイへのプレッシャーは大きくなっている。特にフィードバイザー(Feedvisor)の最近の調査で明らかになったように、Amazonでプロダクトを販売するブランドのなかでイーベイでも商品を提供するところが少なくなりつつあるなかで、プレッシャーは大きい。イーベイにとって、大手消費者ブランドは大きなチャンスだ。彼らによると、大手消費者ブランドに次々とアプローチしているとのことだ。

敵ではなく友人

「リテール分野の状況は変化を続けている。だからこそ、彼らはイーベイにやって来る。何年か経てば消えてしまうかもしれないチャンネルから複数のセールスを受けているなかで、彼らは代替案を探している。イーベイは世界でスケールを確立している数少ないマーケットプレイスのひとつだ。また、我々の場合は、我々のセラーたちと競合しない」と、CEOのデヴィン・ウェニッヒ氏は今年初頭の収支報告で語っている。

顧客との関係を自分たちで管理できる、というのがイーベイからブランドに向けての売りだ。Amazonのように類似プロダクトを開発する危険がある敵ではなく、友人である、というアプローチだ。

ブランドにとっても、最大限ユーザーフレンドリーなプラットフォームであろうと改善を繰り返している。ブランドたちはカスタマイズされたストアデザインを持ちたいと思っており、検索結果に入り込む形でトラフィックを自分たちのストアへと生み出したいと思っていると語ったのは、イーベイのセラー・マーケットプレイス運営バイスプレジデントであるボブ・カップベンズ氏だ。

イーベイの強み

イーベイによると、彼らは1億7500万人のアクティブバイヤーを抱えている。ブランドたちが従来のチャンネルではリーチできていない、異なるオーディエンスにイーベイを通じてリーチしているとカップベンズ氏は言う。イーベイでは現在、ダイレクトに販売を行っているブランドは数百にのぼるという。そこにはエイサー、マイクロソフト(Microsoft)、キッチンエイド、ダイソン(Dyson)、そしてクイックシルバー(Quiksilver)などが含まれる。これらの会社のうちいくつかはAmazon上でも販売を行っている。しかし、イーベイはAmazonとは違って、純粋なマーケットプレイスである利点が存在している。ブランドが顧客を獲得・維持するサポートを行う存在として集中できるわけだ。

ブランドが参入できる巨大なマーケットプレイスとしてではなく、カスタマイズされた日々のやり取りを通じて、ブランドが自分のマーケットプレイスを構築できるツールとして、イーベイは自社をアピールしている。オンライン上のキャンペーンやイベントを通じたブランドの顧客リーチ能力も、イーベイの強みとして売り込んでいるのだ。

「ブランドと協働して彼らの在庫を見せて、購入可能な状態にしている。この関係はバイヤーとブランドの直接のやり取りでもって完結する。我々は自社レーベルのプロダクトを持っていない」と、カップベンズは言う。透明性だけではなく、広告配置、プロモーテッド・リスティング、そしてセールスとパフォーマンス情報を提供するアナリティクス、統合された顧客データを通じたマーケティング支援もイーベイのアピールポイントだ。

顧客との直接の関係を築く取り組みをアピールするなかで、Amazonでのセラーたちが口にしている、Amazonに対する不満にも応えようとしている。データに関するコントロールをもっと欲しい、対応が良くない、そして偽装セラーの増加に対する不満が、その例だ。また、イーベイオリジナルの支払いプラットフォームがローンチされたが、それもセラーにとってはメリットであると売り込んでいる。これによって、コストが低くなると主張しているのだ。

Amazonという存在

しかし、1億人ものプライム会員を抱えるAmazonは、ブランドたちにとって、無視できる存在ではない。

イーベイ上で直接販売をすることに対し、ブランドからの興味は集まっているものの、競合他社にシェアを失っていると、フォレスター(Forrester)のアナリストである、サチャリタ・コダーリ氏は言う。

「Amazonは購買者にとっては最初の目的地であり、ブランドにとってはイーベイよりも売上が大きい場所となっている。人々の意識におけるシェアを、イーベイは失ってしまった。それを素早く取り戻すためには、マーケティングしかない」と、彼女は言う。

マーケットシェアを伸ばすためにはイーベイはペイド検索とSEOにより重点的に投資する必要があると、彼女は言う。キッチンエイドの検索結果においてウェイフェア(Wayfair)やウィリアムズ・ソノマ(Williams Sonoma)が上位に現れている点を例として挙げた。

まずは在庫精算から

しかし、イーベイはブランドストーリーという点では、達成が遅れている課題がある。それは、幅広い商品を扱う、オークションマーケットという以前の役割から進化することだ。

「イーベイが開始されたとき、いらない物を売るオークションの場所であった。年数をかけてイーベイはAmazonに似たマーケットプレイスへと進化した。新しい商品を幅広く、固定された価格で扱う場所になった。しかし、Amazonプライムといったショッピングイノベーションを一定して提供し続けることで、Amazonはすでに全国的に消費者を獲得してしまっている」と、フィードバイザー(Feedvisor)のCEOであるビクター・ローゼンマン氏は語った。

「(要らない物を)精算するお店」モデルは、今日でもある程度、続けられている。修復した中古商品を売る会社も存在しているとカップベンズ氏は言う。ダイソンがその例だ。アウトレットストアとしての機能も持っている。ゲス・ファクトリー・アウトレット(Guess Factory Outlet)ストアもイーベイに存在している。商品販売に関しても、ブランドが必ずしもすべてを行う必要はない。ブランドから承認を得た再販者たちはブランドが使えるアナリティクスツールなどにアクセスして商品を販売することができる。精算のためのお店というモデルから、幅広い商品が扱われるより大きなマーケットプレイスに移行しつつあるとカップベンズ氏は強調した。ブランドのなかには在庫精算からイーベイ利用を開始して、結果を確認したあとに利用を拡大するところもあるという。

Amazonとの違いを

イーベイが成功するためにはAmazonとの違いを効果的に使う必要がある。ワンオンワンのサービスや、セラーとのより直接的な関係がそれだ。

「Amazonではないという事実を積極的に使うべきだ」と、ウェーブメーカー(Wavemaker)のeコマース部門グローバル責任者であるムディット・ジャヂュ氏は語る。「ブランドが持てるコントロール度合いは高く、値段をコントロールできる。また、統合度も高い。ひとつの店であるかのようにイーベイをマーケティングするべきだ」。

Suman Bhattacharyya(原文 / 訳:塚本 紺)