8月1日(米時間)の朝、ニューヨーク・タイムズスクエアのLINEフレンズストア(Line Friends store)には人々が列をなしていた。無表情なクマと元気なウサギの着ぐるみが、人々を出迎える。LINEはメッセージングアプリとして、アメリカでそれほどの人気はないが、キャラクタービジネスは受け入れられるか?
8月1日(米時間)の朝、ニューヨーク・タイムズスクエアのLINEフレンズストア(Line Friends store)には人々が列をなしていた。人間より大きい無表情なクマと元気なウサギの着ぐるみが、人々を出迎える。
これは日本でもっとも人気のあるメッセージングアプリ、LINEのアメリカ初店舗の様子だ。430平方メートルの店内には、さきほどのクマやウサギ、その仲間の派手な黄色のヒヨコなどのグッズが並ぶ。グッズはおもちゃやクッション、文房具をはじめさまざまで、iPhoneケースは25ドル、ラゲージタグは23ドルで販売されている。
LINEをよく利用するユーザーにとって、店内のキャラクターはLINE内に登場するスタンプでおなじみだ。クマの名前はブラウンで、妹のチョコがいる。ウサギはブラウンの彼女のコニーだ。ヒヨコの名前はサリーで、ブラウンに叶わぬ恋をしている。メッセージングアプリにLINEを利用していないアメリカ人にとって、こうしたキャラクターの物語や性格はさして重要ではない。だが、LINEフレンズのCEO兼LINEコーポレーション最高クリエイティブ責任者のジェイムズ・キム氏は、LINEのアプリについての知識がなくても、LINEフレンズの商品は買ってもらえるという。
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「アメリカではアジアほどLINEの人気はないが、キャラクターの名前がわからなくても彼らを可愛いと感じ、当社のブランドも覚えてもらうことはできる」とキム氏は、店のグランドオープンイベントで語った。「当社はただ商品を売るだけでなく、店内でお客さまに素晴らしい体験をしていただきたいと考えている。たとえば巨大なブラウンを触って、感じて、一緒に写真を撮って、楽しい時間を過ごすことができる」。

タイムズスクエアのLINE FRIENDS STOREに並ぶ人たち
LINEフレンズは2015年に香港に店舗をオープンした。キム氏によると、WeChatのほうがメッセージングアプリとして人気が高い香港でも、LINEフレンズの商品を求める声は非常に大きかったという。中国本土では、LINEアプリのメッセージがブロックされるにも関わらず、6つの小売スペースが存在する(LINEフレンズとカフェを組み合わせたもの)。キム氏は、このビジネスモデルがアメリカでもうまくいくことを期待している。
「当社のメッセージングアプリがうまくいっていない国でも成功を収めたいと考えている」とキム氏は言う。「ニューヨークは、当社が世界的に拡大していくための格好のテストの場だ。2015年のクリスマスにポップアップストアを開いたときも好評だった」。

ニューヨーク市のLINE FRIENDS STOREの様子
LINEフレンズストアがなぜ、LINEのアプリを使わない層にも人気を博しているのか、理由は簡単だ。火曜日にタイムズスクエアの店を訪れた人たちを見ればわかるが、この店の造りやさまざまな色、デザインのキャラクターは、インスタグラムの写真を見事に盛り上げてくれる。
店の魅力が何にせよ、LINEフレンズはLINEコーポレーションの売上を牽引している。上半期の同社の営業利益は前年同期比で、約270%増の105億円となっている。LINEフレンズストアとそのモバイルサービスは、前年同期45億円に対し、本年度は85億円の営業収入を達成した。
LINEフレンズは2017年、ブラウンとコニーをテーマにしたスマートスピーカーとバーチャルアシスタントを発表。キム氏は次のように述べた。「当社のキャラクターを用いたAIやスマートスピーカーを広めるうえでも、タイムズスクエア店は消費者の好みを知るのに役立つ」。
Yuyu Chen(原文 / 訳:SI Japan)