メタ(Meta)がテキストベースのアプリ、Threads(スレッズ)を立ち上げてから、1カ月弱が経過したが、ブランド勢は依然、同プラットフォームに馴染めるかどうか、様子をうかがっている。
もっとも、この初期段階においてThreadsに確たるソーシャル戦略がないことは、懸念材料ではない。戦略は通常、プラットフォームカルチャーがある程度確立された段階で登場するからだ。それはつまり、そのプラットフォームが何を象徴しているのか、それをどう利用したらいいのかを、人々(および、それに伴いブランド勢)が理解した時点で、ということだ。
このアプリのローンチ後、ブランド勢の姿勢は2つに大別された。
現時点では、よいも悪いもない
一部のブランドはおふざけモードで臨み、「たがの外れたソーシャルメディアマネージャー」を演じている。フィットネスアパレルブランドのジムシャーク(Gymshark)はたとえば、Threadsの自己紹介欄に「自己紹介はダルくて書けない」と記し、フォロワーに直接語りかけるような文体で投稿している。もう一方のグループは、いわゆるFOMO(Fear Of Missing Out:取り残されることへの不安)のブランド勢と思われる。
早期利用者にはその新規プラットフォームが軌道に乗ったときに得られる利点が複数あることは間違いない。こうしたブランドは大抵、Threadsを自身のソーシャルメディアミックスに加え、投稿の頻度はともかく、X(旧Twitter)と同じように利用している。パブリッシャー勢はその典型例だ。一般に、彼らの投稿にX(旧Twitter)とThreadsで大きな違いは見られない。いずれも、Web記事のトラフィック増を目的としているからだ。
「どんな戦略がThreadsに相応しいのか、人々(マーケター勢)が見極めるには、それなりに時間がかかる」と、デジタルマーケティングエージェンシーであるクラウド(Croud)のペイドソーシャルアカウント部門ディレクター、ダニエル・カーター氏は話す。「現時点では、よいも悪いもない。マーケター勢はまだこの新プラットフォームに馴染もうとしている段階だ」。
ただ、メディアエージェンシーのブレインラブズ(Brainlabs)でペイドソーシャル部門アソシエイトディレクターを務めるキャロリン・ギャラヴェント氏は、「ブランド勢はThreads登場当初こそ積極的に反応したが、こうした反応戦略は長期的に継続するものではない」という。「当初の熱が冷めてきたときこそ、ブランドにとってより長期的な、より持続可能な戦略を立てる絶好のタイミングだ」と同氏は説明し、「さらにそれは、Threadsがどんな刷新を導入するのか、そしてそれが自身の戦略にどんな影響を与えるのかを確認できる機会にもなる」と言い添える。
メタ(Meta)がテキストベースのアプリ、Threads(スレッズ)を立ち上げてから、1カ月弱が経過したが、ブランド勢は依然、同プラットフォームに馴染めるかどうか、様子をうかがっている。
もっとも、この初期段階においてThreadsに確たるソーシャル戦略がないことは、懸念材料ではない。戦略は通常、プラットフォームカルチャーがある程度確立された段階で登場するからだ。それはつまり、そのプラットフォームが何を象徴しているのか、それをどう利用したらいいのかを、人々(および、それに伴いブランド勢)が理解した時点で、ということだ。
このアプリのローンチ後、ブランド勢の姿勢は2つに大別された。
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現時点では、よいも悪いもない
一部のブランドはおふざけモードで臨み、「たがの外れたソーシャルメディアマネージャー」を演じている。フィットネスアパレルブランドのジムシャーク(Gymshark)はたとえば、Threadsの自己紹介欄に「自己紹介はダルくて書けない」と記し、フォロワーに直接語りかけるような文体で投稿している。もう一方のグループは、いわゆるFOMO(Fear Of Missing Out:取り残されることへの不安)のブランド勢と思われる。
早期利用者にはその新規プラットフォームが軌道に乗ったときに得られる利点が複数あることは間違いない。こうしたブランドは大抵、Threadsを自身のソーシャルメディアミックスに加え、投稿の頻度はともかく、X(旧Twitter)と同じように利用している。パブリッシャー勢はその典型例だ。一般に、彼らの投稿にX(旧Twitter)とThreadsで大きな違いは見られない。いずれも、Web記事のトラフィック増を目的としているからだ。
「どんな戦略がThreadsに相応しいのか、人々(マーケター勢)が見極めるには、それなりに時間がかかる」と、デジタルマーケティングエージェンシーであるクラウド(Croud)のペイドソーシャルアカウント部門ディレクター、ダニエル・カーター氏は話す。「現時点では、よいも悪いもない。マーケター勢はまだこの新プラットフォームに馴染もうとしている段階だ」。
ただ、メディアエージェンシーのブレインラブズ(Brainlabs)でペイドソーシャル部門アソシエイトディレクターを務めるキャロリン・ギャラヴェント氏は、「ブランド勢はThreads登場当初こそ積極的に反応したが、こうした反応戦略は長期的に継続するものではない」という。「当初の熱が冷めてきたときこそ、ブランドにとってより長期的な、より持続可能な戦略を立てる絶好のタイミングだ」と同氏は説明し、「さらにそれは、Threadsがどんな刷新を導入するのか、そしてそれが自身の戦略にどんな影響を与えるのかを確認できる機会にもなる」と言い添える。
Threadsに持ち込むべき人格は?
実際、姿勢を決めかねているのはマーケターだけではない。ユーザーもまた、このテキストベース新アプリにどんな人格で臨むべきか、答えを出せずにいる。
「人々はいま、自問しているところだ。ThreadsにX(旧Twitter)上の自分を持ち込むべきか? それともインスタグラム上の自分を持ち込むべきか? あるいは両方を少しずつ持ち寄り、たとえばツインスタグラム(Twinstagram)的な自分として登場するべきか?」と、ソーシャルエレメント(The Social Element)のソーシャルイノベーション部門VPエイミー・ギルバート氏は語る。
事実、この新SNSが何なのか、人々にとってどんな意味を持つのかは、Threadsの幹部でさえ、まだ手探りの状態だ。ギルバート氏も指摘するとおり、Threadsはいまだ、冗談のネタにされる場ではなく、無論、独自のカルチャーも持たない。そして、そうしたカルチャーの発展には機能性の充実が欠かせない。とどのつまり、どんな新規プラットフォームであれ、できることが限られている以上、人々を馴染ませるのは難しいのだ。
ユーザー数の減少で見限るのは時期尚早
Threadsの人気上昇は、その後の現状把握と同じく、あっという間の出来事だった。Threadsはたしかに、史上最速で成長しているプラットフォームではあるが、登場から1カ月が過ぎたいま、当初飛びついたユーザーの大半はもはや、以前ほどアクティブではない。
世界全体で見ると、シミラーウェブ(Similarweb)のデータによれば(トラッキングするのは、Android端末におけるソーシャルメディアプラットフォーム利用のみ。AppleのiPhoneを除外しているのは、Appleがアプリトラッキングの透明性、通称ATTを導入しているため)、Threadsのローンチから2日後の7月7日、世界のAndroid端末における同アプリの1日当たりのアクティブユーザー(DAU)は最大で約4930万人だった。それが7月29日には、約78%減の約1110万人に落ちていた。
ただ、「このDAU急減は驚くことではない」とギルバート氏は指摘する。当初の成長があまりに急激だったため、その規模のユーザー数をこの初期段階で維持することは、単純に現実的ではないからだ。同氏の見方は実際、メタのCEOマーク・ザッカーバーグ氏のそれと同様であり、ザッカーバーグ氏はこれを想定内とする旨の発言をしている。
メタにとって初の荒馬乗りではない
「当初の成長はたしかに桁外れのものだったが、それよりも重要なのは、数千万という人々が日々戻ってきてくれている事実だ。これは我々の予想を上回っている」と、ザッカーバーグ氏は7月第4週にThreadsで投稿した。
また、「2023年度後半のフォーカスは基本要素およびリテンション(顧客維持率)の向上だ。安定には時間を要するだろうが、そこをものにしたらすぐさま、今度はコミュニティの成長にフォーカスする。これは何度もくり返してきた方程式であり(Facebook、インスタグラム、ストーリーズ[Stories]、リール[Reels]など)、Threadsも同じくよい方向に進んでいると確信している」と言い添えている。
そう、この状態はザッカーバーグ氏の言うとおりである。これはメタにとって初の荒馬乗りではない。何が上手く行くのか、どうすれば利益を上げられるのか、テック界の巨人はすべて承知している。「世間は忘れがちだが、どんなプラットフォームも、立ち上げ時はまず、ブランドではなくユーザーを念頭に置く」とギルバート氏は言い添える。「Threadsはメタ発のアプリであり、私が思うに、メタは広告手法やオーディエンスのターゲティング法をすべて熟知している。もうしばらく時間がかかる、というだけだ」。
なお、米DIGIDAYはメタにコメントを求めたが、返答はなかった。
[原文:Meta’s Threads still has users one month on, but it doesn’t have a real vibe yet]
Krystal Scanlon(翻訳:SI Japan、編集:島田涼平)